星の舞台からみてる (ハヤカワ文庫 JA キ 7-1) (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 341
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150309985

作品紹介・あらすじ

香南は、顧客の死後にweb上の死亡告知やサービスの解約処理を代行するHCC社勤務の25歳。伝説の創業メンバー・野上の死後処理を任された彼女は、謎のメールに導かれ彼の人生を追う。一方、香南のネット上の代理人"カナ"も、野上の代理人"ボク"と出会う。香南とカナの進む先には、野上の遺した世界を揺るがす秘密が…恋に仕事にひたむきな女子がwebとこの惑星の未来を拓く。愛と勇気のシステムエンジニアSF。

感想・レビュー・書評

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  • 「愛と勇気のシステムエンジニアSF!」、との謳い文句。

    あちらこちらに技術用語をまぶしてある。ストーリーはライトめ。

    「コミュニケーション」という言葉がよく出てくる。かなりロマンチックな意味を持たせているようだが、「エンジニアにはコミュニケーション能力が必要だ!」というお仕事上の命題の意味の方がなんとなく透けて見えてくる気がする。気のせいかもしれないけど。

    「セクタエラーだ。古典的なコピープロテクトだな。こんな方法、今時残っているとはな。さすが野上さんだ。……エラーをスキップ。ファイルシステムのエラーチェックをエスケープして……違う、エラーセクタがさっきと違う。毎回変わる……のか? どうやって読めばいい。とりあえずフルダンプ……いや、違うな。データが連続している保証がない。メタデータだけでも取り出せれば……」
    (中略)
    「違う。考え方を変えろ。……所詮はシリアル通信だ。データストリームが流れてくるにすぎない。ストリーム……そうだ、ただのストリームだと思って先頭から読み出せばいい。……エラーか。
    (p292)

    「これだから、若いエージェントは困るね。キャリーの身体には野上が習熟したコマンドが叩きこまれている。昔はシリアルケーブルを使ってマシンを繋げたり、モデム経由でのネットワーク接続なんかもしていたじゃないか。tip とか kermit とか、シリアル端末を使うコマンドを知らないのかい?」
    (p370)

    上記のような文で「うほっ」と思ったかたは読まれるのが吉かもしれない。

  • システムエンジニアSFってどんなのだろう?

  • 星の舞台からみてる (ハヤカワ文庫 JA キ 7-1) (ハヤカワ文庫JA)

  • うーん惜しい。
    設定は悪くないと思うのですが。
    恋愛部分が全然よろしくない。主人公の考え方に共感できないし、その考え方でもあの男に惚れないだろ……って感じ。
    でもSEが書いたのはよくわかる文章。
    コミュニケーションが大事!って言いたいし言ってるんだけど、どうにも「システム」さんだなぁって感じ。
    うん、惜しい。

    カバーイラストレーション / 橋本 晋
    カバーデザイン / 電光肋骨団

  • SFだ!という感じなのに大上段に構えてるわけでなく、読みやすい。少し先の未来ならこういうこともありそうだな、と感じさせる設定が良いと思う。

  • 著者がSEということで、作中にネットワーク絡みの語彙が頻出している。
    自分は趣味で情報処理関係の資格習得をしているので、知っている単語などが出てくるとちょっとうれしくなったりするけど、一般的な語彙でないので「どうかなぁ~」と思ってしまう。まぁ、知らない単語を調べて読み進めるのが正しいSFの読み方なのかもしれないけど。
    内容的にはミステリー的な始まりで、ちょっと唐突に大きな事柄へ繋がっていく。
    恋愛要素もあったりするけど、どうも恋愛心理がイマイチでなかなか主人公の心理に納得できなかったりした。
    序盤に色々と伏線があり、最終的には回収されるのは良かったと思う。
    ただ、最終的に読了感がイマイチな感じ。

  • ストーリーは何も知らず読み始めたが、本業がプログラマ?
    コンピュータ系の描写部分は専門なんだなと感じさせますが、人間の描写(心情)はこれからに期待かな。

  • 全体を通して「謎を追いかける」というサスペンス的なお話だけど、スリリングさは抑え目。
    その中で、ネットワーク上に存在する「エージェント」と呼ばれる人工知能的なプログラムが大きな鍵となるのが、ただのサスペンスものとは違ったSF感を付け加えている。
    謎が少しずつ明らかになっていく過程、またその邪魔が入ったりするところや、それをどう切り抜けるか、がサスペンスっぽく、「先が気になる!」とぐいぐい話に引き込まれる。

    登場人物もなかなか魅力的で、仕事を一生懸命ガンバル女子が主人公。
    それほど個性的なキャラクターではないけれど、頑張っている姿に好感が持てる。
    それとネットワーク系ギークの取っ付きにくい若者:広野、このキャラクターが強烈。面白い。

    本の裏のあらすじに「システムエンジニアSF!」ってあるけど、そういうことはない。
    今現在でも存在するネットワーク系の細かい話は出てくるけど、理解できなくても読むことに影響はないと思う。

  • ああ、この時代にかかれた物語だな、と。
    さしあたって目新しいことはなく、繰り返される数多の物語の一つ。なんとなく残る違和感は、「星虫」におぼえたものと同一。

  • あまり期待せずに読んだけど、めちゃくちゃ面白かった。さらっとした感触だけど、ガジェット、SF的アイデア、浮かぶ映像などが素晴らしい。構成、キャラクター、ストーリー、伏線の回収も見事。その上でテーマは社会構造から自分探しまで、会社対個人から経済構造までを包含している。(しようとしている。)
    敢えてテーマを挙げるなら、「コミュニケーション」か? Web of TRUSTという言葉の、IT用語を越えた本来の意味を考えたくなる。

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著者プロフィール

"1972年生。東京工業大学大学院情報理工学研究科博士課程修了。博士(理学)。2003年より株式会社創夢に勤務。カーネルドライバ開発から、ネットワークアプリケーション、Webアプリケーション開発までの幅広いレイヤーをこなす。普段はFreeBSDをメインの生活環境として使う。また、2007年より小説家としての執筆活動も行う。主な著作に「くあっどぴゅあ」(ファミ通文庫)、「星の舞台からみてる」(ハヤカワ文庫JA)、「人生リセットボタン」(PHP研究所)などがある。""

「2018年 『はじめてUNIXで仕事をする人が読む本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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