- Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150307875
作品紹介・あらすじ
西暦2006年、水星から突如として噴き上げられた鉱物資源は、やがて太陽をとりまく直径8000万キロのリングを形成しはじめた。日照量の激減により、破滅の危機に瀕する人類。いったい何者が、何の目的でこの巨大リングを創造したのか?-異星文明への憧れと人類救済という使命の狭間で葛藤する科学者・白石亜紀は、宇宙艦ファランクスによる破壊ミッションへと旅立つが…。新世紀ハードSFの金字塔、ついに文庫化。
感想・レビュー・書評
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「時間封鎖」に似た設定でまず引き込まれ、後はファーストコンタクトまで一気。スピーディーな展開で非常に読みやすかった。
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日本人のハードSFには期待していなかったのだが、意外におもしろく久しぶりに一気読み。主人公の成長訓練の過程や人間関係を濃密に書き込めば3倍のボリュームになるのに。アメリカSFならそうしているはずだ。ファーストコンタクト、ナノテク、非適応的知性、などもっと書き込んでほしいもの。でも、そのぶんスピード感を味わえるので微妙なところか。
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「トップを狙え!」が見たくなった。宇宙スケールでランデブーや攻撃に時間がかかったりする展開がたまらない。Terra Invictaというゲームでも描かれる、異星人が来るまでに地球人の意思統一で悶着するという流れも好きです。
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もう、この手の本は圧倒的に好き。
幼少のころから本好きではあったが、社会人の一時期は読書の習慣から離れていた。その後、ポツポツと復活したときに手にした一冊が、野尻さんの「沈黙のフライバイ」。「なんて面白い短編集なんだ!!」と感動して、親や友人に貸してみたが、そこまでの反響は得られず。しばらくして、「自分はSFというジャンルが人よりかなり好きなんだ(思い返せばガンダムとかも超好きだし)。」と自覚するに至る。
前置きが長くなったが、そんなSFとの出会いの一冊をプレゼントしてくれた野尻さんの代表作。いつか読みたいと思いながらはや15年ぐらい?ついに手を取ったが、やっぱり面白かった。
テンポよく進むストーリーの中にちりばめられたいくつもの科学トピックにページを繰る手がとまらなかった。最後、「ん、この宇宙人は結局何だったんだ」というところはやや消化不良であったことは否めないが、それはそれとして、人類や宇宙探索への未来に対する思いが否応なく掻き立てられた。
幸い、老衰まで生きることができれば、あと30年から40年程度の余生か。
生きているうちに地球外の知的生命体に合うのはよほどの幸運がない限り困難なのかもしれないが、月や火星への入植、太陽系における他の生物の発見ぐらいまでは見届けたいな。
そんなことをみんなが夢見れるようになれば、世界だってもっと平和に、もっと住みやすくなるとのにね。 -
ハードSFとして緻密な描写がされていてとても気持ちの良い作品。ファーストコンタクトモノとして、最後はご都合主義的な展開があるものの読後感が非常によく、何度も読み返してしまう名作。
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星雲賞
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スペシャルサンクスの多さに驚いた。やはりこれだけ綿密な科学的な展開、情景描写をしようと思ったら、それだけ専門家の意見が必要となるものなのか。本書でいちばん気に入ったのが、やはり高次元の知性体であるビルダーの意識だ。種族全体で意識を共有している彼らは、自分の意識について自由にコントロールできない。しかし不慮の事態で意識の結合が解けた場合は、適応的な(自然物としての)人間とコンタクトできる。しかしその独立した意識も、やがて高次元の意識へと回帰して、人間の意志を認識できなくなってしまう。そういうあり方が非常に面白かった。