- Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150309725
感想・レビュー・書評
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地球汚染で人類が地球から退去した数百年後が舞台です。
数百年たち地球も浄化され、少しずつ地球に戻る人がでてきた中、人間が同じことをまた繰り返してしまうという危惧から地球への帰還をとどめる活動をする地球保護委員会。
なんというか、政治家と庶民、とか日本で働く人とグローバルな人、とかなんでもそうですが、立ち位置によって見える景色は全く違いますよね。
いろいろ見えてる立場からは、狭い世界でじたばたしている人を見ると、もっとこうしたらいいのに、と思うかもしれないけど、その世界がすべての人にとっては文字通り目の前の世界が全てなんですよね。
一度飛び出しちゃえば「こんなものか」と思うけれど、世界を飛び出すことはものすごいパワーが必要。
そんな2つの立場が交叉する物語でもありました。
自分の正義をもとに、信念をもとに動いている人と、
生きる意味を模索している人との対比もよかったです。
スピンオフで博士の愛の逃避行物語もぜひぜひ読んでみたい。刊行希望。
博士は世紀の天才でしょうが、読み進めていくうちに実はおばかなんじゃ・・・と思うエピソード満載で。
きっとシウを作り出したのも、落ちこぼれを、というよりは、天才が故に見失ってしまう大事なものが実はある、ということに博士自身うっすらと気付いていたからこそ希望を込めて作り出されたんじゃ。なんていうのは考えすぎですかね。
私が知っている地球とは違う未来の地球に怯えつつもわくわくしたし、
地球外に暮らす人々が望郷の念を持って想う地球の美しさに改めて感じ入りました。
初読みの作家さんでしたが、作家自身宇宙にすごく思いを馳せてるのが伝わって、読んでいて満足感のあるSFでした。
キャラは、コーリンが一番好き。強いというより、強くあろうとする彼女がかっこいい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
SF。冒険。
人類が地球を退去してから約400年後の物語。
ブライアン・オールディス『地球の長い午後』をイメージしていたが、そこまで濃密な世界観はない。
それでも未来の地球という舞台はとても好きなジャンル。
ライトノベル出身の作家らしく、柔らかい文章で読みやすいのも良い。☆3.5。 -
「地球の環境破壊が進んで、人類は取り返しがつかなくなる前に、地球外に移民して…」みたいな、ちょっと古臭い設定のSF。現代的なのは、地球も人類もそこまで絶望的な状況でもないってとこでしょうか。絶望的ではないんだけど問題は山積という感じが、とても共感し易い。
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「ねこたま」デビューの頃以来、凄く久々に読んだが、雰囲気があまり変わってなくて懐かしくなった。SFなんだけど、フワフワした感じの柔らかい文体はとても好き。でも、好みは分かれるかな…
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一言で言うなら命をかけた自分探しの旅。
設定が何かと好みだった。 -
ラストがイマイチかな?
でも、面白い(。-_-。) -
回帰祭の方が設定は好みでしたが、総合的・話の流れが個人的にこちらの方が良かったです!
この人の作品はどちらも読みやすくて、物語に引き込む力もあるので
程よくSFを楽しみたかった身としては読後の満足感たっぷりでした^^
以下ネタバレ含みます...
ただ、両作品ともに、かゆいところに手が届ききっていないような…
ニナの言う、「もらった恩」が、
シウよりもコーリンが語った台詞が考えるキッカケになったように思うので、いまいち恩がシウに向けられることに違和感を感じました。
ここの説明がなかったのは残念でした。
仕方ないことだとは思いますがやはり…最後のチェスコさんが浮いて見えます……何しにきたの…(爆)
あと、コーリンの心境を知る場面が少なかったので個人的にしゅん(シウを嘲る場面とか)
やっぱりパワフルなお婆ちゃんていいですね〜笑 -
今回も、なんだか新井素子な気分で読んでしまったけど、小林めぐみだった。通りで文章が読みやすいと思った。
ストーリーの基本はボーイミーツガールなSF。回帰祭と話は近い。
もう少し大人はあくどくてもいいように思うが、、、、 -
10/03/03 読了。
「ぼくはもう、人の為になることしかないと決めた」
ハヤカワ文庫から出ている「回帰祭」と同じ世界を扱った作品。
遠い未来、環境破壊が進んで住めなくなってしまった地球を脱出し、
他の惑星等で新たな生活を送ることになった人類。
長い年月を経て、地球環境は生活が可能なレベルにまで回復。
「回帰祭」はそんな地球へと帰ろうとするお話でしたが、
こちらは勝手に地球に帰った連中がいっぱいいて困っている人々の話です。
正確にはちょっと違うだろうけど、まあそんな感じ。
主人公・シウは実は超天才科学者のクローンなんだけど、
実験でわざと「天才」にしなかったバージョンなので
一応研究員やってたんだけども、どうにもこうにも優秀とは言い難く。
そんなどこか屈折した彼が地球調査員の賢女・コーリンのお供として地球へ赴き、
その現状、人々、謎の怪物、そして「親」の姿に触れていくことに。
最後がちょっと駆け足というかになってしまってるのが残念ですが
読んでる途中は「この先どうなってしまうの?」というわくわく感が止まらなかったです。
冒頭に掲げた言葉に込められた悲哀と
その後に巻き起こってしまった悲劇が溜まらなく寂しい。