脳のワーキングメモリを鍛える! 情報を選ぶ・つなぐ・活用する

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140816233

作品紹介・あらすじ

IQが高いのに実績が上がらない人、低いのに成功する人がいる。その原因は、「ワーキングメモリ」。日々の仕事に優先順位をつけたり、とっさの場合に機転をきかせたり、まさに脳の司令塔ともいえる認知機能だ。この機能を強化すれば-仕事のスピードがあがる。記憶力が飛躍的にアップする。あらゆるスポーツの腕があがる。くわえて、ダイエットに成功できる、うつや認知症になりにくくなるなど、人生の質をあげることもできる。ワーキングメモリは30代をピークに衰えはじめ、さまざまな点で支障が出てくるが、幸い鍛えなおすことができる。ワーキングメモリ研究の第一人者が、最新の脳科学でメカニズムを解説するとともに、豊富なエクササイズを紹介し、最適な習慣・食生活・運動について提案する。

感想・レビュー・書評

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  • ワーキングメモリ、日本語で言えば作業記憶と呼ばれるものがどういうものなのか、そしてどのように活用されているのかを丁寧に説明されています。

    日常の生活、仕事、スポーツなどあらゆる場面でワーキングメモリがどのように関わっているかがわかれば作業効率の上げ方というがわかってきます。

    この本お面白いのはワーキングメモリを使いましょう的な説明だけがしているのではなく、ワーキングメモリを使わないことの有効性も説明している点。

    本の後半ではワーキングメモリを鍛える方法が載っていますが、食事や運動、睡眠、ストレスフリーな生活など案外、特別なことではないというのがポイントですね。

    要は丁寧な生活を心がけることが大事なんです。
    面白かったです。

  • ワーキングメモリ(意識して情報を処理する脳の能力)について、その働きや改善方法を詳しく解説した本。
    ワーキングメモリは、習慣に関する類書などで「意志力」「自制心」などと表現されているものとほぼ同義だと理解した。ただし、本書では脳の各部位を取り上げて説明している分、心理学よりも脳科学に寄せた内容となっている。
    第1部では、ワーキングメモリの果たす役割や、ワーキングメモリが弱いとどんな問題が起きるかを様々な分野ごとに解説している。ここを読むと、IQや記憶力(長期記憶)よりもワーキングメモリが遥かに重要だと思えてくる。
    第2部では、ワーキングメモリの発達と衰え、トレーニング法などを解説している。(この部分が画期的であれば★星5つにして購入したのだが……、第1部と合わせて「一度読めば必要十分」と判断し★星4つにした。)

    新たに学んだ点:
    ・子どものIQは親の収入に比例するが、子どものワーキングメモリは親の収入や教育レベルと無関係である。しかも、学業成績はIQよりもワーキングメモリに依存する。
    ・ジョギングやマラソンはワーキングメモリを強化する。(ウォーキングでは効果がない。)裸足で屋外を走れば大量の情報が足裏から常にもたらされる上、地面の状態に注意しなければならないため、ワーキングメモリが大いに刺激される。
    ・ルディガー・ガムの掛け算のアルゴリズム…左の桁から右の桁へと数を掛け、結果を足す。この手順を繰り返す。暗算がやりやすくなる上にワーキングメモリが活性化する。

    覚えておきたい点:
    ・スポーツではむしろワーキングメモリを使わない状態(小脳と運動皮質が直接情報をやり取りする状態。ゾーンに入ること)の方がうまく動ける。
    ・疲労するとワーキングメモリのスイッチがオフになる。この状態のほうが新たな運動技能を習得するには向いている。
    ・会議中、講義中など眠くて集中できない時はイタズラ書きをするとワーキングメモリの覚醒状態を保つことができる。
    ・自然にはワーキングメモリを回復させる効果があり、短時間、自然に触れるだけでも違いが生じる。

  • ワーキングメモリをサポートするエクササイズは、聞き手に合わせる、テレビを消す、賢く眠る、ランニング、外国語を学ぶ、引退すべからず、脳に栄養を与える(トランス脂肪酸満載のジャンクフードを摂取しない)、摂取、香りで刺激する(ローズマリーやペパーミント)。

  • 自分自身が「ワーキングメモリ」の衰えに直面している(人の名前が出てこない、昔の記憶が引き出せない、知っているはずの言葉が出てこない、など)。したがって、着強い個人的な興味を持って読み始めた。ランニング、特に裸足ランニングがワーキングメモリの改善に有効らしい。ランニングが脳によい、というのは最近の学説として共通理解になっているようだ。

    本書の内容だが、結局いろいろと書いてあるのだけれど、科学的記述という観点からすると最初から最後までいい加減すぎて、期待するものがあった分正直がっかりするものだった。「効果がある」とか「衰えやすい」のような定性的なワードが並ぶが、対象となる測定量の測定方法も定義されておらず、結果としてあいまいな内容の記述が最後まで並ぶ。これだけページ数を多く取っており、研究者の著作であるのだから、もう少し厳密で具体的な表現が可能であったはずだ。わかりやすさを求めた結果なのかもしれないが、かえって理解を妨げている。そもそも「ワーキングメモリのスコア」という指標が何度も言及されるが、これがどういう測定方法によって測定される指標なのかが不明だ。ワーキングメモリが「強い」とか「弱い」とか書かれているが、いったい何を基準として強くいのか弱いのか定義がそもそもわからない。他にも例を出すと、「数独が得意な人は、数独が苦手な人よりも、ワーキングメモリのスコアが50パーセントも高いことがわかった」とさらっと書かれている。「得意」と「苦手」の区別をどこで線を引いているのかもわからないし、スコアを測るためにどういうテストをして、どのような定量的な点数付けがされるのかも不明なのに「50パーセント高い」というのは、質の悪い広告以下だ。
    こうなるとあいまいであるということだけでなく、この本に書いてあることの信ぴょう性にも疑いが出てくる。

    太字で「IQとは、あなたが知っていること。いっぽうワーキングメモリとは、あなたが知っていることを利用してできることだ」と書かれても、そもそもIQの定義ってそうではないよね。

    ワーキングメモリに関与する脳の部位として、前頭前皮質、海馬、偏桃体、頭頂間溝、ブローカー野が挙げられるのだが、これだけ脳神経科学が進化しているのに具体的にそれらがどのように協調してワーキングメモリの機能を実現しているのかは、ほぼ説明にもなっていない説明がされているのみ。

    そもそもワーキングメモリは、「意識して情報を処理すること」だと定義される。また、「意識する」=「その情報を頭のなかに置くこと」、「処理する」=「その情報を操作し、その情報に取り組み、その情報で計算し、その情報を扱いやすく変えること」らしい。その機能は、「1.優先順位をつけてから、情報を処理する。関係のないものは無視し、必要な情報から処理できるようにする。」「2.情報を利用して作業できるよう、保管する。」である。広すぎて釈然としない。その定義からして、とにかく何でもワーキングメモリの役割になってしまって、科学書ではなく安っぽい啓蒙書を読んでいるようだ。

    最悪なのは訳者あとがきにて、「原書の最後には、ネアンデルタール人の時代まで歴史をさかのぼり、ワーキングメモリの誕生について述べた章がありましたが、専門的記述が多いため、著者の了解を得たうえで割愛させていただきました。また、他の章でも、内容に重複が見られた箇所は同様に割愛させていだだきました」とある点だ。どういう判断をしたのかわからないが、割愛されたという内容は自分は興味があるポイントである。訳者の判断なのか、出版社の編集者の判断なのか(分厚いと売れない)不明だが、専門的であるからと理由で割愛するべきところではない。そして、こうなると翻訳にも信用がおけなくなってくる。

    ワーキングメモリ含めて脳機能の認識機能とその衰えについてはとても興味があるんだが。残念。

  • 1.選択肢の数を最小限に抑える
    選択肢が多すぎるとワーキングメモリに過負荷がかかり、さまざまな悪影響が及ぶ。ストレスや不安が増大したり、判断力が鈍ったり、正しい選択をしたかどうか自信がもてず、くよくよと考え込んだりしがちになるのだ。だから幸福になりたいのなら、選択肢の数を最小限に抑えよう。職場では「この時間はこの作業に専念する」と決めよう。パソコン画面には複数のプログラムではなく、ひとつのプログラムだけを立ちあげよう。いちいち画面を切り替え、複数のプログラムを行ったり来たりするよりも、作業に集中しやすくなる。


    ■2.ランニングする
     イリノイ大学の研究によれば、ランニングはワーキングメモリも改善する。運動するとワーキングメモリを強化できるのではないかと考えた研究チームは、どんなスポーツがもっとも効果があるかを調べることにした。(中略)
    いくらウェイトをもちあげたところで、ワーキングメモリに測定可能な改善は見られないというのに、ランニングは頭脳の力を大きく上げたのである。とりわけランニングの直後、ワーキングメモリの能力が急上昇した。たった30分間のランニングであろうと、その直後は、ランニングの前よリワーキングメモリの働きが向上したのである。


    ■3.オメガ3脂肪酸のサプリメントを摂取する
    オメガ3脂肪酸が、いわばワーキングメモリ増強剤であることは、科学的に証明されている。たとえ、あなたが健康で元気いっぱいの若者で、おそろしく頭が切れるとしても、オメガ3脂肪酸を摂取すればワーキングメモリの性能はさらに向上する。2012年におこなわれた研究では、6か月間、健康な若者(18~25歳)に、オメガ3脂肪酸を摂取させたところ、半年後、彼らのワーキングメモリは大きく改善された。他方、オメガ3脂肪酸の欠乏はワーキングメモリに悪影響を及ぼすという報告もあがっている。

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    ■4.ローズマリーの香りを嗅ぐ
     2003年の実験で、モスは被験者の成人をローズマリーのグループ、ラベンダーのグループ、そして何も嗅がない対照群という3つのグループに無作為に分けた。(中略)
     するとローズマリーのグループは、対照群と比較して、ワーキングメモリ課題で高スコアを獲得した。ところが、ラベンダーは逆効果であることがわかった。ラベンダーのグループのスコアは、対照群のそれより低かったのだ。ローズマリーには覚醒作用があるので、ワーキングメモリが改善され、ラベンダーには鎮静作用があるため、ワーキングメモリには逆効果だったのではないかと、モスは推測している。


    ■5.整理整頓を心がける
    ワーキングメモリに関する知識に基づいて考えれば、そして、散らかっていた場所と散らかっていない場所での生活に予想を超える違いがあった実体験から考えれば、生活空間や職場にものが多けれぽ多いほど、ワーキングメモリの働きが悪くなり、日常生活のさまざまな場面に悪影響が及ぶはずだ。必要な書類をさがしだす作業にワーキングメモリがかかりっきりになっていると――「ほら、明細が書いてあったあの書類、どこに置いた?」「知らない。どこかにしまったんでしょ?」――あなたは本来の仕事にワーキングメモリを専念させることができなくなる。


    ■6.暗算する
     暗算は、ワーキングメモリを強化する。というのも、暗算をするには、さまざまな数字を同時に覚えなければならないからだ。数を左から右に順に掛けていき、そのつど、足していくのが、暗算のもっともわかりやすい方法だ。

    (例) 39×7の場合
    ・3O×7=210
    ・9×7=63
    ・210+63=273


    ■7.テレビを消す
     子どものワーキングメモリをサポートするうえで欠かせないのは、テレビを消すことだ。研究によれば、子どもがテレビにさらされる時間が長ければ長いほど、注意などに関する面で発達に問題がでるリスクが高まり、ワーキングメモリが正常に発達しにくくなる。では、いったいどうすれば、テレビを消すことを子どもに納得してもらえるだろう? 率直に、ていねいに、子どもたちに説明しよう。テレビを観ていると集中力が衰えるおそれがあるうえ、生活のさまざまを場面に悪影響が及ぶ可能性があることを説明しよう。

    本書ではいくつかの章の終わりに、その章の内容に関連した「ワーキングメモリ・エクササイズ」を収録していますので、それぞれお試しアレ。

    さらに第7章以降の第2部では、「ワーキングメモリを改善する」というタイトル通り、実践的な内容となっています。

    勉強本オタクとしては、記憶の達人が活用する3つのテクニック(「コードブレーカー」「ブートストラッピング」「チャンキング」)辺りも触れたかったのですが、かなり細かい内容なので、これまた本書にてご確認を。

  • 斜め読み。

    睡眠、整理整頓、適度な運動。
    何事も”過ぎる”のは良くない。

    相手の必要なクイズやテストは、試すことができなかった。


  •  まだ途中だけど、とっても興味深かった。
     人間の悩みの多く、例えば発達障害とかダイエットとか学力とかは、遺伝とか本人の意思の弱さとか環境とかで片付けられることが多い。事実それもある。
     でも、それは鍛えるられるワーキングメモリという力で、ある程度改善することができるらしい。
     多くの人の救いになる本だと思った。
     
     

  • 自分に足りないものを探してここに行き着いた。この本には解決策が載っている事が素晴らしい

  • 頭の良さを、IQではなく、作業領域(ワーキングメモリ)の観点で分析したもの。IQには親の経済力と相関があるが、ワーキングメモリにはないという。真の賢さが、このワーキングメモリの働きによるものだという。昨今、遺伝子的に頭の良さは決まってしまっているという説も増えているなか、こうした話は希望が持てる。

  • ワーキングメモリーの構造をとく。
    正面から事象と向き合っているので参考になる。
    浪費しないように使いたい鍛えたいものである。

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