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- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150012595
感想・レビュー・書評
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心理サスペンスの名手、美文、ロスマク夫人──大いに興味をそそられて近くの図書館を探したら、蔵書が一冊だけ見つかったので借りてみた。なんかすごいタイトルだなぁと思いつつ。
あらすじからヒッチコックのようなお話かと勝手に想像していたらまさかの法廷モノで、殺されたと思われる農場主の死亡認定を巡る審問場面が続く。裏返しになったカードが徐々にめくられていく展開は好みなので、長々とした審問劇にも飽きはこない。
審問からは事件のあらましが、会話からは微妙な人間関係、過去の謎めいた死などが明らかになり、それと相まってなんとも言えない不気味な雰囲気に徐々に包まれていく。ストーリーははっきりしているのだが、心理的な余白が大きく、そこから読み取る裏の顔は読み手によって違ってくると思う。この違いがこの作者の特徴でもあるのかしら。心の闇の部分はいい具合にぼかしてあるので、どうとでもとれるんだよなあ。「怪物領域」の線引きは読者に委ねられていると思います。
面白かったけどちょっと物足りない気もするので、あと何冊か読んでみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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