- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150400712
感想・レビュー・書評
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映画化と言うことで本棚から引っ張り出した。 文庫本に記した読了日は「85.6.14」。
我々の世代だと「ギャツビー」はレッドフォードのイメージであり、所有する文庫にも映画の写真が掲載されている。「明日に向かって撃て」や「スティング」などを何度も観た身としては、ディカプリオよりはレッドフォードひいきになってしまうのだが、それにしてもあまり「ギャツビー」にいい印象はない。
というか、あまり印象がない。
ということで、確認のため再読。
主人公ギャツビーは、夢をかなえるために非常なエネルギーを発揮している。
そして人も羨むような身分となるわけだが、やがて明らかになっていくその望み、その夢のはかなさが彼の幼稚性や非現実性と絡み合って孤独な結末へと向かっていく。
絢爛豪華な生活と、その陰に隠された秘密。
幼稚だからこそのエネルギーなのか。
奇しくも、語り部として登場する隣人が30歳の誕生日を迎える。大人の入り口を通った存在としてギャツビーと語っている。
過去はどうにもならないじゃないか。
いや、過去は元に戻すことができるよ。
未来にではなく、過去の一点に希望と理想を設定し、そこへ向かって行動していることがギャツビーの不幸の原因なのだろう。
そこへ戻ることが不可能と分かった後の主人公にとっての未来は、あったのか。
中身などほとんど忘れていたが、ひとつの愛の表現が記憶の底に残っていた。
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アメリカ文学の代表作のひとつ。今更僕が語るまでもない有名な小説ですが、人間の夢や想いに対する儚さ、虚しさの表現の傑出っぷり、そこから来るだろう切ない読後感、僕は好きです。
ギャツビーの「美しい破滅」的生きかた、物事に対する病的な執念を含んだ感覚や身のこなし、話しかた…等、まさに村上春樹文学の原点を見る思いです。