ポスト・ヒューマニズム: テクノロジー時代の哲学入門 (NHK出版新書 664)

著者 :
  • NHK出版
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140886649

作品紹介・あらすじ

なぜいま、哲学で「人間」が大きな問題となっているのか?

本書では、「思弁的実在論」「加速主義」「新実在論」といった話題の現代哲学を解説しながら、その論点をわかりやすく整理。AIからゲノム編集・機械化による人体改造、そして気候危機に資本主義まで。私たちが直面しているテクノロジー時代の具体的な問題を踏まえ、現在起こっている「思想の地殻変動」を鮮やかに描き出す!

感想・レビュー・書評

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  • いつも岡本さんの本は面白くてわかりやすいなと感心しています。ポストヒューマニズムの思想を3つの思想の観点から紹介していて、ポストヒューマニズム入門書の決定版ですかね。

  • ポストヒューマニズムに関してその概要や源流、今後ありうる発展の方向を掴むことのできる本
    そのため、ポストヒューマニズムをまだ知らない人や、初心者にオススメ。

  • 大学の講義では殆ど扱われることがないであろう21世紀哲学の紹介。「思弁的実在論」「加速主義」はポスト・ヒューマニズムだが、「新実在論」はヒューマニズムに拘っているのがわかる。という点では対立軸があるのだが、共通するのは資本主義を否定していない事、すなわち社会・共産主義を否定していることである。という意味では「歴史の終わり」ではあるのだが、加速主義の影響で新反動主義が盛り上がったことにより、旧来の保守vsリベラルとは異なる新たな対立軸が形成された結果「歴史の復活」がなされたと唱えるガブリエルの見解は興味深い。とはいえ、対処法としてガブリエルの「共免疫主義」に基づく「グローバルな啓蒙」によって人類皆兄弟になれるというのはユートピア思想にも思える。ちなみに著者曰く、ガブリエルはハーバーマスの後継者らしい。個人的にはガブリエルは政治哲学にはクビを突っ込まない方がよいように思うのだが、オールラウンドプレーヤーで売り出しているのでそうもいかないのかもしれない。
    本書は最新の哲学的潮流を大変わかりやすく説明しており、とても読みやすい。ただし、哲学史の基本的知識は必要かもしれない。尚、副題には「テクノロジー時代」とあるが、今後留意すべきテーマはエコロジー、バイオ、ITであることも再確認できる。

  • 後期資本主義、テクノロジー、環境破壊、、、
    諸々の影響によって、
    存続が危うくなった私たち人間のための「ポストヒューマニズム」

    思弁的実在論 加速主義

    新実在論(新実存主義)

    この中で唯一ヒューマニズムへ回帰する新実在論は、人間を唯物論や自然主義などで理解するのはあくまで"必要条件"であり、"十分条件"でないとする。

  • ハラリに触発された形で、ポストヒューマニズムという脱人間中心主義の観点から、ニックランドに始まる加速主義、さらにそこからの影響圏としてのメイヤスーの思弁的実在論、そしてヒューマニズムへ回帰する新実在論のガブリエルまでを明快な説明で解説した一冊。
    ニックランド、特にマークフィッシャーには非常に興味はあるけど、個人的にはガブリエルのヒューマニズムが自分としては腑に落ちるし、息の長い思想に感じる。
    ポストヒューマニズムにより人間不在の世界を論じるのは、当然ながら、結局はヒューマニズムに立ち返らざるを得なくなるのではないか。論点先取りとさえ感じられる。
    マックスシェーラーやエルンストカッシーラーが近代の「人間」の位置を定めた本を書いたように、僕らは改めてテクノロジーが充満した世界での人間の定位を見極める時代に来ていると思う。

  • 加速主義、アベノミクスと親和性高いな。
    底無しで、無軌道な個人群か。

  • 現代のわかりづらさ。

  • 思弁的実在論やニック・ランドの加速主義やマルクス・ガブリエルの新実存主義が紹介されている
    著者の整理は非常にわかりやすい(たまに出てくる図解が特にいい)
    誰でも分かるように書いてある
    それぞれの思想が掘り下げられているわけではないので、最先端の現代思想の地図と思ったほうがいい
    思想の名前だけ聞いたことがあるがとりあえず概要だけ知りたいという人に役に立つ
    詳しく知るには紹介されている著書を読まなければならない

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著者プロフィール

玉川大学文学部名誉教授。九州大学大学院文学研究科単位取得退学、博士(文学)九州大学。専門分野:哲学・倫理学。主要業績:『異議あり!生命・環境倫理学』(単著、ナカニシヤ出版、2002年)、『ネオ・プラグマティズムとは何か』(単著、ナカニシヤ出版、2012年)

「2019年 『哲学は環境問題に使えるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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