拳銃使いの娘 (ハヤカワ・ミステリ1939)

  • 早川書房
3.75
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本棚登録 : 267
感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150019396

作品紹介・あらすじ

内気な11歳の少女ポリーの前に、収監されているはずの父親が現れた。父の敵がポリーの命を狙っているというのだ。父と出た逃亡の旅路で、ポリーは暴力を知り、盗みを知り、いやおうなしに成長していく。数々の人気ドラマを手がけた脚本家が放つ傑作サスペンス

感想・レビュー・書評

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  • ★5 ギャングからの逃避行、愛する娘を守るため、命を懸ける父親の熱い想いと行動… #拳銃使いの娘

    ■きっと読みたくなるレビュー
    熱く、素敵な話やった… ★5

    少女ポリーが可愛すぎて尊い。
    金星生まれの設定やぬいぐるみに自分に投影したりするなどして、いつも微妙な精神バランスをはかって、自らの境遇を受けいれている。それでも彼女には、生き物として生死の覚悟をしなければならない場面が次々と迫ってくる。
    決して多くを語らず、ぐっと歯を食いしばんで強い意思をもって勇気のある決断していく。読めば読むほど胸が苦しくなっていくよ…

    読んでいる最中は、なぜこんな父親と一緒にいるのか、どうしても理解できなかった。しかし読み進めていくうちに、その理由と正体がだんだんわかってくる。

    それは父親ネイトの娘を想う気持ち。
    娘のためにすべてを投げ売り、自分がもつすべて技術や能力を分け与え、どんな犠牲を払ってでも娘の命だけは守る。彼は最初から最後まで、一切ぶれない。これは子どもをもつ親としては熱すぎる。

    本書はとにかくこの二人の絆、会話、行動、成長に尽きる。

    何度も襲い掛かる絶体絶命の危機。いつも父親が娘をひっぱり、時には体をはって守る。娘は父の安否を気遣い、やったことのないことに挑んでいく。それがたとえ汚れた仕事や暴力であっても、二人とも覚悟をもって突き進む。

    決して強くはない、むしろ何も持っていない二人であるが、彼らの命を懸けた行動のひとつひとつが、読者の魂を揺さぶってくるのです。

    なお本作はプロットが上手で、文章も読みやすく、それでいて文芸的で綺麗。エンタメとしても優れ、そのまま映画になっちゃう。
    しかもページ数もそれほど多くなく、バランスも抜群。海外ミステリーに読みなれてない人でも手軽に楽しめる優秀な作品でした。

    ■ぜっさん推しポイント
    良い作品には記憶に刻まれる名シーンがある。

    終盤にポリーが躍動する場面があるんですが、これが超痺れるんですよ…
    緊張感とリアルさ、そしてポリーが自信の弱さを乗り越えていく心の叫び。

    これは歴史に残る名シーンです。これを堪能するだけでも、読む価値がありますので、ぜひぜひ体験してみてください。

    • yoshi1004さん
      ですよね〜♪私もめちゃ面白くてページを捲る手が止まりませんでした♪
      ですよね〜♪私もめちゃ面白くてページを捲る手が止まりませんでした♪
      2023/04/09
    • autumn522akiさん
      yoshiさん、こんちわです^^
      いい本ですよね~、やっぱり海外ミステリーはエンタメ具合がスゴイよ
      思い切り楽しませてもらいました。
      yoshiさん、こんちわです^^
      いい本ですよね~、やっぱり海外ミステリーはエンタメ具合がスゴイよ
      思い切り楽しませてもらいました。
      2023/04/09
  • 11歳の少女ポリーは、母と養父と暮らしていた
    ポリーの父ネイトが刑務所から出てきた瞬間からポリーの人生は一変する

    ネイトが獄中でギャング組織を敵に回したことから、自身と家族全員の命を狙われることとなる
    母と養父は殺され、ポリーは助けに来たネイトと逃亡の旅に出る

    逃亡の旅を続ける中でポリーは生き延びる術を身に着けていき、父ネイトへの想いも次第に変わっていく
    そして、何が何でも我が子を守りぬこうとするネイトが熱い!

    犯罪と暴力、そして命をかけた逃亡の旅はいかに!

  • 方向音痴なんです

    そして方向音痴の天敵と言えば野外フェスかどでかいショッピングセンターと相場は決まっています
    特に大きな建物の中はまずいですよね
    もう完全自分の居場所を見失って右も左もわからなくなります(いや左右はわかるでしょ!)

    そしてそういうでっかいショッピングセンターに付きものの広大な屋内駐車場ね!
    あれもう100%自分がどこに駐めたかわからなくなりますもんね
    どのエスカレーター使ってどの通路を使ってとか完璧に覚えたつもりでいて今日こそは迷いなく自分の車の場所に!と思うんですが

    やっぱり『見当違いの場所へ』なんちて

    さて『拳銃使いの娘』です

    「拳銃使い」違うやん!というね
    まあそういうことじゃないんでしょうがw

    刑務所から出所した父としばらく会っていなかった11歳の娘が殺し屋から身を躱しながら旅を続ける中で娘は強さを身に付け父娘の距離が縮まっていき二人は反撃にでる
    なんかありそうな設定ですがなかなかに面白かったです

    でもなぁ、なんか惜しいんですよね
    二人の距離の縮まって行くところとかちょっと雑なんですよね
    おいおいそれで信頼関係できあがっちゃうの?って
    もうちょっと丁寧な心理描写があったらもっともっと面白くなりそう

    それにしても皆さんこういう傑作をどうやって探し出してくるのかな
    ハヤカワにこんなノベル(?)のシリーズがあるなんて知りませんでした

    ま、おかげさまでたどり着けたので良しとしよう

  • ギャングに命を狙われた少女と父親の逃避行。
    ノワールですが、面白いです。

    11歳の少女ポリーは、母親とその再婚相手と暮らしていました。
    父親は何年も収監中。
    ところがある日突然父親が現れ、命を狙われているから一緒に来いと告げます。

    刑務所にいた父のネイトは、ギャング組織の親玉に睨まれ、家族ともども抹殺指令が出たため、脱獄してきたのだ。
    妻がとっくに再婚した相手と暮らしている娘のことなど、あまり気にかけてはいなかったのだが。
    父と同じ淡い青色の眼をしたポリー。
    「拳銃使いの眼よ」と母親には言われていました。

    互いに馴染のなかった父と娘が危機に瀕してやむなく行動を共にし、次第に気が合う相棒となっていくロードノヴェル。
    常識を超えた状況ではあるが、その関係性に心温まります。
    暗殺指令を覆すために、どういう手段をとるか?
    熊のぬいぐるみを離さない女の子は次第に度胸を身につけ、変貌していきます。
    そして…?

    アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)新人賞受賞作。
    スピーディな展開で、読ませます。

  • はい面白いです。最高です。
    パパと娘の逃避行。生きるために、守るためにギャングに立ち向かうクライムノワール。血と暴力には熊のぬいぐるみがお似合いだぜ!!
    父親の覚悟により娘は変貌していく。拳銃使いの娘へと。娘は相棒となる…娘を鍛え上げることで親子を取り戻していくのだ。成長の物語であり家族の絆の物語でもある。場面転換がとにかく素晴らしく、登場人物もすぐ把握できる。異常にすっきりしたリービタリィ海外苦手な人もおススメです。
    保安官が好きでねぇ。トンプスン読んだからかもしれないが狂ってるやつほど正義に偏りがあってぶっとい芯のある生き様がいい。とにかく読もう!こりゃあ傑作だ!!
    作者が影響受けたもの。
    『ペーパームーン』、タランティーノ、エルロイ…もうお判りだね?
    (どストライク

  • 海外ドラマ「メンタリスト」の脚本家であるジョーダンハーパーの初作品。「メンタリスト」好きだったなぁ。。。

    で、本作はミステリというより冒険小説。主人公は父親ネイトと、娘のポリーと熊(ぬいぐるみ)。
    ネイトが牢獄内でギャングのボスの弟を殺してしまったため、自分だけでなく元妻と娘ポリーまで処刑対象に。出所後すでに元妻が殺されていたため、誘拐のようにポリーと逃げることに。逃避行の道すがら、成長していくポリーと父親との関係。
    短い小説ながら、とんでもなく良かった。

    あと、熊のぬいぐるみ、キャラが濃すぎる笑
    他の作品も読みたいけど、書いてなさそう?
    ポケミスって一品物の良作が多いから一度集め始めると止まらないんだよなぁ。。。

  • アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)新人賞受賞作品。早川書房は海外作品の受賞作品を半年から一年くらいで日本語版にして出版してくれる稀有な版元である。中でもポケミスは早撃ちにかけては名の知れた叢書なので、ぼくは八割方は読んでいる。新たな作家に出会うことも多い。本書デビューとなったこのジョーダン・ハーパーみたいな活きのいい作家と。
    少女が犯罪者の父親と逃亡し逆転勝利を、目指すロード・ノヴェルである。のっけから彼等の殺害指令が全米に出される。超重警監房にいる犯罪グループのボスから発される。少女は、父親と同じ拳銃使いの眼をしている。海ではなく川のように青い眼を。
    作者はテレビドラマ作家だそうで、小説の展開もなるほどスピーディーで心地良い。ノワールで、クライムで、バイオレンスでありながら、熊のぬいぐるみを手放さない少女の成長物語でもある。
    巻末解説によると、インスピレーションを受けたのは『子連れ狼』『ペーパームーン』『レオン』作家としてはジェイムズ・エルロイ、コーマック・マッカーシー、クエンティン・タランティーノだそうだ。笑いたくなるほど納得。推して知るべし。
    犯罪に無縁の人はおよそ出てこない。はぼすべての人物が堅気ではない作品世界で、一番不似合いだったのが主人公の少女ポニーだ。もちろん主人公は彼女。拳銃使いの父親の隣、助手席でタフに育ってゆく彼女の変貌ぶりこそが、この作品のすべてを駆け抜ける魅力である。
    時に美しく、時に容赦のない文章が、アメリカ西部の荒野を縦横に切り取ってゆく。薄手の本ながら密度の詰まった重量級の傑作としてインパクトを与えてくれること間違いなし、請け合います。

    • ikezawaさん
      …読んでいるうちに
      また読みたくなりました。
      …読んでいるうちに
      また読みたくなりました。
      2019/03/22
    • シュンさん
      有難うございます
      有難うございます
      2019/03/22
  •  ページを開いた瞬間から、がばっと掴まれた心は、物語のスピード感と一緒に走り出す。登場人物の主観ごとに変えて語られる物語は短くまとまり、次の登場人物の物語へスピードを緩めることなく引継がれ、先を読ませる。

     描かれているのは暴力に支配された世界なので、好き嫌いが分かれるかもしれないが、面白い。おそらく映像化されるだろうが、本書を読んでいた時間の高揚感を超えることはないと思う。活字の持つ力は、まだまだ侮れない。

  • 面白くて一気読み。著者は脚本家で初の小説だそうだが、なるほど読み手をダレさせないスピーディな展開で、長さもほどほど、リーダビリティ抜群だ。あ、とは言ってもギャングものを好まない人や、物理的に「痛い」描写が苦手な人は別だが。

    ギャングから暗殺指令の対象とされた男が娘を守ろうとする、その設定自体に目新しさはないが、これを娘視点で書き、しかも「無垢で守られるだけの娘」にしなかった。そこが実に良い。これ、娘のポリーを主人公にしてシリーズ化できそう。当然のごとく映画化が決まっているようだが、父のネイトは誰がやるのかな。ちょっと楽しみ。

    詳細な心理描写があるわけではないのに、登場人物それぞれの個性がくっきり立ち上がってくるところがすばらしいと思う。脇役である警官もチンピラも大物も、みなに存在感がある。邦題がちょっと昔風なのもクールだ。

  • 強面のタフガイネイトが勢い余ってしでかした所業のつけを支払わされる事態を何とか乗り切ろうともがくありがちなクライムノベル。

    特徴的なのは命を守るために共に逃避行に連れ出した娘のポリーの存在。
    ”拳銃使いの眼”と評された青い眼を持つ若干11歳のポリーは始めこそ内気でびくびくしていたが、道中目にする父親の振る舞い、父親から教えられる心得を糧にその道の人間に目覚めていく。

    こざっぱりした文章で、TVドラマのプロデューサーが書いた物語だけあって、深みがあるというよりは次の展開をだしにテンポ良く読ませていくスピード感が売りの物語。

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