綻びゆくアメリカ 歴史の転換点に生きる人々の物語

  • NHK出版
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本棚登録 : 134
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (696ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140816486

感想・レビュー・書評

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  • ピーターティールがインタービューを受けている

  • ふむ

  • 街だったり人だったりの歴史を書いてる。

    綻んでいる例を上げるだけなら誰でもできる。

    面白くなかった。

  • すごい本である。現代アメリカを生きる多様な人達の姿を通じて、全く世界観が噛み合わない様を描き出す。
    大統領選挙における分断の深刻さは、この本を読むとよく理解できる。

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】
    ・P142まで

    【目次】

  •  700ページ近い大著である。
     タイトルだけ見ると、サミュエル・ハンチントンの『分断されるアメリカ』のような政治評論みたいだが、そうではない。市井のアメリカ人4人を“主人公”にしたノンフィクションであり、著者の筆致は評論というよりも小説に近い。

     4人の半生を、著者は克明に追う。その合間に、日本人でも知っている著名なアメリカ人10人(コリン・パウエル、レイモンド・カーヴァー、オプラ・ウィンフリーなど)の物語が挿入される。そして、彼らの半生の背後に、大国アメリカの「歴史の転換点」が鮮やかに浮かび上がる。

     濃密な人物ノンフィクションを集めた内容でありながら、真の主人公はアメリカという国そのものであるという、凝った趣向の本なのだ。

     小説家・劇作家でもあるという著者の文章は、すごくカッコイイ。キザで鼻持ちならない文章の一歩手前で踏みとどまって、我々ライターに「真似してみたい」と思わせる文章なのである。
     一つ引用してみよう。

    《ときおり、ジャック・ダニエルズを片手に夜が更けるまでフロントポーチに腰かけ、ルート二二◯を南下するトラックの音に耳を澄ませた。鶏が押し込められた木箱を食肉解体場へと運んでいるのだ。組織ぐるみの犯罪行為であるかのように、鶏たちはきまって夜の闇に紛れて運ばれた。成長ホルモンをふんだんに投与された鶏は太りすぎて歩くこともままならない。ディーンは処刑された鶏たちが肉片となり、まばゆい照明に彩られたボージャングルズのある丘に戻ってくる様子をまざまざと頭に描いた。その肉は自分の仕事を嫌悪する従業員によって煮えたぎる油の湯に放り込まれる。彼らが調理する食べ物には憎悪が染みつき、それを口にする客は脂肪を蓄え、そのうち糖尿病か心臓病でグリーンズボロの病院に運ばれて世間の厄介者となる。やがて、彼らがメイヨーダンのウォルマートを電動カートで移動するのを見かける日が来るだろう。太りすぎて自分の脚では広いスーパーセンターをまわりきれないのだ。まるで成長ホルモン漬けの鶏のように。》

     この一文でわかるとおり、ありふれた日常の光景を描く場面でさえ、まるで上質なハードボイルド小説のようなカッコよさなのだ(訳もよい)。  

  • 第二次世界大戦後、戦場となり疲れ切ったヨーロッパ列強に変わり、
    唯一の超大国となったアメリカ合衆国。しかし、そんなアメリカにも
    変化の波は徐々に迫っていた。

    『繁栄からこぼれ落ちたもうひとつアメリカ 果てしない貧困と闘う
    「ふつう」の人たちの30年の記録』(デール・マハリッジ/マイケル・
    ウィリアムソン ダイヤモンド社)は、懸命に働いても貧困から逃れ
    られず彷徨う人々を追った30年の記録だった。

    本書も変わり行くアメリカで生きる4人を中心に時代を追った作品だ
    が、『繁栄から…』が取材者の視点が多く含まれていたのに比較し、
    本書は取材者の視点がまったくない。ひたすら対象者の生きて来た
    道のりを描くことに終始している。

    4人のなかでも特に興味深かったのはひとつの町の衰退をつぶさに
    見て来たシングル・マザーの黒人女性だ。彼女が生まれ育ったのは
    ヤングスタウン。ブルース・スプリングスティーンが楽曲の題材にも
    した町だ。

    製鉄業で栄えたヤングスタウンは産業が空洞化した町は、このよう
    に滅びて行くとの見本のようになってしまった。かつては裕福な白人
    が多く暮らし、彼女は祖母は富裕な未亡人の家で家政婦として働き、
    居心地のいい自分の家を手に入れた。

    しかし、アメリカ政府が結んだ貿易協定は国内の産業に衰退をもた
    らした。最初に白人がいなくなった。工場が閉鎖され、労働者がいなく
    なった。労働者が消えた町からは商店が撤退した。そうして、町は
    荒れ、空き家では放火が頻発する。

    ヤングスタウンだけではない。アメリカにはヤングスタウンのように
    打ち捨てられた町が多くある。

    この黒人女性も、ほかの3人も時代の変化のなかで苦しみ、足掻き、
    苦しみながらも僅かな希望を見出して前向きに生きることを選んで
    いる。

    強いアメリカの復活ではなくていい。普通の人々が、普通に生きられ
    るアメリカがあれば、それでいいのではないだろうか。

    パーティはいつか終わる。金融バブルも、ITバブルも、あれは一時
    のパーティだった。パーティが終わるごとに人々は痛手を受けたが、
    痛手を受けながらも踏ん張っている姿は決して特別なものではない。

    綻びは元には戻らないけれど、編み直すことなら出来るのだもの。

    誰もが踏ん張ろうとしている。だから、希望が見出せるのかもしれない。
    年代ごとを代表する著名人のストーリーや、フロリダ・タンパの盛衰を
    盛り込んだ700ページ近い大作だが飽きずに読めた。

    日本にも本書や『繁栄から…』みたいなノンフィクションがあるといいのに
    な。私は普段、アメリカの悪口ばかり言っているけれど、ノンフィクション
    作品に関しては完全にアメリカの方が秀逸だ。

  • ラストベルトの労働者、ウォルマート創業者、サブプライムで傷をおった人、ジェイZ、ピーターティール、再生エネルギーで地域再生を夢見る人、ワシントンのロビースト、元GSの会長。
    さまざまな階層、地域の人々の人生を紹介し、アメリカがこの数十年でどういう変貌をとげてきたかを丹念に取材した良作。
    ここの人々の人生の歴史もとても興味深いが、その人の生活、価値化、コミュニティがどうかわっていったか?がとても興味深くよく描けている
    なぜ中産階級が没落し、トップ数%が圧倒的に豊かになったのか?についてはいろいろな本で語られているが、マクロな視点ではなく、ミクロ視点で、その変化で人々の生活、コミュニティがどうかわったのかを伝えている。
    いちばん印象的だったのは、ショッピングモールができると生活は便利になるが、それまでは地域の店におちたお金がその地域で循環していたのに、外にでていってしまう。なによりも問題なのが、地元の商店がつぶれることで、それは店の消失だけでなくなによりもそういう店主は地元のリーダーであり自治会のキーマンでありリトルリーグの世話人だったりで、失ったのは店ではなくリーダーである、という指摘。
    これはそのまま日本でもあてはまる現象ではなかろうか?地域の再生にはリーダーが必要で地域の人材不足が語れるけど、この数十年でわれわれは地元のローカルリーダーのビジネスを破壊してしまい、逆に全国区のチェーン店のトップ(全国区のリーダー)を生み出しもてはやしてきた。その結果、当然、地域にはリーダーがいない・・といまさらなげいている。
    規制緩和、自由化、大企業の躍進でわれわれが得たことは膨大にある。正月だろうとも買い物をたのしみ、かんたんに海外製品を購入でいる。一方で、得たものがあれば必ずうしなったものがあり、それがなにか?を考えさせられるルポ。人物取材を多面的に組みあわせてひとつのクロニクルをつくるすばらしい作品。

  • 2017年11月5日読了

  • アメリカは元々植民地経営社会。どれだけ、中流社会を翻弄し、空洞化してきたがよくわかる本。その中でどう生き抜くか、前を向いてチャレンジし続けた人たちの物語。ミラノ出張のお供1でした。

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