- Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150118716
作品紹介・あらすじ
暑い夏の夜、妻とマジック・ショーに出かけたわたしは、舞台に上げられた男が自分そっくりであることに気づく。彼は女魔術師により、身につけたものを目にも止まらぬ早業で奪われていった…奇妙なできごとをシニカルに描いた表題作『瞬きよりも速く』、夜ごと庭に現れる若い女への揺れる心情を綴る『芝生で泣いてる女』、三人の偉大な作家に捧げるレクイエム『最後の秘跡』など、詩情に満ちた21の短篇を収録した傑作集。
感想・レビュー・書評
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90年代に書かれたブラッドベリの短篇21篇を収録。SF、ファンタジー、ホラーの混在する幻想センチメンタル作品群。短篇集にはありがちだがこの作家は特に、それぞれの短篇ごとに好みが分かれる傾向が強いんじゃないだろうか。気に入るものはすごく好きになれるし、感性の合わないものは本当にわけがわからんで終わる。個人的には、思春期が美しい<石蹴り遊び>、伝奇ホラーチックな<フィネガン>、アイディア小品<レガートでもう一度>、図書館ノスタルジー<交歓>、SFレクイエム<最後の秘跡>あたりがお気に入り。
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まず装丁がかっこよく、タイトルもかっこいい。そしてあとがきまでもかっこ良かったです!個人的には「ザハロフ~」「芝生で泣いている女」「交歓」が良かったです。
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火星年代記→刺青の男に続いて手にした短編集だけれど、その2冊の延長上と思って読むと若干肩透かしを食う一冊。SFというよりはファンタジー要素や、オチが特に無い(余韻を楽しむ?)話が多めに含まれているからだ。
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「石蹴り遊び」が特に気に入った。
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10月は……やっぱりブラッドベリの月。
ちょっとくたびれたペーソス、うら寂しいノスタルジー。30年前には分からなかったことが、今なら少しわかる気がする。 -
なぜブラッドベリを面白く感じられなくなったのか?
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魔術的センチメンタリズム!表紙もかっこいいし最高だった。
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短編集。ジャンルは混在していてSF、幻想ホラー、それから文学が少々。個人的にはほとんどの短編で、琴線に触れる一歩手前で終わってしまった感じがあった。翻訳に取りこぼされたニュアンスというか、こちらで読み取り損ねている行間が多々あるように思う。
収録作の中では「交歓」が印象深かった。兵士となった男が、わずかな乗り継ぎの間に故郷の図書館をおとずれる話。久しぶりに訪れた故郷、建物は変わり、人は変わり、道を歩いていてもかつての顔なじみとは誰もすれ違わない。ただ図書館だけが、昔と変わらずそこにある。 -
「Uボート・ドクター」、「ザハロフ/リヒタースケールV」、「忘れじのサーシャ」、「またこのざまだ」、「電気椅子」、「石蹴り遊び」、「フィネガン」、「芝生で泣いている女」、「優雅な殺人者」、「瞬きよりも速く」、「究極のドリアン」、「何事もなし、あるいは、何が犬を殺したのか」、「魔女の扉」、「機械のなかの幽霊」、「九年目の終わりに」、「バッグ」、「レガートでもう一度」、「交感」、「無料の土」、「最後の秘跡」、「失われた街道」
短編であるが、さらに比較的短いものが多く集められているので、次々と読了できる。
全体として圧倒されるような凄いものはない。けれどブラッドベリの叙情的な語りぶりは健在なので、この作者の作品に触れるのが初めてという人よりも、ある程度読んで好きになった人向けか?
ワンアイディアをいかにブラッドベリという小説家が料理するのかがよくわかる。
「忘れじのサーシャ」、「電気椅子」、「九年目の終わりに」が好み。
「忘れじのサーシャ」の夫婦とサーシャの三人の奇妙でどこかあたたかな会話にほっこり。
「電気椅子」の薄暗く、少し汚れたテントのなかで電光と青い火花散るヴィジュアル。
「九年目の終わりに」は、ほんとに何も起こっていないし、何やってんだこの夫婦はとか呟きたくなるけど、素敵だな、と思ってしまった。 -
なんだかんだブラッドベリの短編集を読み続けている。
「Uボート・ドクター」ブラッドベリ先生、躁状態じゃなかろうか。無駄な比喩が多くて、良く判らなかった。
「ザハロフ/リヒタースケールV」。発想は判るけれど、納得させるのは無理。
「究極のドリアン」。SF漫画で見たような印象。これも説明不足。リアリティ無し。
でも、それ以外はやっぱりブラッドベリだなと思わせる短編。
「バック」、「レガートでもう一度」 この2編が良かった。