ルーム・オブ・ワンダー

  • NHK出版
3.83
  • (9)
  • (9)
  • (9)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 102
感想 : 14
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140056974

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • NetGalleyとNHK出版のご厚意で読了させて頂いた。

    一言で言うと、すごい。最高だった。

    シングルマザーのパリジェンヌ、テルマは、事故で、息子のルイが昏睡状態に陥る不幸に見舞われた。医師の見立てはどこまでも厳しい。でも、ルイを意識を戻すには、周囲の人々の働きかけが重要と言われ、テルマはある行動に出る。

    さあ、ここからが問題。一体彼女は何をしたのか。

    悲嘆にくれたあとの、テルマの行動は、意外の一言。そして、すごい。多くは言わないが、あなた、パリから東京まで来る?その状況で。

    彼女が何をしたかは、実際読んでいただきたい。

    お医者や薬を探して旅に出たのでのはない。

    それならよくあるお話で、闘病小説のパターンねと思うけど、正直予想の全然斜め上を行く展開だった。

    すごすぎて絶対にネタバレしたくないのだ。

    全編、状況は切迫している。でも全然暗くない。疾走感さえある。テルマはルイの状況が刻々と厳しくなることはちゃんと理解をしている。

    した上での『行動に次ぐ行動』。

    それがルイの生還に、プラスに働くかマイナスに働くかは、最後の最後までわからない。予想さえつかない。その峻厳さが、このお話にリアルさをもたらしている。

    こんなお話、読んだことがない。

    私は最初、テルマのことを、愛息が事故にあったせいで心を病んでしまうのかしら?って思っていた。

    いやいや。そんなつまらない展開じゃない。

    ちょうどテルマの年齢は、まだエネルギーもあって、転機を掴める年齢だ。

    本当に自分が愛しているものはなにか。
    本当にしたかったことはなにか。

    きっと読み終わると

    「遅すぎるってことは、ないはず。」

    と、呟きたくなると思う。

    また、この本に登場する映画『テルマ&ルイーズ』を楽しんでから、ルーム・オブ・ワンダーの映像化を脳内キャスティングするのも読後の楽しみにお勧めする。ぜひ多くの人に読まれて、映画にもなって欲しい。

  • 母テルマの目の前で、
    息子のルイが交通事故にあい、
    昏睡状態になってしまいます。

    そんなとき、
    ルイの部屋でテルマが見つけた1冊の手帳が
    テルマとルイ、そしてまわりの人生をも変えていく、
    そんなお話です。

    読み始めだけでは、ラストばかり全く想像がつきません。

    読み終えたときは
    なんだか自分もテルマとともに人生が変わったような、
    そんな感覚でした。

    夢は思うものでなく叶えるもの。
    叶えるためには行動あるのみ。
    間違っても成功しても、動いた先には新しい世界が見えてくるんだと思えました。

    私の息子はこれから思春期を迎えますが、
    この小説は「息子」の心理をも教えてくれました。

    たくさんのことがつまった小説ですが、
    詰め込みすぎな感じはなく、
    最後まで読んでしまいます。

    日々なんとなく悶々としているあなたに
    おすすめしたい本です。

  • キャリアウーマンでシングルマザーで一人息子っていう設定が好きで、しかも舞台はパリ!ってことで、つい食いついてしまった。(ちなみに、その逆のシングルファーザー&一人娘っていう設定も大好きです・・・)

    読んでみると、自分探し&イケメンとの出会いっていう、まあ、言い方は悪いけど、中年女性が主人公の年配版ライトノベル、って感じでした。
    私はライトノベルがどのジャンルよりも読んでいて疲れるので、延々と続くおちゃめ系モノローグが正直しんどかったですが、逆に重たい純文学が苦手な人にはおすすめします。
    映画的な展開で、ポジティブで元気が出ます。

    もう少しディテールがリアルだと良かったかなぁ。あくまでも個人的な好みですが。
    息子の夢があまりにも中年っぽすぎる。カラー・ランとか、夜景とか。
    オフィスシーンで挙げられている「トラブル」も、15年ものキャリアがある人にとってはトラブルのうちに入らない気がします。新人が思い浮かべるトラブルって感じ。

    「みんな、自分が15歳だったときのアドレナリンに執着している」(P188)と書いてあって、確かにこの本で主人公が感じるカタルシスは15歳的アドレナリンが発動されるものばかり。同じページに「自分の記憶に残る本当の人生とは――若さという恩寵のときの継続以外の何ものでもない」「おとながいちばんやりたいことは、あの青春の一ページをもう一度めくってみることであり」などという記述もあり、「は?」と思った。
    私は年をとってあの手の欲求(露天風呂で踊ってはしゃぐようなことに参加したい、と思うこと)から解放されてずいぶん楽になったと感じている人間なので、ここはまったく同意できない。

  • 最後のメッセージがよかった。

  • また本を読み始めることができた、きっかけとなった本です。読みやすく元気をもらえる本でした。
    子供欲しい…という気持ちも強くなりました。

  • 2019.08.12

  • This is a nice and heart-warming story about a single mother and her son. Thelma is French and has a 12-year old son, Louis. There are two important things in her life. One is her work and the other is Louis, her beloved son. She works as marketing director in a big cosmetics maker. She is proud of her job and earns enough money to raise Louis. Their lives are ok until something terrible happens. One day, Louis has a serious car accident and becomes comatose. Suddenly, Thelma’s life is collapsed and completely changes. She starts blaming herself, drinks a lot of alcohol, even quits her job. Then, something happens that changes her life. She finds a notebook at Louis’s room. The notebook describes his bucket list. What he wants to do before he dies seems unusual, but Thelma decides to do one by one in the list instead of Louis, hoping that the actions might make Louis wake from coma. First, she goes to Tokyo, then goes to Budapest, et cetera. Gradually, she learns something important through her adventures based on his bucket list. What happens at last? Is Louis able to wake? Well, why do not you read this story if you are interested in the ending?
    (じんじんさん)

  • 事故で昏睡状態に陥った息子のベッドルームでみつけた「やりたいことリスト」。無職になったばかりのシングルマザーの母親は、息子の代わりに全て実現させていくことを決める。

    バリキャリシングルマザーの主人公が、息子の事故ののち自分を振り返り、人生を取り戻していく1ヶ月。降って湧いたようなロマンスもあり、全てがうまくいくエンディングで、ハリウッドで映画化されそうー!って感じ。

    ※ あとで気づいたけど、余命宣告された2人の男がやりたいことリストを手に旅をする「最高の人生の見つけ方 The Bucket List」がハリウッドで公開されたあと出版されてるから、むしろこっちの本がアイディアをそこから得てるかも…。

    翻訳者の方、全体にとても読みやすい文章だし上手だとは思うけど、13歳の少年が「おふくろ」なんて言わないよー!その単語ひとつで一気に覚める。

  • 息子が交通事故で昏睡状態になり、仕事ばかりだった母は息子の「やりたいことリスト」に挑む…という、重いところもあるはずの話なのだけど、さらっと読めた。
    文章と訳が読みやすいのも大きな理由だけど、話自体もさらっと軽いので…。

  • 一気に読み終わった。読みやすいかつ面白い。東京訪れるシーンもあって外人がどう楽しむのかとフムフム。最後のシーンを読んだとき、先をイメージしてない自分に気づき面白いだけでなく考えさせられた。

全14件中 1 - 10件を表示

ジュリアン・サンドレルの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×