日本SFの臨界点 新城カズマ 月を買った御婦人 (ハヤカワ文庫 JA ハ 11-4)
- 早川書房 (2021年7月14日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150314910
作品紹介・あらすじ
3か月連続刊行の作家別傑作選第2弾。情報技術の未来を疾駆するポストサイバーパンクSFや改変歴史、青春小説など多彩な傑作集
感想・レビュー・書評
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粒揃いで面白いです。あまりSF成分が強くないものも良い。
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SFマガジン2005年7月号アンジークレーマーにさよならを、06年2月号月を買った御婦人、09年10月号雨ふりマージ、10年2月号議論の余地はございましょうが、まんたんブロード2007年4月号ギルガメシュ叙事詩を読みすぎた男-H氏に捧ぐ、9月号世界終末ピクニック、群雛Noveljam2017年2月原稿は来週水曜までに、2010年7月河出文庫NOVA2:マトリカレント、小説推理2010年3月号ジェラルド・L・エアーズ,最後の犯行、2008年2月GA文庫マップス・シェアードワールド:さよなら三角,また来てリープ、の10の短編を2021年7月ハヤカワJA文庫刊。日本SFの臨界点作家シリーズ2作目。振り返ると悪くない話ばかりなのだが、核になるアイデアを繰り返すギャグや勘違いで展開する読み辛い話ばかりが続くので、食傷気味になった。伴名練さんの解説が面白い。
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2021年8月24日読了。ライトノベル出身・多岐にわたる活動を行う新城カズマ氏のSF短編集、選者の伴名練氏による充実した解説・活動歴もついて納得のボリューム。過剰に参照情報・オマージュを詰め込みSF的ワンダー・青春・ロマンティシズムを強く感じさせるSF短編たちはもちろん面白いが、非SF短編「ジェラルド・L・エアーズ 最後の犯行」がダントツに面白かった。読み終わっても結局真実が何であるかはわからないが、登場人物の心の中の真実に殉じること、が幸せ、ということなのではないか…?いくらエビデンスを積んでも、他者が「これが真実」と規定することはできないのではないか…?一方で当人でさえ、自分の体験が絶対の真実であって、模造記憶・記憶改変の影響を受けていないもの、と断言することもできない…。大変面白いテーマを扱う作家と感じた、他の著作も読んでみたい。
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『日本SFの臨界点 新城カズマ 月を買った御婦人 』読了。伴名練による新城カズマ傑作選。表題作と「雨ふりマージ」しか読んでなかったけど、「架空人」といった概念や歴史改変的なSF的着想の鮮やかさと青春的な瑞々しい感情の迸りが印象的。確かにこれはSF作家としてもっともっと書いてほしいというもの。
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ああ,新城カズマはいい.その発想,筆致,サラサラとした文体に乗せられる,私が及びもつかないそのアイデアを,堪能できる,どっしりとした短編集.まだ単行本未収録作品があるので,将来の楽しみにしておこう.
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「月を買った貴婦人」以外は初読。多彩な作風ゆえに、個人的には好き嫌いが分かれるところ。「ギルガメッシュ叙事詩を読みすぎた男」はショートショートでありながら、はちゃめちゃな展開に強烈な印象を受けた。1番面白かったのは、SFではない「ジェラルド・L・エアーズ、最後の犯行」。作品を埋もれさせないために、SF傑作選にあえてSFでない作品を収録した編者の判断は素晴らしいと思う。
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何かの終わりを、単なる破局でなく、別の何かの始まりと捉えられるような感受性はSF作家には珍しくないが、そういう変化への偏愛みたいなものを、この短編集からは強く感じる。逆に過剰にイモーラルに振る舞うことを、自分は古い道徳に縛られない=かっこいいと、安直に考えてそうな危うさも感じる。時事ネタで申し訳ないが小○田氏の一件なんかを反面教師にしてもらいたいモンだ(後で吊し上げられるから、ではなくて、そのかっこよさなんてものが、所詮エコーチェンバー内の木霊に過ぎないことが明らかになった事例だと思うので)。
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2023-02-16
思ってた以上にリーダビリティが高い。収録作のいくつかは、他作品の外伝だったりシェアード・ワールドの一遍だったりするので、細かなところはよく分からなかったりしたけれど。文理の狭間に上手い具合に焦点が当たっていると思う。