木曜殺人クラブ 二度死んだ男 (ハヤカワ・ミステリ)

  • 早川書房
4.06
  • (35)
  • (52)
  • (17)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 531
感想 : 50
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150019853

作品紹介・あらすじ

〈木曜殺人クラブ〉のエリザベスは、元夫で英国のスパイのダグラスと再会する。彼は米国マフィアから高額のダイヤを盗んだと疑われ、助力を求めてきた。だがその矢先、ダグラスは何者かに殺されてしまい……国際的難事件に老人探偵たちが挑むシリーズ第二作

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ★5 チームワークが凄い!高齢者たちがまたもや困難な事件に立向う #木曜殺人クラブ #二度死んだ男

    ■あらすじ
    木曜殺人クラブで長閑な会話がされる中、エリザベスに一通の手紙が届く。かつて別れた元夫からの手紙だった。彼の訪問がまたもや木曜殺人クラブの面々を困難な事件に巻き込んでいく…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    面白い★5

    前作よりも物語の構成はもちろん、謎解き要素、サスペンス、ユーモア、そして登場人物の魅力がパワーアップ!なんといっても前作より圧倒的にひとりひとりの魅力が描けてて面白い!

    ジョイスの天真爛漫さ、熱さ、そしてたまに見せる鋭さ。
    イブラヒムの探求力、洞察力、記憶力。
    ロンがカッコイイんだよ、男が惚れる男。
    ボグダンがまたすげぇんだよ、なんなのこの人。肝っ玉の据わり具合と実行力がハンパない。

    そして恐ろしいのはエリザベス。
    過去が明らかになり、いよいよ全知全能感が出てくる。この人なら戦争すら止められるんじゃないでしょうか。

    警察の二人組も相変わらず。なにやってんだか事件解決しろよって感じで、めっちゃ可愛い。敵対する人物たちも、人間性や信条が上手に書かれていて、まるで人物が目の前にいるようですね。

    本シリーズはとにかくキャラクターが素晴らしい。やっぱり映像で見たいな~

    もちろん前作通り彼女たちの会話も楽しい!
    真剣なのか冗談なのか、素直なのか煙に巻いているのか、目くるめく会話の妙。抜群のセンスです。

    また本作は物語の筋がかなりわかりやすくなっていて、序盤からいきなり面白いの。
    事件解決に至るまでの構成がひとつひとつ丁寧で、終盤の盛り上げも上手、そして読後の納得感もバッチシで綺麗!間違いなく作者は工夫されたんでしょうね。

    本作はあくまで楽しく元気なエンタメミステリー小説。
    しかし随所にみられる老化や死に対する悲哀が見え隠れして、常にバッドエンドの予感を感じさせるんですよね。しみじみと読者の心の隙をついてくる作品でした。

    ■推しポイント
    ミステリーにおいて犯人が判明する瞬間は、その作品の最も重要なポイントであり、それまでの物語や人間関係の深さがにじみ出てきます。

    本作ほど静かで、しかしながら熱い情念に包まれた瞬間はないですよ。登場人物の想いがガツンと胸に刺さるんです。

    人間関係、友情、思いやり…人の心の機微がしっとりと感じられる作品でした。

  • リタイアメントビレッジ(高齢者向け高級住宅街)、クーパーズチェイスに住むおばあちゃん、おじいちゃん達が飛び回る壮年活躍ミステリ第2弾。
    エリザベスのもとに届いた意味深な手紙で始まる本作。
    前作ではエリザベスの素性はぼかし気味だった気がするのだが、本作ではおおっぴらに諜報機関員だったことを明かしている。
    もしかして前作の最後でそんな話になっていたんだっけ!?

    手紙の主は過ぎ去ったあの時代の知人かつ〇〇のダグラス。
    そんな彼がクーパーズチェイスにやってきたのは、仕事でへまをやらかしたことに端を発し、濡れ衣を着せられのっぴきらない状況に陥っており、身を隠すため。
    その濡れ衣とは諜報員として大物犯罪ブローカーの屋敷に潜入調査をした際に、目的とは関係なく、時価2000万ポンドのダイアモンドをこっそりくすねたというもの。

    大物ブローカーは屋敷に潜入されたことよりも、ダイアモンドが消失したことに怒り心頭でダグラスが犯人だと言い切る。
    ダグラス自身は濡れ衣だと言い張るが、エリザベスに実際のところどうなのか問われると、あっさりと犯行を自白。
    ということでダグラスの盗んだダイアモンドをめぐるドタバタ追走劇が始まるのだが、当のダグラスは一度殺されかけ難を逃れるが、すぐさま本当に殺められてしまう。
    一体誰が!?
    そしてダイアモンドはどこへ言った!?

    高齢者を中心とする物語でここまで、冒険活劇しちゃいますか?という展開ではあるが、サイドストーリーとしてのクーパズチェイスでの隣人イブラヒムの味わった恐怖や、エリザベスの夫に忍び寄る認知症の問題だったりと、高齢であることを巡る悲哀観を絶妙に織り込んでいる。

    本シリーズ2作目にして登場人物の描き分けがよりパリッとしてきた感がして面白さが増した。
    特にバックグラウンドが物語る、クールで抜け目のないエリザベスと、お茶目で自由奔放、ときに危なっかしくもしたたかなジョイスのおばあちゃんコンビがいい。
    他にもクーパーズチェイスの面々にいいように使われてもはや違法警官でしかない若手警官のクリスとドナ。
    増々スーパーマン然としてきたボグタン。
    今後もこのメンバーで色んな事件を解決していくのだろうなぁと楽しみ。

  • 前作を読んで無いのですが十分楽しめた。主要ストーリーとサブの話が相まって、
    老人探偵倶楽部4人の活躍が痛快。最後の一文も良い。

  • シリーズ第二弾。

    老人探偵グループ〈木曜殺人クラブ〉メンバーのエリザベスの元に、因縁ある英国諜報員から、彼が〈クーパーズ・チェイス〉に引っ越してきたとの手紙が届きます。
    困惑しながら彼の部屋を訪れたエリザベスの前に現れた“元夫”は、2千万ポンド相当のダイヤを盗んだ疑いをかけられてマフィアから狙われていると言ってきて・・・。

    〈木曜殺人クラブ〉メンバーに再会できて嬉しいかぎり。
    キャラクターが定着したのもあって、前作より読みやすく、大いに楽しませていただきました。
    今回は、高額のダイヤを巡ってマフィアやドラッグ売人、マネーロンダラーといった“反社系”の方々と渡りあう事になったり、MI-5(英国情報局保安部)の諜報員たちも絡んできたりと、まぁ大忙し。
    前作では謎だったエリザベスの過去が明らかになり、彼女の凄腕っぷりに納得すると共に、認知症の夫への切ない思いも垣間見えます。
    無邪気なジョイスも相変わらずマイペース。チャリティの為の“友情ブレスレット”を手作りしては、あちこちに押し売りしています(この“友情ブレスレット”が後に事件の謎を解く鍵になるとは!)。
    ロンも勿論お元気で、彼の孫・ケンドリックがこれまためっちゃいい子・・と、皆お達者で何より・・・と、言いたいところですが、何とイブラヒムにとんでもない受難が降りかかり、身体と心に傷を負ってしまうのです。
    この件については、加害者にかなり憤りを感じていて、当然メンバーを中心とした面々によって報復を受けるものの、“ヌルい!もっとコテンパンにされるべし!”と思ってしまいました。
    そして、メンバーの老人たちに翻弄されがちな地元警察のクリスとドナもご健在で、春を謳歌するクリスと対照的にちょっぴりブルーなドナでしたが、終盤でドナにも“出会い”の予感でしたね。
    あと何といってもボグダンが万能すぎて、改めて“何者?”って感じです。
    ・・・といったように、キャラクター達が本当にいい味出していて、それぞれの個性が光っているのがいいですね。
    キャラクター&冒険色が強めではありますが、謎解き部分も特に後半に行くにしたがって二転三転して目が離せない展開で、ラストは粋なオチで後味爽やかでした。

    それにしても慈善団体〈認知症とともに生きる〉は、短期間で急に寄付が増えて吃驚だった訳ですが、その寄付額の中にロマックスの5ポンドも含まれているのですけれどね~(* ̄m ̄)

  • ぬーーーーー!
    面白いし上手い、のだけど。
    私の倫理観のアウトゾーンにちょいちょいはみ出すんだよね…前作から感じてはいたけど、今回は一層だった。
    でも結末がストライクなんだなぁ…!
    複雑な読後感ですよ…。

  • エリザベスの元に死んだはずの男から手紙が届いた。高額のダイヤを盗んだ疑いをかけられ米国マフィアに追われているという。消えたダイヤ×スパイ×マフィアという国際的事件に木曜殺人クラブメンバーが挑む!→

    楽しみにしていた木曜殺人クラブシリーズ続編!前作でクラブのメンバーはツワモノ揃いだとわかっていたけど、今回も最高にやらかしてる!ジョイスいいよねー!!インスタがあんなふうに絡むなんて……!あと、イブラヒムの話がツライ……ロンがいいやつなんだよ……うぅ。
    エリザベスは今作で→

    さらにかっこいい……いや、後半はジョイスの方がかっこうかも?
    ボグダンはヤバい(笑)なんでもできるよねこの人。コニーが惚れるの少しわかる。
    今作もやはり愛の物語なんだよなぁ。エリザベスとスティーブ、ロンとイブラヒム。愛情と友情。とてもいい。
    次回作も翻訳決定しているみたいで楽しみ!

    著者オスマン氏によると、この木曜殺人クラブシリーズは6作目まで出版社と契約を結んでいるらしい(解説より)
    是非ラストまで翻訳していただきたいと切に願う。
    #続編翻訳希望

  • 高級老人ホームで開催される木曜クラブ、第2弾。なんというか、女性版007OB(OG?)の大活躍という感じ。

  • 「木曜殺人クラブ」の第二弾。前回より読みやすくて楽しめた。前回は語り部の1人である、ジョイスが果たして良い人なのか、それとも裏があるのか掴みきれなかったが、今回はリラックスして読み進めたことも大きかったかな。マフィアをはじめとする悪人達が隙だらけだったり、エリザベスの腹心的な存在のボグダンが謎の強さを誇るところは、ちょっとご都合的ではあったけど。前回も思ったが、殺人や犯罪に対する考え方が振り切れていて遠慮がない。これは老人だからというより作者の思いかもしれないなと感じた。

  • マフィアその他と取引をしている人物の屋敷からダイヤモンドが消えた。そのダイヤモンドはマフィアから預かっているもので消えたとなると大事。盗んだであろう人物には心当たりがある。というあまりにも大きな事件が70歳超えのご老人たちのもとに飛び込んできた。
    シリーズ第二弾になる『木曜殺人クラブ 二度死んだ男』はエリザベスの過去と大いにかかわってくる。
    前作は物哀しい事件だったのが一変、今回はマフィアやドラッグディーラーも登場でなかなかハラハラする展開だった。MI5も登場。顔をめちゃくちゃに撃たれた死体。消えたダイヤモンド。暴行、窃盗の罪人のあぶり出しとてんこ盛りな事件に恋のあれこれ、人生の悲哀もちょっぴり加わってかなり楽しかった。登場人物が今回は少ないから、これは真犯人を当てられるかも、と中盤まではけっこう良かったんだけどなあ。一気読みでした。

  • くうー、、相変わらずおしゃれ!

    前作で海外ミステリー沼にずっぽりハマり、最近は1930年代あたりのエラリークイーンやヴァンダインの作を楽しんでましたが、続編が出ていることに気づいて久々に現代に戻ってきました。

    キャラクターの魅力とウィットに富んだやりとりが傑出しています。タイトルの意味を回収する構成も素敵。最後は思わず涙です。
    やや内容が盛り込み過ぎの感はありますが、4人が健在であれば、それでも着いていけるのです。

    そしてそして、にくい仕掛けは、ジョイスのインスタ!これは刊行された時代に読むから楽しめる遊びですね。

    オンライン会話に慣れないマフィアのやりとりが一番ツボでした。次回はイブラヒムの活躍が見たいです。

全50件中 1 - 10件を表示

リチャード・オスマンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×