- Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150119508
作品紹介・あらすじ
全面戦争後、荒廃した地球を舞台に描く表題作ほか、戦争テーマSFの傑作全8篇を収録
感想・レビュー・書評
-
フィリップ・K・ディックの短編集。
学生時代は夢中になって読んだが、久々に再読。
本書は新しく編纂した戦争をテーマにした短編集ということで、自分が覚えていたのは表題作の『変種第2号』だけ。
でもやっぱり面白いな~。
SFのすべての古典がここにあるっていう感じだよね。
SF好きにはディックの短編集はたまらないよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いやいや、表題作「変種第二号」が傑作過ぎ。久々にやられましたわ。これだからディック読みはやめられないのよ。
「戦争」をテーマとした作品をまとめた、日本オリジナル短編集。戦争テーマと言ってもかなり広義に捉えられていて、収録作はそれなりにバリエーションがあって読み応えがあります。(ただし、本邦初訳らしい「戦利船」だけは取扱注意!ディックにしては珍しい、超絶バカSFです(笑))
数多くの短編を書き残したディック作品の中でも屈指の傑作と言っても良い「変種第二号」は、ディックが永遠のテーマとしていた「人間と人間じゃないものの境界は何か?」という問題意識をストレートに表現しつつ、サスペンスフルな一級のエンターテインメント作品としても仕上がっています。他にも、主人公が最後に迫られた選択の残酷さが戦争の無意味さに直結する「たそがれの朝食」、人間の愚かさを端的に描き出してあまりある「ゴールデン・マン」など、グッとくる佳作が目白押し。ディック初心者にもオススメだと思います。 -
本を読んだ時の印象はその時の自分の置かれている状況や精神状態で変わるから面白い。
組織に所属していて人間関係に悩んでいれば、信じられる人は誰なのか?といったことが常に気に掛かっているかと思えば、自然の中で働いていたり遊んだリしているときはその迫力に圧倒されて人間関係の悩みなんかは小さなものに思えてしまう。
今は自然の中で働いているから、自然の迫力に圧倒されていてフィクションが作りもの染みて見えて魅力半減となるタイミングだ。そんな時にディックを読んでしまったから、かなり偏った感想にもなる。さすがのディックの問題提起も心に響きにくかったけれど、これは本の感想というより自己診断テストの結果だな。これもある意味ディック的か。
また別の機会に読み返してみよう。 -
戦争物が多いが、
オチが面白い作品が多かった。
表題作品は、
映画「スクリーマーズ」の原作ということもあり、
映画と合わせて読んだら、
さらによかった。 -
米ソ間の大戦により地球全土が荒廃し,生き残った僅かな人々が生存を掛け遺憾なく能力を発揮する世界.人間そっくりなアンドロイド(ロボットではない!)や人工生命により操作されるドローンの登場など,戦時下では勝利が絶対的正義になってしまう(平和への道筋をつけるという能力発揮は絶対にあり得ない…),皮肉にも感じられる筆致だが,ディック本人は恐らく本気でこの世界観を提示しているのだろう.常にディックの人間に対する価値観は虚無で,楽観的な生き方が理解できないスタンスだったのだろう.実際,50年前にディックが予想した未来と寸分と違わぬ現在が繰り広げられ,ぐうの音も出ない.自分の存在意義とは一体何なのか,と常に沈む読了感に苛まれる.
-
5月7日読了。図書館。
-
映画「スクリーマーズ」「NEXTーネクストー」の原作短篇を収録した短篇傑作選。「スクリーマーズ」として映画化された表題作<変種第二号>が傑作すぎてこれだけで☆5!ホラーなみの迫る恐怖感と募る緊張感がハンパない。ページをめくる手が止まらなくなった。人類vs機械(AI兵器)という世界観は<ジョンの世界>ともつながっており、こちらはタイムパラドックスについて古典的ではあるがワクワクさせられる展開。AIの恐怖を感じる作品が多い中、「NEXTーネクストー」の原作である<ゴールデン·マン>はミュータントの危険を描き、これもSFらしいテーマ。本書も星新一っぽい短篇がいくつかあり、作品ごとの温度差が大きいが、戦争を扱ったものを集めたとのこと。
-
ジョーンズの世界を読みたくて、藤子っぽかった
-
やっぱりディックいいわー(^_^)
-
1953年から56年にかけて発表したもの8編と1987年発表の1編の9編を収録。
本邦初約が1編と新訳2編が含まれます。
ゴールデン・マンは新訳なのですが、随分と面白い話で、旧訳と読み比べてみたい気もします。