- Amazon.co.jp ・本 (491ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140054086
作品紹介・あらすじ
姑・お清との確執、佐賀でのつらい忍従の日々、東京・山形への出奔、加賀屋のくにと加代の死、見知らぬ伊勢での商売、そして戦争は愛する者の命を奪った…。二十世紀を駆け抜けた"おしん"という日本人の生き様がここにある。いま、また日本中に感動と涙の嵐を呼ぶ名作ドラマの小説化いよいよ完結。
感想・レビュー・書評
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昔の女の人が皆こんなだったとは思いませんが、多かれ少なかれ同じような境遇で、同じような経験をしている、部分部分であってもそういう人たちの共感を呼び、あのようなヒット作になったんだなぁと今さらながら思わせられる小説でした。
並行してドラマも見ているのですがあらすじは概ね同じようなものです。
私を含めて今の人にこういう生き方を見せられても、自分と重ねて考えることは絶対できないし、ましてや説教されても反感を覚えるだけですが、これも日本の歴史の一部として捉え心に刻んで置くことは大事なことだと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
関東大震災から命からがら夫の故郷へ逃れたおしんに待っていたのは、姑や小舅からの壮絶ないじめだった…という想像どおりのシーンから下巻がスタート。
おしんの夫・田倉竜三の佐賀でのふるまいも私がイメージする古いタイプの九州男児そのままで、あまりにも気の毒なおしんの境遇にイライラギリギリ。そして、どんな酷い仕打ちをされても時がたつと良い想い出として消化できるおしんの強さに脱帽。最後までしっかり楽しめました。
おしんの生涯を通して描かれているのは、家のために犠牲になるのが当然でもあった明治の女たちの生き様であり、食うにも困るほど貧しい人々がいた明治から豊かすぎる今日まで発展してきた日本の歩みである。
あとがきで、本当に伝えたかったメッセージは、忍耐や辛抱の大切さよりも「身の丈に合った幸せでいいのではないか」ということだったと書かれていた。下巻後半からは特にその思いがしっかり伝わってきた。
上下巻を通して、奉公に出された少女時代の頃の話がいちばん心に響くものがあったなぁ。
余談ですが、渡る世間は鬼ばかりでもおなじみの「~って法はないだろう」とか「~な道理がない」という言い回しは小説の中でも健在。