- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140815007
作品紹介・あらすじ
死を見つめることは、生き方を問うこと。限りある人生をいかに充実した時間にするのか、死生学のデーケン氏が語る珠玉のメッセージ。
感想・レビュー・書評
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某所読書会課題図書.10章の死へのプロセスが良い.否認、怒り、取引(「人生の見直しと再評価」の時期)、抑うつ、受容、期待と希望.著者がロス博士の五段階に最後の「期待と希望」を追加した由.死生学あるいはデス・エデュケーション学は日本の現代社会で前向きに取り上げられる事例は非常に少ないが、これは誰もが考えておくべき問題だと痛感した.ドイツ語で動物人間の死に対して別の言葉(vereenden, sterben)があるとの紹介があったが、人間の死に対する感覚が違うのかもしれない.死に直面したトマス・モアの祈り(p124)は素晴らしい.ユーモアの極致と言えよう.
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「2011年 私のオススメの1冊」
所蔵なし -
死のタブー化、中世の人にとって死は生涯をかけて学ぶべき芸術の一つ「死の芸術」。20世紀には死は敗北と見なす考え方になっている。死は科学万能の技術信仰に逆らうものだから。
自殺をセンセーショナルに扱わないために、マスメディアに提言。
1、自殺の方法を具体的に詳しく教えるような記事は書かない
2、自殺者の過去の行動を美化して報道しない
3、自殺未遂の場合、脳障害や全身麻痺のような長く続く後遺症が残る可能性があることをはっきり伝える。
リビングウィル、自分の意志を明確に記した文書
「日本尊厳死協会」の「尊厳死の宣言書」や「終末期を考える市民の会」の「終末期宣言書」などがあります。それに加えて「医療判断代理委任状」を内容に含む、事前指示書もある。
安楽死と尊厳死
積極的安楽死とは患者の死期を早めることを直接の目的とする医学的処置、いわば殺人
消極的安楽死は、延命のための人工的な特別な処置を一定の予測のもとに中止したり、あるいは最初から使わないで、自然のままに死を迎えようとすること。
尊厳死は、消極的安楽死というよりも、もっと広く、人間としての尊厳に満ちた死の迎え方
死への準備教育、4つのレベル
1、知識 2、価値観 3、感情 4、技術
死の準備教育、15の目録
1、死へのプロセスならびに死にゆく患者の抱える多様な問題とニーズについて理解を促し、終末期にある患者によりよく援助できるようにする
2、生涯を通じて自分自身の死を準備し、自分だけのかけがえのない死を全うできるように、死についてのより深い思索を促します
3、悲嘆教育(グリーフエデュケーション)を理解する
4、死への恐怖をやわらげる
5、タブーを取り除く
6、自殺の心理を理解して、自殺を予防する
7、告知と患者の知る権利を理解する
8、死へのプロセスをめぐる倫理的な問題への認識を促す
9、医学と法律に関わる諸問題を理解する
10、葬儀の準備
11、時間の貴重さ、自己の有限性、価値観の修正
12、死の芸術、よき往生、第3の人生の方向付け
13、個人的な死の哲学の探究
14、宗教における死のさまざまな解釈を探る
価値観を再評価する練習
1、あなたの人生で大切なものを10挙げてください
2、その中で、最も失いたくないものを1番にして、自分にとって大切なものの順にナンバーをふってください
3、あなたが実際にいま、自分の人生の時間をなんのためにどのように使っているかを10書き出して、前のリストと比べてみてください
4、どちらも同じ項目が同じ順位にあれば、今の生き方で十分調和がとれている
5、もしミスマッチがあれば、これからの生活をどう変えていくべきか考えてください
パスカルは、「信じればすべてを手に入れることができ、そのことで失うものは何もないのだから、死後の永遠の生命を信じる決断のほうに賭けるべきだ」と結論づけた -
途中までは概論的で、やや退屈だった。後半でホスピスを論じ始めた頃から、氏の長年の思索や体験に裏打ちされた「境地」が見えてきて、ワクワクした。少しでも、氏の仕事を引き継いでいきたいものだと思う。