警察署長 下 (ハヤカワ文庫 NV 438)

  • 早川書房
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150404383

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物のキャラクター、起きる事件、人間関係、それらがうまく配置されている。連続ドラマを見てるような面持ちもするのだが、解説にはチャールトン・ヘストン主演で1983年ドラマ化され、日本でも1985年8月に90分3夜連続でNHKで放送されたとあった。う~ん見逃してしまったなあ。チャールトン・ヘストンは最初から最後まで登場する町の銀行家役だそうだ。


    1981発表
    1987.3.31発行 図書館

  • 40年以上にわたる殺人事件、そして一つの町と時代の変化を描いた小説『警察署長』。下巻では第二章の承前、第三章では黒人差別の残る町から、ついに黒人の警察署長が誕生します。

    作品全体を通してみると登場人物それぞれの描写やキャラクターが面白い。1章のだれにでも親切なウィル・ヘンリーとはうって変わり、2章で警察署長となるサニー・バッツは差別主義者。狙いをつけた黒人に因縁をつけ取り調べを強行したり、他の市民にも横暴な態度を見せる始末。そうした彼に対決姿勢を見せるのが、ウィル・ヘンリーの息子ビリー・リー。

    サニーとビリーの対立構造に加えて、追い込まれたサニー・バッツの思わぬ行動からのクライマックスなど、あくどい人物の描写も丁寧に描くからこそ、物語のドラマチックさがより増します。

    3章では初の黒人署長タッカー・ワッツの奮闘にくわえ、選挙戦を目指すビリーの政治的思惑に黒人差別の影。そして二人の署長が残した殺人事件の記録と、様々な要素が絡まりあいます。

    多くの人物の思惑や背景が絡み時代も章ごとで大きく変わるのに、物語の軸がしっかりまとまっているのは作者の力量を感じます。上巻ではルーズベルトアメリカ大統領の名前が出てきましたが、下巻ではケネディ大統領の名前がでてきて、40年に及ぶミステリを読んでいるというよりかは、壮大なドラマを読んでいるようにも思いました。

    小説全体を振り返るとミステリ要素は個人的にやや物足りない感じがありました。犯人が1章でわかるのはいいものの、2章、3章でどのように犯人に迫っていくか、という点で性急な感じがしたのと、犯人側の書き込みも曖昧な印象が残ります。

    ただ一方で個性的な登場人物たちを、善人だけでなく悪人も丁寧に描くことで物語を生き生きとさせ、
    さらに政治や歴史を組み込むことでデラノという虚構の町の物語が、単なるフィクションとはまた違う次元に押し上げられたようにも感じます。

    そうした作品の力は本当にすごいと感じました。

  • 大河ドラマの壮大さと当時のアメリカ社会の闇も描かれた傑作です。

  • 面白いので、是非読んで下さい♪
    古い本なので、図書館か古本でないと手に入らない可能性が大です。

    アメリカ南部の新しくできた街の3代にわたる警察署長をメインに、一つの事件を追っていきます。

    人種差別の問題など、アメリカならではの背景が絡みながら、話に引き込まれていきます。

    2021年に読んだ本の中で、堂々のベスト3にランクインです。

  • 最後まで、面白い。アメリカの人種差別の戦いを淡々と書いた力作。

  • 1920年代から1960年代の40数年にわたる、アメリカ、ジョージア州の架空の田舎町デラノでおこる連続殺人事件、それに関係するデラノの三代の警察署長と町の人々の物語。
    ミステリーというより普通の小説。でも面白い。話の展開もはやいし、各章もちょうど読みやすい長さなので読みやすい作品でした。もっと早くに読めばよかったなぁと
    思います。

  • 面白かった。
    当時の人種差別について、勉強になりました。

    犯人に犯行の真相を語って欲しかった…。

  • 優れた評論家であった瀬戸川猛資絶賛の書。アメリカ南部・架空の町デラノを舞台に、長きにわたり未解決となる連続殺人と、根深い人種差別に翻弄されつつ事件に挑んでいく警察署長三代を描いた大河小説。謎解きはあくまでも添え物で、作者の主眼は20代以降のアメリカの社会状況を描くことにあり、普通小説に近い仕上りとなっている。

  • 壮大な家族小説であり、アメリカ社会小説でもあり、ミステリとしてもハラハラドキドキする良い作品です。
    主人公は農家から郡の保安官になるのですが、一つのコミュニティにとって、権力を持った警察機構を設立する意味や、それをこなせる人材とはいったいどのような人物が適当なのか、という点などなかなか興味深かったです。

    上巻で犯人がわかっていますが、物語がどのように収束していくのかが見所でした。

  • 評判に違わず。

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