- Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140816752
作品紹介・あらすじ
古今東西の名著、その核心を読み解く。男と女。そこに光と闇がある。美しくも危険な物語の全貌-書き下ろし特別章「歌で読み解く源氏物語」収載!
感想・レビュー・書評
-
『100分de名著』の番組内ナレーション解説をテキスト化し図解解説も併記した冊子です
『源氏物語』の入門書にもなるし掘り下げて解説してくれる側面もあって、分かりやすくかつ発見がありました
そして、番組内ナレーションのテキスト化なので、通常の解説書よりも講義の口語文体で読め、語りが聞こえるように感じられて、それがまた『源氏物語』っぽさがあっていいです
筆者にして講師の三田村雅子氏の『源氏物語』の解説を越えた思い入れが語られる場面もあり、やっぱりそういう熱があるところの文章はめちゃくちゃ面白い
ちなみに宇治十帖と浮舟推しでいらっしゃいました
個人的には、宇治と浮舟にそんなに思い入れがないので、そこを推されてる文章が読めるのは面白く、また視点が新鮮です
『源氏物語』内での“もののけ”“怨霊”の扱いは、それをはっきり認識しているのは光君だけだとして、罪悪感や後ろめたさ、問題へ向きあうことの出来ない心弱さの表れではないか? とする説はとりわけ辛辣で素敵でした
また、紫の上は光君の英達の後押しや血統の継承にはなんの寄与もしていない女君とする辛辣な切り口からの、紫の上が抱いていたかも知れない驕りや、それにより受けた報いについては、納得しつつも(この方は紫の上をあまり評価してないんだな…)という気配も感じてしまい、それもまた良しです
番組解説外の書き下ろし講義の項目は、本文とはかなり文体も違い、入門編と言うには難しい内容になるのですが『源氏物語』内の和歌を二十首選出し、濃密な解説をして下さっていて読み応えあります
柏木と女三ノ宮にまつわる和歌が多く上げられ、特に柏木が女三ノ宮の猫を強引に引き取って愛玩している最中の和歌が、実に粘着性があって気持ち悪い! と、書かれてるわけではないですが、気持ち悪くて面白かった
その反面、やはりまったく議題に乗らないエピソードや女君がいるので、仕方がないことだと分かっていながらも、やっぱり残念でした
『源氏物語』の解説って難しいなと改めて感じた次第です詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今まで理解出来ていなかった源氏物語でしたが、ようやくあらすじが分かりました。
でも古典文学はやっぱり苦手だなぁ。 -
「光る君へ」にハマって、平安時代の入門として読んだが、なぜ源氏物語が名作とされるのか、どういう点で素晴らしいのか、その読み解き方などがわかりやすく書かれていて入門編としてとても良かった。
-
源氏物語
最強のコンテンツ
改めてそう思う
和歌や古文の知識があれば
もっと楽しめるだろうな〜 -
2022/3/21
-
並外れた知性と感性を持っている紫式部なので、男と女の物語を綴るといっても、源氏ワールドに現実味を持たせるべく細部まで書き込んでいきます。洗練された季節感を描き、文化を描き、貴族社会そのものや宗教を描き、時の流れを描き、果てはサーガになったのではないでしょうか?実在すると思えるほどに描き込まれた世界は、多くの読者を魅せ、研究者に生涯を捧げさせるほどの奥行きと多義性があります。
-
年を重ねるにつれ、宇治十帖にひかれるようになるのは私だけではないようです。
「源氏物語」の第一人者による、あっという間の源氏物語。これで全部読んだ気になってしまいます(苦笑)