- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140016831
感想・レビュー・書評
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前半は、若き日の新島襄、東郷平八郎の姿を通して、「日本」という新しい国家を担おうとする気概に溢れた時代状況を生き生きと描き出しています。
「明治」という新しい時代を築き上げていったのは、江戸時代からの遺産である武士のエートスを持つ人びとでした。著者はこうしたエートスを示す例として、西南戦争に身を投げ出していった西郷隆盛と、そのことを高く評価した福沢諭吉の『丁丑公論』を紹介しています。
しかし、「日本」という新しい国家の「国民」となったのは、彼らのような著名人だけではありませんでした。「阿Q」のような、道徳的緊張や士族的な文化を共有していない大勢の人びとを「国民」にまで引き上げようとしたのが、自由民権運動から憲法発布に至るまでのプロセスにほかならないと著者は言います。著者自身は、プロイセンを範にとった「国民国家」の創出にやや批判的な立場を表明していますが、国家と一体感を持ち、国家の運命を自分で決めうる「国民」がこうして生まれたことは認めなければならないと著者は考えます。
こうした著者の明治時代の理解には、曲がりなりにも近代国家を築き上げた先人たちの偉業に対する尊敬の念と、後年の日本が陥ることになった問題の種子が生み落とされたことに対する痛切な思いが、ない混ぜになっているように思えます。 -
読了
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明治時代の人物とかあまり知らなかったけど、彼らの働きによって今の日本が作られていることが少しは理解できた。