郊外の探偵たち (HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOKS No. 1)

  • 早川書房
3.40
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本棚登録 : 76
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150019945

作品紹介・あらすじ

ニュージャージー州郊外の町でインド人の青年が殺された。元FBIの優秀なプロファイラーで第5子を妊娠中のアンドレアは、ジャーナリストのケニーと共に調査を開始する。やがて2人は、50年前に地元で骨が発見された事件にたどり着き、過去と現在の事件に関連があるのではないかと疑いはじめて……。破天荒な2人の探偵が郊外の町で暴れまくる!

感想・レビュー・書評

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  • おもろい! 五人目妊娠中の元FBIのパワフルママと、落ち目の新聞記者が事件に挑む #郊外の探偵たち

    ■あらすじ
    かつてFBIに勤務していたプロファイラーだったアンドレアは、今は四人の子どもたちを育てるママであり、五人目を妊娠している。彼女は、住んでいる郊外のガソリンスタンドで、殺人現場に出くわしてしまのだった。
    一方、以前はピューリッツァー賞もとったことのある新聞記者ケニーは、問題を起こしたことをきっかけにすっかり影が薄くなる存在になっていた。二人はともに郊外で起こった殺人事件と街の闇を探り始める。

    ■きっと読みたくなるレビュー
    やっぱアメリカのミステリーは楽しませるサービス精神が満点ですね。楽しい読書体験をさせてもらいました。

    全編通してそうなんですが、場面の切り方とセリフ回しが秀逸。海外ドラマをそのまま観ているようで、あっという間に読み進められちゃいます。

    特に最序盤のアンドレアの登場シーンなんかは最高に面白い。殺人現場という緊張した場面で発生する強烈なハプニング、しかもアンドレアのキャラもしっかりと説明される。作中も惹きつけられるシーンがいっぱいなんです。緊張と緩和がホントにお上手で、ラストなんて爆笑しちゃいました。

    本作の一番の読みどころは、やっぱりアンドレアとケニーのお二人。見た目はパワフルママさんなのに、正義感の強さ、利発な頭脳、行動力が半端ねぇ。鬼カッコイイのよ。記者のケニーもヤな性格だけど憎めない奴で、ついつい応援しちゃう。ナイスコンビですね。

    その他の登場人物も、まあ魅力的ですよ。いるいる!こういう奴!って、すぐにイメージできちゃう。特に推したいのはママ友たち。彼女たちこそ日々戦争ですよね。でもどんな男どもよりもイキイキと事にあたる姿は、超たくましかったです。

    また本作は男女の人間関係も計算高いんです。過去の出会いから現在にかけ、人の縁や運命の悪戯ってやつが垣間見える。この辺りもアメリカのお話らしくて大好きでした。

    物語と謎解き自体は、着実に丁寧に進んでいきます。ガソリンスタンドの殺人事件から、過去に街で起こった事件が見え始め、受け入れがたい事実が明らかになっていく。まさしくアメリカの歴史と課題、事件の背景に憤りを感じざるを得ませんでした。

    ■ぜっさん推しポイント
    理想的な夫婦関係とは、どういったものでしょうか。本作ではアンドレアと夫のジェフの二人のシーンが、たびたび描かれていきます。

    どちらも子供たちが大切で、家族を愛している。でも日々の生活に対してやるせない気持ちや鬱憤で今にも爆発しそう。そしてお互いに譲れないプライド。どちらの気持ちも痛いほどわかるっ

    夫婦ともに満たされた人生を歩むには、手を取り合いながら理想と現実に折り合いをつけていく必要があるんでしょうが、これが難しいんですよね…

    本作は続編も書かれているとのことなので、二人の夫婦関係にも注目していきたいと思いました。面白かった!

  • ニュージャージー州ウエスト・ウィンザー区のガソリンスタンドでインド人の青年が銃殺された。
    現場を封鎖するために四苦八苦する巡査達の下に舞い降りたホンダ・オデッセイ。
    出てきたのは、人間というよりはボウリングのボール。背は低く、髪は黒い巻毛でもじゃもじゃ。歩き方は人間というよりペンギン。おそらく、人類の文明の歴史のなかのどの女性よりも大きなお腹をしている。あえて想像するなら、生まれてくる子は大学二年生。
    そして、繰り広げられる4人の子ども達とのけたたましいやりとり。

    コミカルな登場に困ったさん側の人間かと思えば、実は超絶優秀な頭脳を持った元FBIに仕えたプロファイラーのアンドレア。
    出産と共に手放さざるをえなかった、自分が本当に輝けるキャリアを「今」の中に追い求める。

    ドタバタ劇とまではいかないが、夫からの家事の協力はないままにやんちゃ盛りの4人の子どもと奮闘しつつ、目下5人目を妊娠中の中事件の真相を追うという状況には、皮肉やジョークを織り交ぜたコメディタッチの展開が必然。
    ともすると疲弊感がまとわりつく設定だが、望む自分の居場所こそ声高に叫べど、現状をも悪い事ばかりではないと前向きに捌いていくアンドレアの姿が好印象。
    ちょいちょいシュールで際どいジョークで切り返す会話もにんまりさせられる。

    世代を越えた街ぐるみの秘密に切り込んでいくところが面白味だが、比較的早い段階で朧げな輪郭が見えてくる割に、大きな構図の転換もなく終盤まで進んで行くところにもうひと捻りあるとよかったのだが。

    作者は、X-Menやデッドプールなどアメコミも手掛けているとのことで、いやー手広くやりますね、と感心。

  • 第5子を妊娠中のアンドレアはニュージャージー州郊外に住む専業主婦で、かつてはFBIの優秀なプロファイラーだった。殺人事件の現場に偶然出くわしそこで末っ子がお漏らしをしてしまったことをきっかけに、彼女は落ち目のジャーナリストのケニーと調査を開始する。50年前に地元で発見された骨と今回の事件との関連に気づいた彼女は、隠された町の秘密に迫る。やがて明らかになったのは人種差別をめぐる暗い過去だった。「いまはイケてない」探偵コンビが郊外の町で犯人を追い詰めるオフビートな痛快ミステリ。

    とんでもないオープニングで、つかみはOK。主役二人以外の登場人物がなかなかいい。実は重たいテーマを軽快に読ませます。

  • 主人公は4人の子持ちで妊娠後期の主婦。とは言え元FBIのプロファイラーとして過去に華々しい業績を残す。バディを組むのは落ち目の新聞記者。ある殺人事件を調べるうちに過去の大量殺戮にたどり着く、と言う設定。
    子供達の日常や妊婦ゆえの緩慢な動きなどがあまりにリアル過ぎたのとコメディ的な展開に没頭出来なかった。が
    キャリア半ばで郊外に住む主婦を強いられた女性の悲鳴が聞こえた様でそこは良かった。

  • めちゃくちゃ面白い、というほどではないけど、楽しめた。

    主人公のアンドレアの境遇は、多産DVというやつではないかと思うが、そこへの指摘は無かったな。責任感が強いので子供の世話をするが、それにうんざりすることも忘れてうんざりしながら過ごしてきた、というのがわかる。賢さゆえにジェフからの理想を理解しそれに見合うように努力をしているが、そろそろ限界って感じ。

    多人種っぷりがポリコレっぽくて、映画化しやすそう。人種差別による殺人というと、最近読んだ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を思い出す。ただ、バラバラ殺人なのは面白かった。

    しかし、あの時代に隠蔽された殺人は1件だけなのかはちょっと疑わしい気がした。お話の都合として1件だけにしたって感じ。

    犯人の動機もちょっと弱い。ガソリンスタンドの店員を殺したらプールどころじゃなくなるんだろうか。そこらへんの感覚がわからない。今まで通り却下すれば良いじゃんって感じ。
    ラテン語の格言の、「愚か者は、悪徳を避けようとして、反対の悪徳へ走り込む」ってのを思い出す。

    続編も翻訳されるなら読んでみたいかなとは思った。

  • キャラはまあまあなのだが、そんなんで殺すの?というか興趣が足りぬというか…

  • まあまあ。

    登場人物の肌の色って作者が書かない限り読者には分からないんだよね。

  • ダメだこれは

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著者プロフィール

●ファビアン・ニシーザ[作]……ロブ・ライフェルドとともにデッドプールやX-フォースを共同考案したことで知られる。1990年代前半のマーベル・コミックスで腕を振るい、とくにX-MEN関連作が名高い。その後もマーベル・コミックスでの『ケーブル&デッドプール』『サンダーボルツ』、DCコミックスでの『ティーン・タイタンズ』『レッドロビン』など幅広く活躍している。

「2017年 『デッドプール&ケーブル:スプリット・セカンド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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