2001年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫 SF ク 1-19)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150110000

感想・レビュー・書評

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  • 離れたがっているようです


     そもそも、作者クラークは、キューブリックからSF映画のアイディア提供を依頼されたためにペンを取ったとか★ だから、小説と映画、この双子の仲を引き裂くほうが難しいのだけれども……。

     メディアミックスってのは、少々ウザい時があります★ せっかく読書を楽しもうとしているのに、やたらに映画の話が持ちこまれる……。出版社側がキューブリックのご威光にあやかって便乗商法に出ているような、貧乏くさいイメージが離れない。くりかえされる監督名に辟易しちゃいました(Sorry!)。

     また、没頭して読んでいくにつれ、意外にも小説と映画が、お互いから離れたがっているような感覚にも見舞われるのです★ 
     説明を拒否した描写で、たっぷりの謎に包まれたまま終わるキューブリックの映画と比べると、クラークの小説はわりと筋道を立てて説明しているように感じました。

     物語の舞台は、主に土星への探索に向かっていた宇宙船ディスカバリー号。高度な人工知能ハルの様子に異変が起き始め、やがて事故が発生★
     ボーマンは、ハルの思考を切ってしまおうとします。しかしハルは、自分は人間よりはるかに能力が高い、混乱しているのはボーマンのほうだと言い切ります。果たして真相はーー!?

     ハルは、機械の孤独を味わっていたのでした。真実を知りながらも隠し通すというミッションに混乱し、人間には理解されることのない苦痛に苛まれていたのです。
     そして、ハルの反乱によって仲間を失ったボーマンも、孤独でした。しかも、ボーマンはハルの脅威から身を守るため、さらに孤独になる必要があったのでした。

     切り離されたハルとボーマンの運命。その後、ボーマンは一人で宇宙の旅を続け、無音の世界へと吸い込まれていきました。この経緯に、私は「決裂」のイメージを持っています★ また読み返すときは、純粋にクラークの小説として読みふけりたいと思います。

  • この作品が作られたのは、今から半世紀前の1964年、スタンリー・キューブリックがアーサー・C・クラークに「語り草になるようないいSF映画」を作りたいと問い合わせてきたのがきっかけだという。そして、映画は1968年4月に米国で初公開され、小説版は同年6月に発表されている。映画は現在に至るまで、映画史上のベスト・ランキング、オールタイム・ベストなどでは、必ずと言っていいほど上位にランクインされている。
    ただし、小説版では、ディスカバリー号の目的地が映画と異なったり(小説版では土星だが、映画では木星)、クラーク独自の解釈がかなり取り入れられていることから、ストーリーに相違点は少なくない。
    この作品の面白さのひとつは、1964年当時から見た近未来の技術や、宇宙に関しての細部に亘る描写であろう。1964年と言えば、1961年に当時ソ連のガガーリンが人類初の有人宇宙飛行に成功したばかりで、1969年に米国がアポロ11号で初の月着陸を果たす前である。
    そして、もうひとつは、一人残ったボーマン船長が辿った経緯が暗示する、遠い未来の人類・世界、いや、人類・世界の原点を想像することであろう。ボーマン船長が一人で土星に向かう途中の描写にある、「この一派は、真に進化した生物が、有機的な体を持つ必要があるとは信じていなかった。・・・地球でさえ、その方向へ何歩か進みはじめているのだ。長生きできないと宣告された何百万もの人びとが、人工の手足、人工腎臓、人工肺、人工心臓のおかげで、いま幸福で活動的な暮らしをしている。この方向に、行き着く先はひとつしかない。・・・最後には、脳さえ消えてゆくだろう。意識の着床する場として、脳は必須のものではない。そのことは電子知性の発達が証明している。精神と機械の対立は、やがて完全な共生という永遠の妥協で終わるかもしれない・・・だがそれが終局だろうか? 神秘主義に傾いた少数の生物学者は、さらにその先へ進んだ。多くの宗教にある信念を手がかりに、彼らは精神もいつかは物質の束縛を逃れるだろうと推測した。ロボット身体も、血と肉の身体と同様にたんなる踏み台であって、やがては人びとが遠いむかし“精霊”と呼んだものに至るのかもしれない。そして、そのまた向こうに何かがあるとすれば、その名は神のほかにあるまい」というテーマ。HAL9000の反乱は、近年注目される人工知能の2045年問題を先取りしたものであるし、究極は、「この世の終わりは、歴史の目的であり、終焉であり、完成である」とするキリスト教的世界観を現したものといえるのではないか。
    映画では十分に感じ取ることが難しい、強いメッセージを含んだ作品である。
    (2010年11月了)

  • 2015.12.2(水)¥180+税。(-2割引き)
    2015.12.21(月)。

  • 151030
    ディスカバリー号の描写は、現実に起きた事件をそのまま描いているとしか思えないくらいリアル。物語の論理が明確で面白い。

  • 2015/10/29/Thu.〜2015/11/16/Mon.

    夫に借りたもの。
    キューブリック映画版はとてもとても好きだけれど、原作未読だったことに気づき、やはり一度は読んでおこうかと。

  • (旧版)
    続編の3作品を買ったので、積んでたのをやっと読んだよ!中学の頃映画を観たっきりです。ぴよぴよの中学の頃に観たので、圧倒されるばかりで意味不明、とにかくなぜかぞっとしっぱなしっていうだけだったのが、これを読んで更にぞっとした。
    家でひとりで読んでたら怖くなった。スケールのでかさにもやけど、機械と生き物が合体しちゃう系は怖いんだよ。火の鳥復活編読んだときもぞっとしたけど、怖くなっちゃうんだよ。
    後半ひとりぼっちで引きずり回されてるボーマンのことを想像すると怖くなった。

    映画も憶えている部分とつなぎ合わせつつ、あれはこういう意味だったか、とか思いながら読んだので、映画の方もこれから観ます。

  • むかしからすごく好きな本。
    たくさん本手放したけど、手元にまだ残してる数少ない一冊。
    アーサー・クラークの淡々とした語り口とか、やたら丁寧な描写とか、緻密すぎてよくわかんない設定とか。
    初めて読んだときはハルが怖かったな。
    このまえあじまさんとインターステラーの話して、2001年のオマージュだよねってゆう話になって、懐かしくなったから引っ張り出して読み返した。
    思えば猿の惑星やソラリスや、名作SFってリメイクされるけど、これはリメイクってないよね?
    それくらい強烈な小説と映画なんだろーな。
    宇宙が舞台のSFってことなら、殆どのものの基盤にありそうな気がする、そうゆう大作だと思うな。

  • 2015年8月5日読了。
    映画を観るべきなんでしょうな!(観てない)

  • すごい創造力だ!

    あまりの規模に想像が追い付かない。

    《2020年再読》
    古典的名作なんだからちゃんと読まなきゃ!
    って思って読んだけど、途中で気づいた。

    これ、読んだことあるヤツ!

    いつ読んだか分からないけど、覚えてないってことは当時は理解できなかったんでしょう。

    終盤のぶっ飛び方は半端ねぇです。

  • ブック・オフで105円だったらしい。
    もともとカバーはぼろぼろだったが、私がとどめをさした。悪いとは思ってない。

    色あせたぼろぼろの付箋がいくらか貼ってある。
    扉(2枚)、p.168,p.177,p.224,p.248

    2017/05/28 映画を観る前に半分くらい読んだので、映画の冒頭をスムーズに理解できた。で、やっとラストまで読んで…すごい衝撃だった。あのラストシーン…知れば知るほど、もっと知りたくなるシリーズだ。色んな人の解釈もすっごく気になる。

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