「経済学」にだまされるな!: 人間らしい暮らしを取り戻す10の原則

  • NHK出版
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140818862

作品紹介・あらすじ

フランスで5万部を売り上げた、「怒れる経済学者」警世の書

「経済学は科学ではない」、なぜなら、ノーベル経済学賞を受賞した二人の経済学者が、まったく同じデータから正反対の結論を導き出しているからだ――。政策決定を理論づける主流派の経済学者は、疑い得ないものとして経済の「常識」を提示するが、それは特定の時代の特定の階層に利する「歪んだルール」に過ぎないことを、著者は確かな論拠と具体的な数字で明らかにする。新自由主義者たちが声高に主張する「常識」を疑い、より良い社会に向けて議論するための”足場”をつくる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 新自由主義の経済学は、巨大なウソの体系だ。現在「主流派」の経済学者が“常識”とする思想を、フランスの「怒れる経済学者」が徹底検証する書籍。

    経済学は、客観的事実を実験と分析で立証する“科学”ではない。同じ状況を分析しても、立場や関心によって解釈の違いが生じる。

    経済には、いくつもの選択肢や未来がありうる。従って、政治家が「他に選択肢はない」と言い、絶対的真実として示す事柄でも再検討し、代案を要求すべきだ。そして「それが誰に利益をもたらすか?」を絶えず自問しなければならない。

    新自由主義の経済学者らは、「労働市場を柔軟にした国は繁栄を維持している」と主張する。
    だが現実には、大企業が利益を増やす一方、失業は減らず、貧困層の境遇は改善されていない。労働市場の柔軟性と失業の程度との間につながりはない。

    政治家は、公的債務の脅威を緊縮政策の根拠として強調する。
    しかし、資産を考慮に入れず、債務だけを問題にするのは愚かである。また、国の債務を家計の借金にたとえるのは馬鹿げている。人は死ぬが、国は死なないからだ。

    地球温暖化への効果的な取り組みは、再生可能エネルギーの開発など、国による意欲的な介入政策だ。だが、助成金など、活動を促すだけの措置にとどまっている。それは温暖化対策に正面から取り組むと、大企業や銀行の利益を損なうからだ。

    成功者の伝記などは、成功の原因を起業家精神など、個人の資質だとする。
    しかし、実際には、個人の成功は、国の政策や制度などに左右される。公的な研究と投資―起業家たちが嫌悪する税金で、彼らの繁栄は支えられているのである。

  • 経済学自体、例えば数学や物理など他の学問と比べると、定義や定理、公式などが曖昧なので、ある意味宗教に近い。なので、1つの事実に対しても真逆の意見が出てくるのが、経済学で、普段から一歩引いて見てるので、本書の内容で目新しいものは正直なかった。
    フランスの本なので、フランス及び欧州の話題が中心だが、国の莫大な借金を煽る、社会保障費を削減するなど、共通点もあり、どこも同じなんだなぁと。

  • TRAITE D'ECONOMIE HERETIQUE: EN FINIR AVEC LE DISCOURS DOMINANT
    https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000818862021.html

  • ■書名

    書名:「経済学」にだまされるな!: 人間らしい暮らしを取り戻す10の原則
    著者:トマ・ポルシェ (著), 岩澤 雅利 (翻訳)

    ■感想

    TOPPOINTで読了。
    経済学の常識に異議を唱える一冊。

    そりゃそうだよねという内容ではある気がします。
    経済学が絶対であれば経済学ですべてが予測できるはずですがそうなって
    いない時点で経済学の常識はあくまで「そういう場合もある」というレベル
    でしかないと思います。
    途中からは経済学関係なくない?というような、温暖化だったり成功者の自伝
    など、よくわからない話になるのもよくあるビジネス書という感じでした。

    本筋ではないですが、個人的には「個人のサクセスストーリー」の部分が
    面白かったです。
    これも言われれば当たり前なのですが、個人の自伝とか読むと、ついつい忘れがち
    な事実として「個人の成功は本人の資質だけでなく国やその時の状況に支えられて
    いる」ということ。
    そりゃそうなんですが、自伝って個人の資質のみを読者に印象付けるようにして
    いるから、忘れがちな部分かな?と思います(自伝には、絶対こういう背景も書いて
    あるのだけど、読者の意識には残らないくらい個人の資質が取り上げられていると
    思います。)

    本当に経営の資質/個人の資質があるのは、何社も成功に導いた人なんだろうな~と
    思います。
    基本、成功して失敗しても再度成功している人は、国に支えられているのは勿論
    かもしれないですが、個人の資質の部分が強いと思います。

    と、経済学とあまり関係のない話しが一番印象に残った感じでした。

  • 2022年3月号

  • 東2法経図・6F開架:331.7A/P82k//K

  • 作者はフランス人なので、内容は欧州に偏っているのは致し方ない。
    あと、常識を疑えって本なので、批判ばかりではある。
    それを差し引いてもまぁまぁ面白かった。

    公的支出を減らしても公的債務は減らない、あたりはなかなかなご指摘。

  • 自由主義を100%信じない、フランスは債務ではなく資産が多いなど楽観的、悲観的双方の理論がわかります。

  • Amazonの著者紹介に「怒れる経済学者」とあるのですが、その言葉どおり、全編を通じて怒っています。その怒りは弱者を切り捨てる体制や、経済格差を生む仕組みに向けられています。さまざまな観点から経済学を考えるにはうってつけの1冊です。

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著者プロフィール

経済学者。1977年生まれ。パリ・スクール・オブ・ビジネスの客員教授で、2011年にフランスで結成された「怒れる経済学者たち」に参加。2013年からフランスエネルギー省の「持続可能なエネルギーへの移行」に関するシェールガス検討グループのメンバーに加わり、2017年のフランス大統領選ではヤニス・バルファキスと共同声明を発表して社会党候補のブノワ・アモンを支持する等、政治的なコミットメントにも積極的。メディアでは定期的に一般向けの講演を行っており、世界で最もフォローされているエコノミストトップ50(Bloomberg HT、2018年)、フランスの今年のパーソナリティトップ50(Tecknikart誌、2019年)、世界で最も影響力のあるエコノミストトップ50(Richtopia、2020年)にランクインしている。

「2021年 『「経済学」にだまされるな!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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