バイオパンク DIY科学者たちのDNAハック!

  • NHK出版
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感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140815328

作品紹介・あらすじ

コンピュータハッカーの第一世代が自宅のガレージで革新的な技術やソフトウェアを生み出したように、21世紀のバイオハッカーたちも自宅のガレージやキッチンで、オープンソースのDNAデータを使って生命言語の操作に乗り出している。MITを卒業後、遺伝疾患の原因遺伝子の有無を調べる検査法を自宅のクローゼットで開発した才媛。会社勤めの傍らオープンソースのサーマルサイクラーを製作する青年たち。独学で身につけた遺伝子組み換え技術で、粉ミルクに混入した有毒物質を検出できる乳酸菌を開発した女性。シリコンバレーの住宅街のキッチンで、癌治療薬の研究に乗り出した二人組-。本書は、大学や企業といった組織に属さないアウトサイダー科学者たちがくり広げる、生命科学の最前線レポートである。

感想・レビュー・書評

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  • ホリエモン推薦本。
    自宅のキッチンやガレージで、DIY的に遺伝子操作が行われはじめている。研究所や企業の研究とはまた違ったDNAにまつわる物語。
    コンピュータとインターネットがあればひとり起業できるように、生命科学もひとり起業ができるところまで進んでいるのかと驚いた。

  • コンピュータのOSリナックスやファイアフォックスはオープン化することで急速な発展を遂げた、それに倣い遺伝子情報も万人がアクセスできるようにすれば、この分野も急速の進歩を遂げられるはずという楽天的な性善説に立つのがDIYバイオハッカーたちです。
    ところが病原体を死滅させる方法を見つけられるのなら、病原体をつくりだす方法も同様に可能だという危険性を指摘するのが反対派です。
    本書でも触れられているように、ハードウェアのバグによって社会的に大きな被害が出たとしても、最終的には人間が制御可能だが、遺伝子は制御不能というか、未知のものが多すぎて、問題が発覚したからと言ってすぐに回収や取り消しができるわけでもなく、遺伝子自身の暴走(増殖)を止めることができないという別次元の大問題を内包しています。
    また、技術の発展が世界を変える原動力となるのは確かだが、その一方で天然資源の減少や文化の消失、急激な気候変動などというコストを犠牲にしている事実がある以上、過度の技術力信仰は控えるべきでしょう。

    結局、このデリケートな問題は遺伝子情報を扱う人間の性善説を信じるか、それとも性悪説に立つかによって、景色はがらりと変わってきますが、一定数の悪意を持ったマッドサイエンティストの存在を否定できない以上(もしくは金のために魂を売る)、さらには遺伝子の暴走を止める術がわからない以上、私はオープン化には控えめであるべきだと思います。
    著者も訳者もどちらかといえばオープン化推進派のようですが・・

  • 「刑務所なう。2」

  • 規制にとらわれず活動する生命科学者とその夢をいきいきと描く。生命科学には信じられないほどの未来が秘められていると思う。しかし、ITによる世界の変革が例にだされていることに違和感がある。工学やITは人間が作り出したものでる。一方で生命科学は自然の中で作られた生き物を扱うのでなかなかうまくいかない。そういった違いに触れられていないこともないが、そういったほかの技術との違いは意識しておかなければならないと感じた。

  • 確かに、遺伝子の切り貼りは台所レベルの温度管理と材料と酵素があればできるけれども、町中でインフルエンザの研究されても困るだろう。特に変な人達が研究しだしたら収集がつかない。
    研究機関では、専門知識を持った人がレベル4の陰圧設備の中で実験しているのだから・・・。いかにもアメリカ的な主張だが、リスクが高すぎると思った。

  • 明らかにメイカーズを意識した内容だけど、その技術の凄さよりも人物紹介に重きを置いているので、とても頭の良い人たちなんだなとは思うが、どれだけ凄いことをしているのかはよく理解できなかった
    とはいえ必読な書籍であることには変わりありませんが

  • ガレージでIT関連の企業が増えたり、最近では「メイカーズ」というDIYの流れが合ったりするが、この本で書かれているのも似たような”自分でやる”精神を持った人たちの話。何をやるかと言えば、「生物学」(主に遺伝子工学)。
    遺伝子を読んだり、自分で書いたりする機材が発展したこなどとから、自宅のラボでガンの特効薬を作ろうとしたり、途上国向けに安価な検査キットを作成したり、こういったDIY生物学のムーブメントを推し進めるためにいい感じのガレージをレンタルするサービスを立ち上げたり、思い思いの形で”自分で生物学している”人たちを描いている。
    とはいっても、「ガレージで細菌を使って日夜何かを研究している人が隣にいる」というのは一般人からしたら怖い話で、規制すべきか、今アメリカでは問題にもなっているそうだ。
    そういった偏見に対して、DIY生物学者たちは以下の3点から筋違いだと反論している。
    1:一から合成生物や新種の細菌を作るのは(現段階では)不可能
    2:例えできたとしても、適者生存の厳しい自然界では”温室育ち”の細菌など生きてはいけない
    3:そもそも、わざわざ遺伝子操作して生物兵器を作らなくても、キッチンでちょっとした操作をするだけですぐに危険物は作れる
    また、FBI捜査官の中には、こういったDIY生物学者たちをFBIとつなげておくことで、近隣で何か生物学的な危険物を作っている怪しい人物がいれば通報するよう、セミプロたちのネットワークを形成してお互いの発展を促進しようとする人もいるらしい。
    日本では全く馴染みのないことだけど、DIY生物学者は日本にはどれくらいいるのだろうか?

    ---
    こういう翻訳物に付き物なのだけれど、真ん中辺りでダレる

  • 自宅やガレージで,バイオテクノロジーを駆使して,DIY生物学をやってしまう人達を取材した本でした.

    前に読んだ「オープンサイエンス革命」との関連で考えると,本文にある「バイオパンクをその気にさせてきた技術,彼等の活動を可能にしてきた技術の大半は,過去四〇年の学・産・官のラボから生まれたものだ」というのは重要な指摘だと思います.

  • 最近バイオ(生物学)の世界がにぎわっていて、次のビジネスのトレンドとしてバイオが来ると言われてたりもするので勉強のためにKidleで購入。

    本作は、企業ではなく個人として「DIY生物学」を実践するバイオハッカーにフォーカスしている。

    IT業界において(IBMやOracleのような大企業とは違い)ガレージからAppleが生まれたり、学生寮でFacebookが生まれたようなことが今後はバイオ業界(医療・製薬)の世界でも起こるという。

    自分の知らない世界における、イケてる研究者たちの活動が垣間見れた。

    --

    Memo


    整形の設計し地所であるDNAコードはコンピュータのプログラミングに使うコードに驚くほど似ている

    バイオテクノロジーの本質は、遺伝子を混ぜたり配列を組み換えたりして、自然界に現存しないものをつくり出すことだ。

    遺伝子のアルファベットでできた文字列の意味を解読する研究をゲノミクスという。

    DIYバイオのメンバーは、科学をもっと遊び心のあるものにしたい、そのカギとなるのは価格を下げることだと考えている。もう一つのカギは場所だ。

    ティンカーすることは、想像力の本質だ

    城壁内にある知見は権力を保持したい数人の利益にしかならないが、開放された治験は万人の役に立つ、というのがバイオパンクたちの考え方だ。

  • ホリエモン推薦

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