- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140911822
感想・レビュー・書評
-
日本人なら当たり前になんとなくわかっているものを見事に言語化してて、そういった知的興奮はずいぶん味わえた。
ただ「日本語は論理的でないと言われている」とか、日本語観、日本人観がずいぶん古いなあという印象はある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者自身の分身である「先生」と、学生である「ナンデモ」青年の対話の形で、分かりやすく効果的な作文方法を読者に教授する本です。
修飾語の順番や読点の打ち方など、一読して意味の通る文章を書くためのテクニックや、パラグラフの重要性など、基本的な事柄がていねいに分析され、分かりやすく説明されています。日本語と西洋語の文化の違いが彼我の作文の性格にどのような影響を与えているかという観点から、じっさいに文章を書く上で注意すべき事柄を説明している箇所など、おもしろく読めるところが多くありました。 -
練習ができるので役に立つが、面白くはない。
-
「作文」という通り、一つ一つの「文」を書くことに主眼が置かれた本。
文章構成については末尾に申し訳程度に触れられているので、そちらの方面を期待する人の期待には応えられないだろう。
語順や、読点の打ち方、「は」と「が」の使い分け、長い副詞節や修飾語をどう処理するかといった点についての処方箋は、具体的で有用だろう。
しかし、一方で疑問もあった。
欧文脈風の、本書でいう「かたい文体」への書き換えのレッスンなどは、本当に必要なのだろうか。
学術的な文章でも、専門用語を多用する関係で「かたく」なるのは避けられない。
それゆえに、ことさらに翻訳調の生硬な文体を使うことはないとわたしは考える。
それから、瑣末なことかもしれないが、p213の練習問題の文にも難がある。
「恋人が一刻も早く帰国するのを待ちわびている」というのがそれ。
「かたい日本語」に直す練習問題として出たものだが、これはあいまい文。「恋人」はこれから帰国しようとしているのか、待ちわびている方か、二様の解釈が成り立つ。
解答には影響はないとは言え、表現法を教える本で、問題に難があるのは信頼性に関わろう。
瑕疵かもしれないが、指摘しておく。