- Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140910979
作品紹介・あらすじ
命の授業から代理出産、死刑存廃から売春や安楽死の是非まで。現代の様々な倫理的問題について、背景に潜む「自由」「尊厳」「人権」などの哲学的問題にまで踏み込んで議論するうちに、今まで気づかなかった新たな発想が見えてくる。相手の論破を目的とする従来のディベートとは異なり、多様な意見を比較しつつ自説を打ち立てることを目指す、討論形式のユニークな哲学入門。
感想・レビュー・書評
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『理性の限界』、『知性の限界』、『感性の限界』という限界三部作を書いた高橋先生の著作。『知性の限界』の書評で好意的な中にも「もしかしたら(『理性の限界』の)出がらしかもしれない。」と書いたら「出がらしではないです」とTwitterでコメントされてしまったといういわくもあるのを思い出しながら読んだ。
本書でも、限界三部作でも使われたディベート形式が用いられている。自身の授業でもディベート形式で進めているというが、きっとこのフォーマットがフィットするのだろう。このフォーマットには、自身の主張やスタンスを明確にせずに進められるというメリットがある。一方、それはデメリットでもある。何となれば、内容としてサンデル教授の『これからの「正義」の話をしよう』の劣化版のように感じることもあった。
語られたテーマは、「鶏屠殺の授業」「韓国の犬食文化」「代理出産」「死刑」「性犯罪者の権利」「売春」「安楽死」など。こう見ると、哲学とは生命を巡る倫理の話だとわかる。生命も人権も自明のものではない、まずはそこから始めるのかどうかが倫理的には大きな分岐点のように思われる。そして、そこが自明であるとすると、ディベートはちっとも面白くない。「倫理を論理する」とのことだが、果たしてその目的は果たせられたのか。倫理を論理するというためには、ディベート形式ではそこに届かないのではないだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
相手に勝つディベートではない,考えを深めるための哲学ディベートを,仮想的な教授と学生たちの対話として具体的に示した本である.
他に類を見ない良書だと思う.
扱われた内容は,いずれも簡単に結論が出ないような問題であり,賛否両側の意見や教授によるまとめの解説も示されている.
特に安楽死の問題は,ちょうど知り合いの医師の著書にも登場するため,後日比較してみたいと思う.
論理学者としての著者の立場からも,妙なレトリックではなく論理的に課題にアプローチされている.
最後に残るのは「公理系」の違い,すなわち価値観の違いであろう. -
世の中の社会問題をディベート形式で議論する本。賛成・反対の立場が整理されていて読みやすい。
この本を読んで改めて実感したことは、議論の結論に正解はないこと。それぞれの立場があるから、正解は相対的にならざるを得ないし、定義や論点によって何が正しいかは自ずと変わってくる。議論する際に注意したいことは、論理に欠陥がないことと、自分の立場を明確にすること。 -
考える本。学生に薦めたい。
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2度目の挑戦。
実際の事例を題材にして議論していくのだけれど、あまりにラディカルな事例が多くてやっぱり前半で挫折。ムリ。 -
5人の学生が10の議題について討論し、教授が補足・まとめをするという仮想ディベート。
実際の事件や出来事を取り上げているので興味を持って読み進められる。
議題は、定番といえば定番。議題に対する肯定・否定両意見も、詳しい人にとっては目新しいものではないと思われる。
しかし、要点がギュッと凝縮されていて何が論点になっているかわかりやすいので、自分のようなふんわりとしか知らない者にはありがたい。なんとなく知ってるつもりの話にも続きがあって、新鮮な驚きが心地良かった。
Aさん…文学部
Bさん…法学部
Cさん…経済学部
Dさん…理学部
Eさん…医学部 -
151003 中央図書館
さくさく読めるが、倫理に関わるテーマの代表例が数多く取り上げられており、概説書としても良。 -
学生同士が哲学的命題に対して賛成側と反対側に別れてディベート形式で議論を行う。著者の「理性の限界」「知性の限界」では、それぞれ自由に発言する形式だったが、本書は少し趣きが異なる。
内容は、食文化、人命、死刑、売春、安楽死など、身近な哲学的命題である。ただ、どの命題も一度は何処かで聞いたことのあるものばかりであり、目新しさは無いが、説明が丁寧で分かり易い。入門書として良書だと思う。 -
頭の体操に。
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