ルパン、最後の恋 〔ハヤカワ・ミステリ1863〕 (ハヤカワ・ミステリ 1863)
- 早川書房 (2012年9月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150018634
作品紹介・あらすじ
アルセーヌ・ルパン・シリーズ、幻の遺稿がついに日本語訳刊行!
著者モーリス・ルブランが生前に執筆しながらも、未発表のまま封印されてきた、幻のシリーズ最終作です。
感想・レビュー・書評
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『貴女の前に×××女は1人もいません』って、どの口が言ってんね~ん!(爆笑)(あんまり意味のない伏字)
って突っ込んだのは私だけじゃない筈。素で笑ってしまいましたぜルパンの旦那~(*^^*)によによ
今回は怪盗紳士でも探偵紳士でも放蕩紳士でもなく、理想主義に燃える愛国紳士なルパンの活躍譚です。
貧しい子供達に教育を施したり(ちゃっかり自分の為に働かせてましたが)、フランスという国の未来を憂慮し自分にできることを模索する姿は、昔読んだ胸踊る冒険譚でのルパン像とは一線を画しています。昔から義賊的ではありましたが、ここまで落ち着いた教育者な風格はなかったし、もっとやんちゃなイメージがあったので、ちょっぴり寂しさも感じたり(´・ω・`)これが四十の渋み…か…
ただ、プレイボーイっぷりは健在です(笑)。
真面目な話してた次の瞬間には、ヒロインと歯の浮くような会話の応酬(笑)。しかもこれが会う度に繰り返される(笑)。好き合ってるのはもう十分分かったよ!のろけてんのか⁈リア充め!ってなるのは私がピュアな子供じゃないからでしょうね…昔は超ドキドキしたもんルパンのアバンチュール(笑)。
今回のすったもんだ(大事な所…)の内容は、正直物足りません。肉付けが足りない印象を強く受けます。外交問題や金貨強盗事件、フランス国王の所蔵本に関わる画策など読みどころは沢山なのに、気付けば浮いたセリフと勇敢な子供達と愉快なトラップと間抜けなヒールしか印象に残っていません。読みやすくはあるライトさですが、重厚さを増したルパンの人物像とのアンマッチで違和感も生じています。残念…。
ルブラン本人もこの作品の出版に肯定的ではないかもしれません。彼の息子が出版を控えた、という点も頷けます。
が、孫娘が没後70年を経て今作に日の目を見せたことには、やっぱり嘗てルパンの冒険譚に胸踊らせた少年少女は喝采を送らざるを得ないのではないでしょうか。
あと、ルブランやっぱりホームズ意識し過ぎ(笑)。
父親が亡くなり意気消沈する一人娘コラに遺された遺書には、彼女の取り巻きである『四銃士』の中に彼の有名なアルセーヌ・ルパンがいる、彼に助力を請うように、と記されていた。
やがてコラに持ち込まれた、次期イギリス国王候補との縁談。持参金として送られる筈だった金貨を巡る陰謀に巻き込まれた彼女を救おうと、ルパンと彼の部下達が活躍する。
やがて明らかになる意外な黒幕の正体とは。
そして、愛し合うルパンとコラが選択した彼等の結末とは?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
物語の規模としては大きな物ではないが、ルパンシリーズを締めくくる物語としては非常に幸せで納得のできる話だった。
ルパンは人を殺さない事で有名だが、この話の中ではもっとストレートに平和に対するルパンの気持ちが書かれていた。ルブランがこの話を書いたのが1936年。世界中で戦争が起こり混乱している世の中で、晩年のルパンを通じて伝えたかったルブランの想いなのかなと思った。 -
ポケミス、装丁買いです。
ルパンよりホームズ好きで、今更ながらの初ルパンでした。めちゃくちゃ紳士で格好いい。
でもやっぱりホームズの方が好きですが、これを機に他のルパン作品も読んでいこうと思います。 -
いつ読んでも、ルパンはルパンで、大金を学校事業に投じたり、公共事業に投じたり・・・四十路にして紳士で素敵。
イギリスの諜報機関との戦いもなんとなくユーモアを忘れないところもルパンたる所以で微笑ましい。
確かに、未発表になってしまったというだけあって、多少練り足りないところもあるかもしれないが、それでも、この時代、再びルパンという人物を目にすることが出来てとても嬉しく思っている。
ルパンは永遠の恋人かも。 -
子供のころ大好きだったルパンシリーズ。
まさか新作が読めるとは・・・久しぶりのルパン。
相変わらずのあっぱれな紳士っぷり。
推敲途中ということで、未完成感は否めない。
悪人大ボスがちょっとキャラ弱く、残念でした。
しかし、ルパンのカリスマ性、お茶目感、
頭のよさ、育ちのよさ、たくさんの魅力は十分に伝わってきました。
ルパン館のセコム的な仕掛けは想像をこえていて
不思議。ちょっと笑える?-
ルパン館のセコム的な仕掛け、っていうのが、
とてつもなく気になります(笑)
ルパンは小学生の頃の私の憧れでした♪なつかしい(*'-')フフ♪ルパン館のセコム的な仕掛け、っていうのが、
とてつもなく気になります(笑)
ルパンは小学生の頃の私の憧れでした♪なつかしい(*'-')フフ♪2012/12/28
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子供のころにはまったルパンシリーズ。まさか今になって、新作が読めるだなんて思いもしませんでした。
まだまだ推敲の余地のある原稿だったようなので、ちょっと物足りない感じもします。もっと壮大な物語になっていたのかも。でも読めたってので満足かなあ。
タイトル通り「恋」が前面に押し出されているのですが。一点、これは納得できないぞって点が。「あなたの前に愛した女は一人もいません」なんて言っちゃダメでしょっ! レイモンドは? クラリスは? -
店頭で見つけて、フラッと購入。
ルパン、小学生くらいの頃、児童向けのを数冊読んだ覚えはありますが、
大人になってからは手に取ったことが無いかも、です。
ホームズは大人になってからも幾度となく読み返しているのと比べると、
自分でも不思議でしたが、、久々に読んでみて何となく得心。
そのなんとも情緒たっぷりな文体が、ホームズのそれとは真逆な感じで、
読むのに結構疲れる感じですかね、、こればっかりは好みでしょうか。
ん、終盤では、ルパン三世での"カリオストロ"を思い出してしまったり、なんて。
そういえば、ホームズ vs ルパンなんて一遍も出ていたような、、 -
幻の遺作。
これを読めただけで幸せというものでしょう。
内容は…いい意味でも悪い意味でも【アルセーヌ・ルパン】らしい、と思います。 -
原題は«LE DERNIER AMOUR D’ARSÉNE LUPIN»でそのまま。初夏のころにフランスで出版され、日本でも出版予定というニュースを聞いたとき、「えっ、フランス版の、あのロマンス小説寄りの表紙で出るの?」と微妙に嫌な気分になっていました。それが、ちょっとシャープでエスプリの効いたイラストで、ポケミスから出版。この装丁は、断然日本語版の勝ち!
ちょっとクラシカルな導入から、ルブランらしい優美なやりとりと言い回しで物語が展開する。美しき女性と、その周りの4紳士、壮大な陰謀、頭の切れる下町の兄妹と、活劇要素も懐かしい。ただ、完成度としてはどうかというと、残念ながら、大人の読者に読ませるためのクオリティにはちょい遠い感じがする。少年少女向けにボリュームを抑えてシンプルにリライトしたミステリ小説という感じで、ストーリーも場面転換もどんどん進む。プロットをまとめた初稿にわずかに校正を加えた程度で、ルブランが筆を折らざるをえなかったということらしい。ラストは「ああ、ルパンだな」という幕切れ。ルパンの老いた乳母のセリフが効いていて好き。個人的には、おまけトラック2本がお得だったように思う。
新刊を読んだというより、なんだか自分の記憶の中に1冊すでにあった作品のような印象だった。遺作、遺稿に名作を見つけるのは難しいといわれるが、残念ながらこの作品もそのクリーシェにあてはまっているような気がする。作品として読むには、残念ながらこの☆の数かなあとしか思えない。そこは、ちょっとごめんなさい。でも、ルパンの怪盗紳士生活の最後を見届けられる、ということに価値を置くべき作品ということで出版された作品だし、手に取る側も、そう考えておくべきなんだろう、たぶん。