- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140912171
作品紹介・あらすじ
政権を奪還し、憲法の改正や解釈見直しへと向かう自民党。激しい派閥抗争や利益誘導政治といった自民党らしさは、もはや過去のものになりつつある。いかにリベラル派は衰退し、右派が主導権を握ったのか。なぜ多元性が失われ、一枚岩化が進んだのか。自主憲法の制定、小選挙区制の導入、総裁選挙の改革など、理念と組織をめぐる路線対立を結党までさかのぼり、資料の緻密な読み込みに基づいてダイナミックに描き出す。現在に至る戦後日本政治に新たなイメージを与える力作。
感想・レビュー・書評
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自民党の成立から第二次安倍政権誕生までを追った内容で、その時その時のキーパーソンが何を狙ってどう動いたかが記されている。
読み応えあり。終章が全体の要約のようになっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2017/04/26 初観測
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自民党の内。
【版元の内容紹介】
発売日 2014年05月23日
価格 定価:1,512円(本体1,400円)
判型 B6判
ページ数 304ページ
商品コード 0091217
Cコード C1331(政治(含む国防軍事))
ISBN 978-4-14-091217-1
変わり続ける自民党の実像
政権を奪還し、憲法の改正や解釈見直しへと向かう自民党。激しい派閥抗争や利益誘導政治といった自民党らしさは、もはや過去のものになりつつある。いかにリベラル派は衰退し、右派が主導権を握ったのか。なぜ多元性が失われ、一枚岩化が進んだのか。自主憲法の制定、小選挙区制の導入、総裁選挙の改革など、理念と組織をめぐる路線対立を結党までさかのぼり、資料の緻密な読み込みに基づいてダイナミックに描き出す。現在に至る戦後日本政治に新たなイメージを与える力作。
<https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000912172014.html>
【目次】
はじめに [003-008]
目次 [009-013]
第一章 党近代化と小選挙区制導入の試み 015
一 岸信介と小選挙区法案の挫折 016
二 三木武夫と党近代化の失敗 034
三 田中角栄と小選挙区制の再挫折 053
第二章 総裁予備選挙の実現と日本型多元主義 069
一 三木・福田と総裁予備選挙の導入 070
二 香山健一と日本型多元主義の台頭 085
三 大平・中曽根と日本型多元主義の隆盛 106
第三章 政治改革と自社さ政権 129
一 小選挙区制の再浮上と小沢一郎 130
二 政治改革の実現と日本型多元主義の敗北 149
三 自社さ政権とリベラル派の優位 166
第四章 二大政党化と自民党の右傾化 185
一 リベラル派の凋落と「加藤の乱」 186
二 小泉純一郎と新自由主義的改革 208
三 安倍晋三と右傾化の進展 226
おわりに [245-258]
注 [259-284]
巻末資料 [285-288]
関連年表 [289-296]
人名索引 [297-300] -
自民党の結党から今日までの組織構造や社会基盤の変容を、選挙制度や党組織の「改革」を巡る抗争を軸に描いている。
本書の白眉は、1980年代における自民党復調の契機としての「日本型多元主義」(自民党の分権的構造と日本社会の「集団主義」の肯定)の抽出で、大平正芳内閣や中曽根康弘内閣でブレーンを務めた香山健一の思想と行動に着目し、通説に反して新自由主義とは本質的に相容れず、理念的にも前後の時代を通して党内「リベラル」派の優位と攻勢が続いたことを明らかにしている点にある。この点は著者の以前からの主張だが、日本における新自由主義政治の出発時期、特に「第二臨調」の位置付けや中曽根内閣の評価を巡る研究状況に一石を投じたものとして評価できよう。
他方、1980年代以前に比べて、90年代以降の叙述は理論的にも実証的にも緻密さを欠き、単なる権力闘争的な政局史になっているのが惜しまれる。特に本書は現在の自民党がなぜ多元性を失い、「右派」のヘゲモニーが確立したか?という主題を前面に出しているにもかかわらず、「右派」台頭の具体的メカニズムについては、90年代末に公明党との連立を神社勢力をはじめとする「右派」に納得させるために、「右派」的政策を実施せざるをえなかったとか、民主党政権時代に利益誘導政治にも新自由主義にも拠ることができず、理念的な「保守」にアイデンティティを見出すしかなかったという類の外因的・消極的要因しか提示されていない。同時代史は史料的制約もあって困難ではあるが、もう少し構造的な解析を望みたいところである。
もう一点。本書では縦軸として「右派」と「リベラル」の対立・抗争を重視しているが、そもそも本書における「リベラル」の含む範囲が極めて広く(前述の「日本型多元主義」も「リベラル」に位置づけているが、いかに香山が大戦の「侵略への深い反省」を口にしていても、その家制度擁護や個人主義の否定は一般的感覚では到底「リベラル」とは言えまい)、それぞれの時代ごとの両者の境界の揺らぎが十分に考慮されていない。この点ももう少し詰めて欲しいところである。 -
「右派」対「リベラル」の勢力争いを、「総裁選挙」「小選挙区制」を視点にして分析する。
日本型多元主義の頃は、今から思えばやはり幸せな時代だったと感じる。単一的でしかも硬直化・幼児化した政党が、選挙でだけ強いというのは、やはり国のあり方として不幸だと感じる。
最近の大臣・代議士の立場をわきまえない行動の連鎖を見ていると、つくづくそう思う。
戦後の大半を政権党の立場として過ごしたのだから、現代日本の抱えるほとんどの問題点を自らが招いたという自己認識を持ってもらわないと。
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イギリス保守党は1964年まで党主の公選を行っていなかったとのことである。
最終章の「おわりに」が、全体を要領よく要約してあり、重宝だ。 -
加藤さんは最後に残ったリベラル派の首相候補だった。つぶされてしまってもったいない。
宏池会だったから。
橋本派は小泉との総選挙の時に、候補者を絞り込めなくて、橋本さんが再度出てきた。 -
東2法経図・開架 312.1A/N34j//K
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自民党政治の変容を
リベラルー保守という二つの対立軸から分析している。
1970年代までは政党組織のあり方(党近代化と選挙区制度)といった視点も入れて分析している。
80年代には日本型多元主義→穏健な多党制を目指す香川らの議論が紹介されている。
そして90年代以降は自民党はリベラルー草の根保守という対立だそうだ。
正直メディア言説を政治学的な用語で置き換えているだけな気がしないでもない。