NHK「100分de名著」ブックス ルソー エミール―自分のために生き、みんなのために生きる
- NHK出版 (2017年8月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140817193
感想・レビュー・書評
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かつて原著で挫折したのでこちらで再読。
フランス革命期の思想家でもあるルソーの代表作エミール。
王政に対して「自由な社会」を構想。彼の考えた自由な社会とは平和共存するために必要なことを、自分たちで話し合ってルール(法律)で取り決める自治の社会。権力者が勝手な命令の押し付けたりできない社会。
そういう自由な社会を作るためにルソーは「一般意志」(皆が欲することーでも多数決とは違う)を提示。みんなが欲するものかどうか?一般意志のそってるかどうかを議会で法律を銀無する際にすべしと。法律は最終的に多数決ではなく、一般意志かどうか?という点が大事であり、いくら多数できまった法律でも一般意志にそぐわないものはだめだが彼の主張。こういうと多数決民主主義の否定におもえる。
が彼は、そういう議会をつくるためには社会の構成員を「自分の利益を考えるだけの人ではなくみんなの利益を考えれる人をどう育てるか?」をかんがえた。
その教育の書がエミール。
とはいえ国家主義的な、国のために自分を犠牲にしてみんあのために尽くすのではない。
人は自分の名誉、権力、富、名声のような社会的評価ではかるようになる。これを自尊心という。そして自尊心を満たすために承認欲求に引き釣りこまれそうになっていく。他社に褒められるために右往左往する人間になっていく。それでは真の自由な人とはいえない。
空気が読めないヤツをおそれずに自分のやりたいことをしっかりともち、その上でみんなのためにを実現できる人をどう育てるのか?
ルソー自身は独学の天才ともいえる人で自分で学んできた人。
まず幼少期は将来のことよりも今を楽しむ子育てをと。将来の予見、つまり先見の明がかえって人間を不幸にする。これはわれわれをいまから追い出し現在を無にしてしまう。未来を予見する先見の明と想像力は私達の欲望をどんどん膨らませていく。そして欲望と能力の間の不均衡のうちにわれわれの不幸がある。能力と欲望が均衡している状態を幸福という。
心理学における愛着理論には安全基地と探索行動という概念がある。子供の自由な活動(探索行動)は、親や教師の見守り(安全基地)があってはじめて可能になる。
詰め込み型の真理の連鎖ではなく、好奇心からの探求の連鎖が重要。
自己愛と自尊心。
自分への愛「自己愛」は自分のことだけを問題にするから自分のほんとうの必要がみたされれば満足する。けれども自尊心は、自分を他のものに比べるから満足することは決してないし、満足するはずもない。自尊心は自己愛とは違い競争軸から生まれるもので他者より優れた存在でありたいという欲望。
人間を社会的にするのは弱さからだ。
自分のために生きてみんなのために生きる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2021年5月18日
教育関係者として、エミールの基本的内容を押さえようと思い読んだ一冊。
内容も分かりやすくまとまられており、一気に読み切ることができた。コンサマトリーな教育を肯定しているところに、おもしろさを感じた。自身が作り上げてきた授業は意図せずルソーの思想に近いものであった。このことからも、自身が経験主義的な傾向を持っていることに気がついた。 -
・人は自分を名誉・権力・富・名声のような社会的評価で測るようになる。そして周りの評価に引きずりまわされる。
しかしこれでは自由とはいえない。
そうではなくて、自分必要な幸福を自ら判断して「自分のために」生きられる人間こそが真に自由な人間だ。
・つまり自分の生き方についての価値基準をしっかりと「自分のなかに」持っている、ということ。
・自分のために生き、また、みんなのために生きる。そういう人間はどうやったら育つのか? -
ルソーのエミールを踏み台に著者自身の教育観を押し売りされていると感じた。それがルソーと同調していれば原作の主旨を損なわず全く問題はないが、どうやら相容れない部分もあるようで(そんな事知ったこっちゃない)、ルソーの教育観を理解する上でノイズにしかならなかった。
原作を読む気概がない自分にも責任でもあるので、他責ばかりできないが、この著者はおこがましいにも程がある。自分の教育論を披露したいならルソーの名前を借りずにやってくれ。 -
現代の教育論に大いに役に立つ思想だと思います。最後のハッピーエンドが素晴らしい!
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著者の語り口良いなぁ
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ルソーといえば、『エミール』『社会契約論』と名前だけは知っていたけど、これは一度読んだ方がいい。
「どんな社会が幸せか」「その社会をつくるために人は何が出来なければならないか」という、「社会」とか「公的なもの」に対しての理念から、「どんな教育が必要か」を考えるルソーに非常に共感した。
ルソーの原著はかなり読むのは重そうだったので、手始めにこちらを読んだら、めちゃくちゃ読みやすい。
エッセンスを抜き出した感じで、著者による現代的な視点や発達論的な視点からの補足もあり、教育に関わる人間として読んで損はないと思う。 -
少し読みにくかった。
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2021/2/22
371.235||ル (5階社会科学)
今から259年前にフランス語で刊行され、教育を志す方なら1度は手にすべき世界的名著です。
著者 ルソー自身が、0歳から20歳以降の架空の男の子 エミールの家庭教師となり、フランス革命から現代に至る「民主主義社会をどう生き、何を子ども達に伝えるのか。」を考えていきます。
『万物をつくる者の手をはなれるときはすべてはよいものであるが、 人間の手にうつるとすべてが悪くなる』 第一編より