さらば長き眠り (ハヤカワ文庫 JA ハ 4-4)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 678
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (588ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150306540

作品紹介・あらすじ

400日ぶりに東京に帰ってきた私立探偵沢崎を待っていたのは、浮浪者の男だった。男の導きで、沢崎は元高校野球選手の魚住からの調査を請け負う。11年前、魚住に八百長試合の誘いがあったのが発端で、彼の義姉が自殺した真相を突き止めてほしいというのだ。調査を開始した沢崎は、やがて八百長事件の背後にある驚愕の事実に突き当たる…沢崎シリーズ第一期完結の渾身の大作。文庫版書下ろし掌編「世紀末犯罪事情」収録。

感想・レビュー・書評

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  • 前作「私が殺した少女」を読むのに苦労したので、今作も時間がかかることを意識して、週末に読み始めたが、意外にも2日で読み終わってしまった。
    前作から6年経って発表されたが、舞台もきちんと6年経っており、400日間東京を離れていた沢崎が東京に戻ってくるところから始まる。
    6年経っていても、時代設定は1993年ごろと思われるが、やはり古臭さは感じない。前作は警察とがっつり関わっていたが、今作は警察の登場も少なく、沢崎の探偵の腕が際立つ内容。
    高校野球にまつわる八百長事件、能の宗家にまつわる跡継ぎ問題など、依頼にどう結びついて来るのか、読んでいて、全然先が読めない。その謎を簡単に沢崎が解いてしまうのが、王道の探偵小説と言うものなのか。
    渡辺の事件も解決し、一部では今作を「沢崎シリーズ一部完結作」と言うが、この先、探偵業も規制が入り、その後どんな探偵になっているか、まだまだ先が楽しみなシリーズ。

  • 久しぶりの沢崎。皮肉っぽいきざなセリフは沢崎だから似合う。こんなセリフ現実には言えない。
    魚崎という青年の姉の11年前の自殺の真相を追う。
    少しづつ真相に近づきそうで、それを覆すように事件が起きる。最期は、意外な事実が判明する。
    ラストの真相は驚かされた。
    そして渡辺を巡る因縁も終わりを迎える。

  • 和製ハードボイルド。

    フィリップ・マーロウとエルキュール・ポアロを掛け合わせて平方根したような主人公。

    執筆に4年掛かったのも頷ける、けれど
    ちょっとこねくり回し過ぎて、、と感じた。

  • 読みごたえがあった、そして、読む手が止まらない。第一章完という事で納得の展開。読んでいて色々考えながら読むが先の展開が予想している展開とは違い予想できない所が読んでいて引き込まれるんだなと感じる、次巻にも期待したい。

  • YM館長の一箱図書館で借用。

    タイトルは知っていたが読んだことのなかった本。
    探偵沢崎シリーズの第3作。

    甲子園賭博の話から、途中で能の宗家の話が出てきて、どうなるのだろうと思った。

  • 私立探偵沢崎シリーズ3作目

    東京から400日離れてた謎、依頼人に出会うまでの道のり、依頼人からの調査の過程、真相が分かってから、あっ、まだ終わりじゃない謎が残ってた!と、読みごたえたっぷりでした。

    残りのシリーズも早く読みたいです。

  • 『そして夜は甦る』に続き、原作品三作目。グイグイ読ませる文章でした(^^ どこか村上春樹のような感じを受けました。それはきっと、チャンドラーなのでしょうね…。渡辺がまさか死んでいたとは——このまま出てこない方が良いのでは?と思っていた矢先でしたので…(><; 第二部の沢崎も読みたい!星四つ半。

  • 沢崎探偵シリーズ第四作。

    一年以上探偵事務所を留守にしていたところから話は始まる。
    その帰りを待っていたのは、まずは依頼人。
    その依頼人に帰りを見張るように頼まれたホームレス。
    元相棒を探す警察と<清和会>。
    それらが絡み合って、話は進んで行く。

    依頼人の姉が11年前に自殺した原因を調べるのだが、
    コールドケースの謎解きは、なぜ面白いのだろう。
    過去へさかのぼる過程が、だろうか。

    謎解き自体が一体どこへ行ってしまうのかと思うぐらい、
    長い道のりだったが、面白かった。
    今までの作品の登場人物が再登場したのも、
    個人的に土地勘のある場所が登場していたのも楽しかった。
    いつのまにか平成になっていたが、伝言サービスが健在で良かったし。

    長い間、留守にしていた謎も明らかにされた。
    いろいろな人が帰りを待つ中、
    待っていなかったのは、いまだに未詳の女だった。

  • 1年以上ぶりに東京に帰ってきた沢崎を待っていたのは、浮浪者の男。
    男からの紹介で、元高校野球選手からの調査を受けることになります。
    依頼者の姉が自殺した真相を突き止めてほしいという依頼ですが、やがて背後にある驚愕の事実に突き当たります。
    ハードボイルドの文章が素晴らしく、言い回しがとてもカッコいい。
    数々の伏線が、最後には驚きの結末に収束していきます。
    面白かった!!

  • 前作「天使たちの探偵」(短編集)から5年ぶりに上梓された本作! いや~~よかった!! もうウルウルして「沢崎、おかえり~」なんて思いながら読んでしまいましたよん。本書の冒頭からもおわかりでしょうが、沢崎自身、400日ぶりに東京へ戻り、探偵業に復活します。
    あいかわらずのチャンドラー口調、健在でした。時々、推理小説ファンでトリックとかを重視する人だったら怒るかもしれない部分がありますが、それは~あなた!沢崎だから許されるんですよん。その部分っていうのは突然、沢崎が何も前触れなしにピタリと本当のことを当ててしまうところなんですけど。
    本書もなんともいえない暗い余韻がありました。これまた素敵なところでもあるんですけどね。沢崎も言っておりますが、「何故」と思い、答えをみつけたら、もっと「何故」がでてくるものなんでしょうね~、人生って。よく、ハードボイルドはちょっと・・・っていう御仁をお見かけしますが、原氏作品はハードボイルド入門者にもぴったりだと思います。もちろんできれば最初の「そして夜は甦る」から読んでください。絶対、お気に入りの1冊になるはず! おまけの文庫化にあたりの書下ろしが後書きの後ろにでているのですが、これがまたいいんですよん。もう原氏って素敵すぎ!!(笑)
    沢崎ファンとして、本書の最後の部分にはまたまた感動してしまいました。「そして夜は甦る」から続いている謎な部分の解答がでております。だから「沢崎シリーズ第一期完結」と言われるのでしょう。あ~~新・沢崎シリーズ第一弾「愚か者死すべし」が文庫化にならないかしらん。待ち遠しい~~~。

  • 渡辺の最後が、すごくあっさりしていて良かった。百合の正体にはえーっ!!てなりつつも、全体的にはぬるぬると解決していって、「仮説が核心に変わっていく」スタイルが斬新、かつ完成されていた。いい後味だ〜

  • 正統なレイモンド・チャンドラーの後継者と言えると思う。
    レイモンド・チャンドラー+ロス・マクドナルドだな。
    何とも言えないけど、読み応えが有り、素晴らしい作品だ。
    煙草が無性に吸いたくなる。今の時代は煙草の扱いが厳しいような。

  • 探偵沢崎シリーズで、「私が殺した少女」の次に書かれたものです。
    沢崎氏は渡辺探偵事務所の探偵なんですが、所属しているのは彼一人。
    なんで「渡辺」?なんですが、主宰者でありパートナーでもあった渡辺は
    元刑事なんですが、おとり捜査の最中に取引のブツと金の双方を持ち逃げして
    警察とヤクザの双方から追われている、という身の上。

    前作でも、その渡辺氏は絶妙に現れては消えて、深い印象を残していたんですが
    今作でついに、彼に関しては決着ついてしまいます。
    けっこうなエピソードだと思うのに、全くの傍流扱いで。

    そして本流の方も、圧巻というか息をもつかせぬ展開で。
    なかなかのアクションシーンが随所にあって、コレ、映画化されないかなって。
    沢崎シリーズの第一期完結となる渾身の大作だそうで。

    いや、全く。タイトル含めて非の打ちどころのない傑作だと思います。
    全く語られないのに、いやだからこそ、香るように、ゆらめくように
    沢崎の思いや感情が、行間から沁みだしてくるような気がします。

    オススメです。

  • ハードボイルド、私立探偵沢崎シリーズ第三作。
    11年前に義姉が自殺した真相を突き止めて欲しいとの依頼を受ける。
    原尞氏の著作には、妙なリアリティが存在している。それは、そこかしこに、原尞氏自身が潜んでおり、ある種の私小説的な迫力があるせいかもしれない。

  • 沢崎が相変わらずハードボイルドにキメる。
    高校野球の八百長の謎について辿っていくと、沢崎は能を見ることになるのだ。なんのこっちゃ。
    アウトローな探偵を気どりながらも、なんだかんだ人の情に繊細さを見せるシーンが多く、いかにも日本風チャンドラーといったところ。

  • 一年以上東京を離れていた沢崎が最初にしたことは、まず連絡の取れない依頼人を探すことだった。
    浮浪者に事務所を見張るよう頼んでいた依頼者は、10年以上前、高校野球の選手として注目を浴びたあと八百長疑惑をかけられた。
    疑惑が晴れる直前に自殺した姉の、死の真相を探ってくれと頼む依頼者・魚住は、その後何者かに襲われ重傷を負う。

    唐突に出てくる能の世界。
    『花よりも花の如く』を読んでいてよかったな。
    なんとなく能の世界のイメージができる。

    この事件には二組の父と娘が出てくるが、どちらの父親もある意味毒親。
    娘を憎んでいるのならまだしも、かわいいと思っていると言いながら、最終的には保身に走るのだ。
    タイトルの「長き眠り」の意味が分かった時、本当に長い間無為に眠りにつかされた娘たちを思って、怒りが込み上げた。

    さて、シリーズ最初から沢崎の周辺に出没する「渡辺」について、ひとまず片が付いた。
    作者はこれでシリーズを終了するつもりだったのだろうか。
    それとも、「渡辺」については些細なことなのか。

  • すべてのネタ振りがきれいに回収される展開が気持ちいい。探偵は自分ルールに縛られて、苦労が多い。

  • 姉の自殺の真相を調べる。
    依頼されるまでと真相に関して若干こねくり回し過ぎやなーって感がした。今読むと全体的に古いなー。
    だから、事情の分からん海外ものが好きなんかな。
    でも、やっぱり沢崎シリーズ面白い。

  • 沢崎シリーズ第4弾。11年前に甲子園で起きた八百長疑惑からはじまる長編作。長すぎて、登場人物がこんがらがってしまった。
    前作から登場人物達が相応に歳をとり、いろんな場面で前作登場人物がひょっこり出てくるなど、シリーズファンとして楽しめる。ハードボイルドな沢崎が相変わらず渋い。

  • やはり面白い/ タイトルの意味が解ったところで愕然とする/ 話の引っ張り方とネタの出し方がしっかりコントロールされている/ 事件が舞い込む設定も良い/ 高校球児、能の家元、浮気した主婦、チャラついた業界人、クセの強いマンション管理人、博奕や酒で身を持ち崩す男たち、浮浪者/

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