- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140018194
作品紹介・あらすじ
地球環境の危機を救う、植物多様性の進化の物語。化石に記された、巧みな生殖戦略、動物との共生など、植物進化の大潮流を活写する。
感想・レビュー・書評
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西田治文氏は 『古植物学』を研究していて植物の化石 が専門である。
西田氏は言う
植物が 陸に上がったのは
『だいたい4億7000万年前から4億5000万年前の間・・・
陸の植物は乾燥から身を守らないといけないので、それを防ぐため表面に『クチクラ』という空気や水を通さない特別な層ができました。そうすると今度は空気などが通らず光合成ができなくなるため、ガス交換をする気孔という穴をつくったんです。』
植物が陸上にあがった時期が鮮明となっている。
そして、その特徴は クチクラ層の形成と気孔の誕生だった。
そうか! 海藻には気孔がないのか。
なぜ 陸に上がったのか?
西田氏は言う
『光合成をするにはCO2が必要です。光合成に使えるCO2の量は、水中よりも空気中の方が多いため、徐々に効率のいい陸へ進出していったと考えられています。』
植物の形態は
『今の植物体は、基本的に根、葉、茎の3つに分けられます。しかし、地上に進出した当時の植物は、そういう分化が全くなく、テロームと呼ばれる軸だけでした。『茎』というのは葉をつける構造を持ったものを指すわけで、そういう意味で茎とは違ったんです。』
テロームとは
『テローム説とは、維管束植物の形態の進化を説明するための説である』
『ゲーテは茎と葉を同一の器官と考え、その先端が葉に、基部が茎になると考えた』
こんなところに ゲーテが出てくるんですね。
『初期の陸上植物にはリニアのように葉が全くなく、中心に維管束を持つ二又分枝をした枝だけからなるものがあることが分かった。このような形からすべての植物の構造を導こうとするのがテローム説である。』
根と茎の分化は海の中でおこったが、
茎は 陸に上がって 茎と葉に分化した。
葉が 太陽の光が浴びやすく 光合成を盛んにするための進化。
西田氏は 前進説を唱えている
『陸上植物の進化は,ある種の淡水産緑藻が細胞層を厚くして乾燥に耐えるように適応し,下部の細胞が吸水と地面への固着の役目をもつようになって,最初の陸上植物であるコケ植物が出現し,さらに,体のつくりが複雑化して維管束系を発達させ,陸上生活により適したシダ植物が現われてきたと考えられている。この考え方は,まず,コケの段階を経て,シダに進み,さらに,種子植物への段階へと一つ一つの進化段階を登るように前進的に進化してきた』
『現生のシダとは様相を異にする維管束をもった植物やコケとも違った維管束をもたない植物が混在していたと考えられている。そのような混在状態から真の維管束が分化したとされている。さらに,オルドビス紀(約4.5億年前)からは最初期の陸上植物のものとみられる破片や胞子がみつかるようになり,その特徴はコケ植物に近いことがわかっている。』
ラン藻類→緑藻類→コケ類→シダ類・・・種子植物。
と 進化していった。 -
動物の進化と植物の進化がいかに全体的に連動しているか納得できる。世界の全体像の一端に触れたい人に選んでほしい。