- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150001667
感想・レビュー・書評
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長いこと勘違いをしていた。イギリスを舞台にした作品の多いカーが『蝋人形館の殺人』と題する作品を書くのだから、この「蝋人形館」はロンドンにあるマダム・タッソーの蝋人形館だと思っていた。よく考えれば、アンリ・バンコランものなのだから違うのは自明なのに・・・思い込みとは恐ろしい。
蝋人形館を舞台にした怪奇趣味が色濃く出ているが、ルシャール夫人のエピソードを物語にもう少し強く織り込んでも良かったのではないか。勿体ない。しかしバンコランの怒涛の推理の論理構築は、さすがカー、面目躍如である。そして、前半の静から後半の動へと展開していくことで一気に終盤へ雪崩込む。不可能興味はないが、この展開がそれを補って余りある面白さを提供している。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アンリ・バンコランシリーズです。
怪奇趣味、グロテスク興味、オカルティズムが色濃い作品です。
蝋人形館で起こる見世物のような殺人はカーのあの雰囲気が濃厚です。
蝋人形の殺人場面と実際の殺人場面との描写の不気味さ、死体の描写はカーの執筆も気合いが入っているように感じます。
確かに死体発見場面は素晴らしく良かったです。
雰囲気を味わいたい人にはお勧めです。 -
バンコランの冷酷さ度数は低め。
ただしラスト近辺に少々それらしさを
におわすような表現はちらほらと出てくる。
きっと読んでいても
犯行の全容なんかは間違いなく
浮かんでなんかこないでしょう。
ただしキーというか怪しい人物は一人おり、
その人が絡んでいるのは事実であります。
犯人はカーらしい選び方。
なのでワンパターンに感じることでしょう。
いまいち決め手というか、舞台は面白いのだけれども
犯行の経緯といいそそることのあまりない作品です。