灯台 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

  • 早川書房
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150018009

感想・レビュー・書評

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  • イギリスの作家P・D・ジェイムズの長篇ミステリ作品『灯台(原題:The Light House)』を読みました。
    『黒い塔』に続きP・D・ジェイムズの作品です。

    -----story-------------
    詩人探偵ダルグリッシュ、孤島の謎に挑む!

    コーンウォール沖に浮かぶカム島。
    かつてある一族が私有していたそこは、現在は高級保養所としてVIPの滞在客のみを迎えていた。
    その島で変死事件が発生する。
    滞在中だった世界的作家が、無残な首吊り死体で発見されたのだ。
    島には、被害者の娘も含めた少数の滞在客と従業員しかいない。
    事件の社会的影響に配慮して遠くロンドンからダルグリッシュのチームが島へ派遣されてきた。
    容疑者は限定されていたが、捜査は難航の兆しを見せる。事件の背後に、過去の忌まわしい歴史が潜んでいるのか……さらには、ダルグリッシュの身に思わぬ変事が!
    -----------------------

    2005年(平成17年)に発表されたアダム・ダルグリッシュ警視シリーズ(本作品では警視長)の第13作にあたる作品です、、、

    小口と天・地が黄色に染めてある、懐かしく、心ときめく装丁のハヤカワポケミス(ハヤカワ・ミステリ、HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOK)版で読みました。

     ■プロローグ
     ■第一部 沖合の島の殺人
     ■第二部 暖炉の灰
     ■第三部 過去の声
     ■第四部 暗闇に紛れて
     ■エピローグ
     ■ジェイムズを読む楽しみも苦しみも幾歳月 ミステリ評論家 新保博久

    イギリスはコーンウォール沖に浮かぶカム島… このVIP滞在客だけを迎える高級保養地で世界的に有名な作家ネイサン・オリヴァーが灯台で首吊りの変死体となって発見された、、、

    事件の社会的影響に配慮した当局は、この、世俗から隔絶された孤島で、限られた容疑者の中から犯人を挙げるべく、地元警察ではなく、ロンドン首都警察からダルアダム・ダグリッシュ警視長、ケイト・ミスキン警部、フランシス・ベントン-スミス部長刑事の3人を捜査に派遣する… 島の滞在客やスタッフからの地道な聞き取り調査から捜査を進める3人だったが、二人目の犠牲者を出してしまう。

    さらには、ダルグリッシュ本人の身にも思わぬ変事が…。

    P・D・ジェイムズが85歳の時の作品… 円熟味を増して、読みやすくなった印象、、、

    P・D・ジェイムズの特徴である、登場人物のきめ細かな心理描写による重厚感は残しつつ、テンポも良くなった感じで、とっつきやすい作品でした… ミステリの中でも好みの孤島モノだったこともあり、愉しく読めました。

    ダグリッシュが、なんとSARS(重症急性呼吸器症候群)をうつされてしまい、ベッドから起き上がれない状況に陥ってしまったので、若手のケイトとベイトンの活躍が目立つ展開だったし、ダグリッシュは結婚しそうだったので、世代交代も考えた展開だったのかも、、、

    カム島へ向かうヘリコプターの中でケイトが読んでいたペーパーバックはアレグザンダー・マコール・スミスの『No.1レディーズ探偵社』でした… このシリーズも好きなんですよねー 久し振りに読みたくなりました。

  • 英国、ミステリー女流と言えばアガサしか読んでいなかった。大好きという訳でないアガサ作品。pDジェイムズお初の当作。読み易いと言うより、知的に練り上げた熟達の味、しかも85歳の執筆というからギネスレベル。アガサと異なりトリック・殺人手法で遊ばせる流れと異なり、驚くほどの状況、キャラ、心理描写の細かさ。
    最初はこの傾向が好きなので読みはじめたものの、最後の3頁くらいはほとほと疲れ果て、私の修行の取り組みをはじめなきゃと実感。

    コーンウォールといや、昨今人気の英国BBCドラマが舞台の地・・風景が目に浮かぶ。
    灯台というアイコン(装丁も)その島で生まれた最後の人間、しかも世界的な大作家の、奇妙な死に方を巡って蔓を引き上げ始める。

    過去が見え始めるのと同時に、狭い空間の関係性。お定まりの展開に降ってわいたSARS騒動は今風。

    ジェムズ一作目はなかなかのお味でした。

  • 絶海の孤島という訳でもなく、
    電話線が切られて連絡不能という訳でもないが、
    閉鎖された島で起こった殺人事件。

    2005年発表の作品だから、
    SARSという単語が登場してもおかしくはないのだが、
    どうも今風すぎて違和感を感じるのは私だけだろうか。

    最大の山場はダルグリッシュ警視長がSARSに罹患してしまい、
    ケイトが指揮をとるところか。
    結局謎はダルグリッシュが解くが、
    ケイトも活躍する。

    そして、いよいよエマと結婚するらしい。

  • コーンウォール沖に浮かぶカム島。かつてある一族が私有していたそこは、現在は高級保養所としてVIPの滞在客のみを迎えていた。その島で変死事件が発生する。滞在中だった世界的作家が、無残な首吊り死体で発見されたのだ。島には、被害者の娘も含めた少数の滞在客と従業員しかいない。事件の社会的影響に配慮して遠くロンドンからダルグリッシュのチームが島へ派遣されてきた。容疑者は限定されていたが、捜査は難航の兆しを見せる。事件の背後に、過去の忌まわしい歴史が潜んでいるのか…さらには、ダルグリッシュの身に思わぬ変事が。

    P.D.ジェイムズ85歳(!)のときの作品『灯台』です。相変わらずの重厚な筆致・・・なのですが、比較的構成がシンプルで読みやすい作品だと思います。ダルグリッシュを襲う災難、ケイトとベントンの活躍、カム島の住人・客たちの人物造形・・・と読み応え十分の一冊でした。

  • 445、初、並、元ビニ、帯付。
    2011.4/2.津BF

  • まったく予備知識もなく、単純に昔のペーパーバック的な装丁に惹かれてジャケ買いした一冊。クラシカルな推理モノ、という期待に応えてくれる読みやすさも◎。旅先なんかで読むのにもぴったりな気がする。
    トリックをめぐる知的なゲーム要素より、キャラクターや心理描写が得意な作家らしい。同じシリーズの他の作品も読んでみたいと思わせる。それにしても83歳という、作家の年齢にびっくり!

  • これで一応ジェイムズも読み納め?大切に読みます。

  • うわっ・・画像無し!?
    P・D・ジェイムズ ダルグリッシュ・シリーズ最新刊(6月15日発行)です。
    ハヤカワ・ミステリ1800番

  • 詩人にして名探偵 上司にしたい男性主人公ベストワン(私的に)のダルクリッシュ警視長シリーズ 著者85歳の最新刊です。
     筆は衰えるどころかますます力強く魅力的に。孤島での連続殺人ですがP・Dジェイムス独特の暗さ・陰鬱さをあまり感じず むしろダルグリッシュの恋の行方や新しい部下ベントンの複雑な人間性 ケイトの心の動きにドキドキします。このシリーズもいよいよクライマックスかなあー。

  • PDジェイムス、85歳の作品。まだまだボケてないなあ。イギリスの小さな島の殺人事件。関係者は限られ、被害者は著名な作家で嫌われ者。話は緩やかに進み、熱に浮かされたダルグリッシュがあっという間に解決する。もうちょっとケイトに活躍させて欲しかった。ダルグリッシュにもケイトにも、幸せな未来が予想される終わり方になっており、確かに「白鳥の歌」っぽいです。

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