- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140886274
作品紹介・あらすじ
5つの問いから世界を見通す。
哲学はいま何を問うているのか? 現代の哲学における最もホットな5つのテーマーー正義論、承認論、自然主義、心脳問題、新実在論の大きな議論の流れを、それぞれのテーマが浮上してきた歴史的・社会的背景とともに解説。ロールズ、サンデルの正義論はいかなるインパクトがあったのか? ウィトゲンシュタインやディヴィッドソンの功績とは? マルクス・ガブリエルの新しい実在論はなぜ注目されるのか? 5つのテーマの核心を切り出し、哲学者がいま何に関心を持っているかを提示することで、読者の古くなった「哲学マップ」を塗り替える、21世紀の新しい哲学の見取り図。
感想・レビュー・書評
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タイトル通り現代哲学の最前線の動きをよくまとめている
(と言っても専門家ではないので素人にはそう思われると
いうレベルの話だが)本。5つにジャンル分けして紹介して
おり、内容はどうしても一種のカタログとなってしまう上に
初めて聞く哲学者の名前やなじみの無い考え方なども多く、
読むこと自体は面白く、頭の体操にはなったが、響いてくる
ものはあまりなかった。と言ってもひとえに当方の勉強不足
が原因だろうな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読んでいて、これが哲学の話なのという違和感を感じた。
目次を見て見よう!
第1章 正義論
第2章 承認論
第3章 自然主義
第4章 心の哲学
第5章 新しい実在論
第1章に関しては、ロールズを巡る政治哲学の話のように思え、第2章の承認論に関しては、現代思想も出てきて哲学ぽいのだが、第3章は、心理学や科学哲学の話に思えるし、第4章も、心理学や認知科学の話に思える。
唯一、古い僕が、哲学らしいと感じたのは、マルクス・ガブリエルも登場する第5章の『新しい実在論』だ。
特に認知科学に関する項目は、まるでSFのような世界であった。
巻末に簡単な読書案内があるが、ある程度、哲学にも親しみ、少しだけフランス現代思想も勉強している僕が興味をそそられたのは、第5章の案内である、マルクス・ガブリエルの著書かモノへの考察である著作のみだった。
この本で紹介している全ての著作に目を通していて、内容を把握しているのは全く驚嘆であるが、それぞれの章のテーマに則して、その哲学の歴史が、現代の最前線まで紹介されている。
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近代哲学をある程度学んだ後にこちらを読むと点と点が一気に線となる感覚を得られて気持ちが良い…
巷に溢れかえる哲学入門書では到底得られない知識の深さと広さ、読みやすさで、何度も読み返している。
個人的に薦めたい哲学系新書No.1だが、結構難しいとの口コミが多く、初心者に薦めていいものか悩ましいところ -
主に20世紀の哲学史と下記の5テーマをもとに、思想家と論争がまとまっている。
1. 正義論
2. 承認論
3. 自然主義
4. 心の哲学
5. 新しい実在論
かなり難しかったし、これを1冊の本にまとめあげた著者の腕も異次元、、
p283(あとがき)
今まで全然分からなかった"哲学"が急に「したたかにいきるための知恵」に思えてきたら要注意だ。そういう時こそ、なかなか理解させてくれない、身体的に拒否感を覚えるような、手ごわいテキストを読むべきだ。 -
133-N
閲覧新書 -
読了。とりあえず一言言うと、結構難しい!でも表題のとおり大事なテーマを扱っているので、哲学に関心がある方は読んでみては。ただ述べられている範囲が非常に広範囲なので、新書とはいえそれなりの覚悟で。
個人的にはマルクス・ガブリエルが紹介されていて、ようやく「ああ、こういうことを言っている人なんだなあ」ということが分かった気がするので、そこがとても良かった。
↓この辺は特になるほど〜と思ったところ。
「こうした主体と主体を結ぶコミュニケーション的行為が、社会的存在としての人間の生き方において大きなウェイトを占めていると示すことでハーバマスは、個々の主体に内在する理性や意志を絶対視する、近代哲学の基本構図から距離を取るとともに、主体を物質的なものに還元する唯物論や、無意識を含んだ主体の不確定性を強調する構造主義/ポスト構造主義とも一線を画している。「主体」たちは、自分たちが普遍的で理性的な合意に到達できるという前提で、ルールに従って互いに働きかけるが、その合意の内容はあらかじめ確定されているわけではなく、常に変化に対して開かれているのである」
単なる「哲学好き」から「哲学者」(学者ではなく、哲学的に物事を深く考察できる人、という意味で)になるのはまだまだ道半ばだけど、もっと深く哲学的思考ができるようになりたいなぁと思わせてくれた一冊。 -
とてもよくまとまっているので、卒論でほんの少し哲学に言及する場合には役立つであろう。この本からその原典を参照できるからである。5つにテーマを絞ったこともわかり易いことの理由である。
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分かりそうで分からない。
しばらく学習してから、また読み直してみる。 -
ちょっと、自分には難しかった
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現代哲学の主要なテーマをコンパクトに解説している本です。ロールズの『正義論』とそれに対する批判などを皮切りに、承認論、自然主義、心の哲学、そして新しい実在論(形而上学)の五つのテーマがとりあげられています。
著者は、作品社から刊行されている「講義」シリーズのように、さまざまな思想家の議論の背景にある哲学史的系譜をじっさいに解きほぐして読者の前に示すような入門書を多く執筆しています。本書の「はじめに」でも、「アラカルト式の入門書は、一般教養とし哲学の基礎知識がほしいという人には役に立つだろうが、本格的に「哲学」を学びたい人、つまり過去の哲学者たちの思考を参考にして、自らも哲学的に思索したい、という人にはさほど意味がなかろう」と述べられています。本書でも、それぞれの思想家の議論を紹介するさいに、伝統的な哲学とのつながりにも目配りがなされているのですが、さすがにコンパクトな本にこれらのテーマを詰め込んでおり、著者のいう「アラカルト式の入門書」との差別化に成功していると断言はしかねるように感じました。
すこし目を引いたのが、「承認論」というテーマをとりあげている点で、従来の現代思想の入門書ではロゴス中心主義への批判や他者論という文脈であつかわれていた内容を、ハーバーマスやローティらの社会哲学などをむしろ中心的にとりあげて整理しているところでしょうか。従来の現代思想の入門書などになじんでいるわたくしのような読者には、議論の舞台が移ったことを如実に感じさせられました。