リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
3.78
  • (46)
  • (95)
  • (86)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 717
感想 : 84
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310530

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 収録の短編4本、どれも面白かった。
    冒頭から3篇はキーワード、とは違うけれど、花のモチーフが印象的なところで出てきたように思った。睡蓮の形の水上都市、心の動きを視覚化させる磁力の花、脳の中に開く記憶という名の一輪の花。どれも儚く、それ故に美しい。
    最後の「幻のクロノメーター」だけ少し毛色が違うように感じたのは、これだけが書き下ろしの新作だったからなのか。
    前に『華竜の宮』を読んだ時にも思ったけれど、作者の“人という生き物”に対する視線が愛情があるところがとても好きだと思う。

  • 華竜の宮の世界観の短編とあって、大事に読みたいと随分時間をかけてしまった。

    やはり好きな世界「リリエンタールの末裔」。
    19世紀ロンドンを舞台の時計職人の話「幻のクロノメーター」も好き。他二編もじんわりとくるSF良品。

    ※H4の美しさは必見ですね!→http://ueda.asablo.jp/blog/2012/05/11/6442698

  • 短編集。何より美しい表紙に釣られた。
    表題作の前向きさが眩しく、再度表紙を見返すことに。
    短編集として作品ごとに星をつけたいくらいですが、表紙と表題作だけなら確実に五つ星です。

  • 短編集だが、十分に楽しめた。技術の進歩には目をみはるが、そこに込められた人の思いほどには魂を揺さぶられない。やはり人は心あってこその人であると、あらためて思った。

  •  記憶と感覚を強く印象着けるSF短編。
     最後の「幻のクロノメータ」のイメージの豊かなことはすばらしい。この長さであるからこそ輝く設定なんだろうけれども、読み終えるのがもったいないと思ってしまった。

  • 久々のSFだったが、良いもんだな。同じ作者のを漁ってみるか。

  • SF短篇集。一人称の問わず語りも三人称の記述もあり。独自の世界観の中でのストーリーを読者に押し付けることなく説明する文章力が秀逸。脳内ビジュアルを生成してくれる。

  • テクノロジーへの強い憧れと悲哀が詰まった短編集です。
    孤独とひきかえに手に入れた、機械によって拡張された感覚がもたらす美しくて驚きに満ちた世界。
    『ナイト・ブルーの記憶』が一番好きです。
    感じたことのない感覚や見たことのない世界を自分の想像の中で経験することができる・・・SFの楽しさを再確認しました。

  • 上田早夕里さんのSF作品はこれが始めて。

    全てがものづくりに通じている。
    夢がありそれでいてどこか切ない、そんな話たち。異世界のようで私たちの世界にも通じている。逆に現世のようでどこかちがう。不思議な感覚になる。

  • この著者の本を読むのは、このリリエンタールの末裔が初でしたが、読み終わってみるとかなり良作だったと感じます。本の中は、短編で別々のストーリーで構成されていますが、その一つ一つがストーリーの中に吸い込まれていくような魅力があったので、一読で最後まで読んでしまいました。
    いくつかの話で構成されている本書の中でも、タイトルにあるリリエンタールのように空を飛びたいと夢を持ち実現させようとする少年の話に、なつかしさと元気をもらえたと感じます。
    また、元気がもらいたい時に読んでみようと思います。

著者プロフィール

兵庫県生まれ。2003年『火星ダーク・バラード』で第4回小松左京賞を受賞し、デビュー。11年『華竜の宮』で第32回日本SF大賞を受賞。18年『破滅の王』で第159回直木賞の候補となる。SF以外のジャンルも執筆し、幅広い創作活動を行っている。『魚舟・獣舟』『リリエンタールの末裔』『深紅の碑文』『薫香のカナピウム』『夢みる葦笛』『ヘーゼルの密書』『播磨国妖綺譚』など著書多数。

「2022年 『リラと戦禍の風』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上田早夕里の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×