暴走するネット広告: 1兆8000億円市場の落とし穴 (NHK出版新書 590)

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  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140885901

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  • 借りたもの。
    ネット広告における“犯罪”についてをまとめたもの。
    それは詐欺広告であったり、アフィリエイターが広告を掲示していない(ように見せて実は表示させ)のに広告費をかすめとるもの等。
    詐欺バナー制作者や詐欺動画の出演者、元制作会社の証言による生々しい導入から、その実態をうつす。

    詐欺バナー(怪しいサプリに意味のない情報商材)は広告代理店が発注したものではなく、怪しいアフィリエイターが作成したもので、画像の無断転用が横行していた。そこにはネットや他広告の集客技術が悪用されていた。それらが正規のバナーと混在して表示される不愉快さ。

    バナー広告枠の今後の展望、ユーザーにとって求められる広告の在り方、“無料サービス”が広告料金によって成り立っているビジネスモデルの在り方の、限界と新しいビジネスモデルの在り方の模索について書いてあるかと思ったら、違った……
    しかしネット広告業界で問題視されている“闇”や、20年弱の新興業界であるネットのグレーゾーンの問題点について提唱している点で興味深い。

    びっくりしたのは取材班が転送サーバーIPアドレス等の解析から世界のサービス会社を巡っていた事!
    「それする必要あるの?」と思いつつ…TV的なリアリティという画の必要からなのか、電話口では埒があかないからか……
    推理サスペンスドラマっぽくて読んでいてハラハラした。

    漫画村の管理人が捕まる前の話だった。
    ネットの世界の性善説は、どんどん終わりを迎えている…

  • ネット広告界の闇金ウシジマくん。

  • 「薄められた悪意」複雑に関わる多様なプレーヤー。
    「悪貨は良貨を駆逐する」まじめにやってる業者がバカを見る。
    無意識の隙間空間で稼いでいる。

  • 巨大化するネット広告市場で蠢動する犯罪行為のレポート。それについての社会的な認知や法整備が追いついていない状況こそ、詐欺不法行為が跳梁出来る要因で、ネットであるがゆえの無法(という性質は当然あるとしても)というより、IT社会の過渡期ならではの事象に思えた。ネット広告を悪用する手法が進んでいるのではなく、単にIT社会として遅れている、その隙間に問題が存在する。悪用への100%の対策は困難と度々出てくるが、それは既存の犯罪にも同じことが言える。だけに根治は難しいだろうが、技術面含めたリテラシーを高める努力が、学校なり所属組織なりで求められそう。

  • ”漫画村”騒動はデジタル時代における著作権の問題を浮き彫りにしただけではない。なぜあのような違法サイトが運営を続けられたか。それは端的に言って、違法サイトにネット広告を掲載することで、多額の収益を得られるからだ。

    本書は、”漫画村”騒動が浮き彫りにしたネット広告の問題点を、NHKクローズアップ現代取材班の極めて精緻な取材によりまとめあげた一冊。

    昨今のネット広告は、金融におけるIT技術を流用して開発された様々な”アドテクノロジー”と呼ばれる技術が用いられている。私自身、これまでアドテク界隈についてはかなり調べたことがあるが、あまりにも技術の進展のスピードが速い上に、本書で提示されるような表面化されない特有の暗部があることから、正確な姿を把握するのにかなり苦労した記憶がある。本書では、サイバーセキュリティの専門家集団などの助力を得つつ、NHK取材班の極めて愚直な取材活動を通じて、いかに現代のネット広告において、広告主から広告費を掠め取る不正が行き渡っているかが明らかにされる。

    私自身、ここ1-2年間くらいで、ネスレやP&G、ユニリーバなどグローバルの消費財メーカーがネット広告におけるブランドセーフティを声高に叫ぶようになってきた背景がようやくしっかり理解できたように思う。特に、広告主としてネット広告に少しでも関わる人であれば、間違いなく読む価値がある良書。

  • ★2019年にはネット広告がテレビ広告を上回る。
    ●広告主→ASP→アフェリエイター→サイトで紹介。どれだけ企業が注意喚起してると言っても、個人のアフェリエイターはクリックを稼ぐ為にはモラルは無視する。
    ●新聞社のニュースサイトにさえも、レコメンド・ウィジェットにより、フェイク広告が掲載されていた。
    ●現在は「運用型」が8割を占めている。
    ●漫画村と言う多くのアクセスを集める巨大サイトには出せない広告を、あえて隠しサイトをかま
    せることで、表示したことにしてしまうのだ。これは広告料を掠め取る不正な行為「アドフラウド」と呼ばれる手法の1つだった。目に見える表側ではなく、サイトの裏側で広告を読み込む今回の手口を、私たちは「裏広告」と呼ぶことにした。
    ●ふるさと納税の広告も、アドフラウドの餌食に、これは税金を奪われたことになる。電通が請け負っていても、こうである。
    ●ネット広告の世界では、バンされるまではブラックではない。ダメになったら、また別の方法を試せばいい。
    嘘の体験談で商品を宣言するフェイク広告や、見られていない広告を、見たこと擬装されるアドフラウドがはびこる。
    関係者はそれぞれ、自分達に出来ることには限界があると、他人事のように言う。

  • 東2法経図・6F開架:674.6A/N11b//K

  • インターネット広告の闇を追うサスペンスのような実話。迂回されるサーバーを追って海外にも。NHKのクロ現が元だが、書籍のならではの迫力がある。

  • インターネット広告について、アフィリエイトには表示型(インプレッション型)、クリック課金型、成果報酬型の大きく3点があるが、表示型についてはいくらでもアドフラウドが可能である。契約元としては契約主をはじめ、ASPやアフィリエイターが多く全量の把握は難しそう

  • 終始結末のでない小説を読んでいる気分だった。
    恐ろしい世の中だ。

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