剣の騎士 (ハヤカワ文庫 SF 470 紅衣の公子コルム 1)

  • 早川書房
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本棚登録 : 77
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150104702

感想・レビュー・書評

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  • エルリック・サーガで有名なムアコック作品のひとつでムアコックの4英雄の一人がこの作品の主人公のコルムです。
    実は高校生のころの私がはじめて読んだムアコック作品がコレでした。
    蛮族に一族を皆殺しにされ自らもグランディスア・クレにリンチにかけられ左手と右目を奪われ殺されそうなところを助け出されア・クレに復讐を近い様々な冒険を繰り広げるわけですがコルムはさらに巨大な力「混沌」と弱まりつつある「法」の存在を知ります。
    ムアコック作品独特の退廃的な世界観はエルリックシリーズより薄いですが英雄の介添え人ジャリーア・コネル、ラリーナ公女など魅力的な登場人物も居て私はエルリックシリーズよりコルムシリーズのほうが好きだったりします。
    隻眼・隻腕というとベルセルクのガッツを思い浮かべる方が多いでしょうがこの作品は71年に描かれた作品ですしコルムもガッツのようなパワーファイターではなくむしろ貧弱に近い部類の人物なのです。
    彼は自分の知恵と冒険で失った目と手の変わりに手に入れた旧き神々の目と手によって異形の力を手にするわけですがその力はコルムに善い結果だけで無く悪い結果をもたらす場合もあり「力」というものに対して考え込ませるものもあります。
    私がはじめてコルムを読んだ87〜89年あたりは日本でも富士見書房を中心に和製ファンタジーモノがたくさん出てきましたがムアコック作品ほどの読み応えの有る作品は皆無だと思います。
    自らライトノベル、ライトファンタジーと称しているあたりすでに負けていると思いますが・・・(笑)

  • マイクル・ムアコックのヒロイックファンタジー。
    衰退しつつある知的種族ヴァドハーとナドラーは争っていたが、これまで彼らが獣として見下していた新興種族の人類<マブデン>にともにに滅ぼされてしまう。
    その殺戮の中、ただ一人生き残ったヴァドハー属の生き残り紅衣の公子コルムの復讐譚。
    主人公のコルムは、マブデンに家族を虐殺され、自らも残虐な拷問により左目と左手を失うが、辛くも難を逃れる。傷ついた体を介抱してくれたマブデンの公女ラリーナと愛し合うようになるが、マブデンの魔の手が再び彼を襲い、否応なく復讐と愛する人を守る戦いに身を投じることになる。

    ムアコックの作品は、エルリックサーガしか読んだことがなかったが、エターナルチャンピオンという概念で

    統一された世界観のためか、エルリックでも見たような固有名詞が散見された。マブデン(この物語でも人類は獣的な存在として見下されている様だ)とか混沌の神アリオッチ等。

    物語の終盤で、古の神の目と手を身につけたコルムが剣の騎士である混沌の神アリオッチを撃退してしまったのには驚かされた。

    ムアコックの紡ぐヒロイックファンタジーは幻想的で強烈なイメージに満ちている。
    あたかも神話の様な物語であり、様々なメタファーや呪術的ヴィジョンで溢れかえっている。
    たぶん作者は、古のシャーマンのように様々な神秘的ヴィジョンを見る人なのかなと思った。

  • 古書購入

  •  2003年10月15日再読

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