アイ・アム・レジェンド (ハヤカワ文庫 NV マ 6-5)

  • 早川書房
3.47
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150411558

作品紹介・あらすじ

夜が来る。ネヴィルは一人、キッチンで夕食の用意をする。冷凍肉をグリルに入れ、豆を煮る。料理を皿に盛っているとき、いつものように奴らの声が聞こえてきた。「出てこい、ネヴィル!」…突如蔓延した疫病で人類が絶滅し、地球はその様相を一変した。ただ一人生き残ったネヴィルは、自宅に篭城し、絶望的な戦いの日々を送っていた。そんなある日…戦慄の世界を描く名作ホラー、最新訳で登場。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルは地球最後の男の方が好み。
    主人公は何かあると物を壁に投げつける描写があるなぁ、と。
    犬の場面は章の最後の一行に絶句。

    フランシス•ローレン監督の映画は公開してすぐに観た。
    映画自体の出来も不満があったが、原作である本書を読んで
    ますます駄作映画だと確信。

  • 予備知識はほぼ無しで読み始めたので、冒頭から「なぜ?」がずっと付きまとってくるのですが、いくつかの「なぜ?」が解決していく展開を経た後、主人公のちょっとした油断がピンチを招いてしまう展開となったその瞬間に、物語の世界にグッと引き込まれました。

    読後、これが後の「ゾンビ」ものの原点となったというのを見て、大いに納得しました。

    中盤以降の展開は、ずっと主人公を応援するような目線で読んでいたので、ラストは悲しい結末になってしまいましたが、主人公ならたどり着けていた結論の範囲内ではあったなぁと感じたため、割とすんなり受け入れることが出来ました。

  • 謎の疫病により、人類は"死ぬ"か"血を求めて徘徊する化け物となる"かに二分された。そんな中、どちらにも属さない唯一の人類であるネヴィルは、絶望的なサバイバル生活を送っていた。終わることのない孤立無援の戦いの行き着く先とは――――。

    何度も映画化されているリチャード・マシスンの名作。本書の解説にも書かれているが、現在では定番となっている「細菌(兵器)によるゾンビ化」という設定の原典でもある。

    "I am Legend"―――この作品を最後まで読んだ人だけがこのタイトルの意味を理解することができ、特別な一文として心に刻まれるだろう。

  • ホラーの基本となる重要な作品。ゾンビや吸血鬼ものに与えた影響は計り知れないと思う。

    犬(´・_・`)

  • 大体話全体の内容を最後まで知った上で読んだ。表紙にもなっているウィル・スミス主演映画よりも考えさせられる内容だし、表題と密接に絡んだ話になっている。

    ボリュームとしては中短編といった感じで、すぐに読み終わる。「地球最後の男」「オメガマン」「アイ・アム・レジェンド」と三回も映画化されているが、クライマックスの展開は三本のどれよりも原作がいいと思う。

    自分が必死に生きようとすることに意味があったのかという自問に答えを見出した主人公の姿に、読後清々しい余韻が残った。

  • F先生の名作「流血鬼」の元ネタだそう。
    一番最初の映画が一番観たい。
    ひとまずウィル・スミス観るかな。

  • ウィル・スミス主演の同名映画の原作。私的にはゾンビ小説二作目。ゾンビ映画には当たり外れがあるが、今のところこれも当たり。続々わくわくした。

    映画とは違う内容。自堕落に無目的に生きていた主人公が、犬の出現により変わるところは見どころ。どん底を体験したものが生きる気力を得て、病原菌の研究に情熱をもって行動をはじめる。

    孤独と生きる意味を主人公が色々と考える。けっこう深いと思った。

    星四つ。

  • 確かに最後一文の含む意味は深いな。サバイバル・ゾンビ・犬・愛・SF・その他いろいろのバランスがうまい。新訳なのも良かった。

  • 吸血鬼が蔓延する世界にたった一人生き残った男の話。吸血鬼との闘いとかアクション的な要素もあるんだけど、それよりも男の心の葛藤とか、吸血鬼との対決方法を考えるとか、内面的なところに重きが置かれています。ストーリーにはあまりひねりが無く古典的な感じもしますが、訳も良いのか、文章に古くささは無く、今でも十分読める面白さだと思います。

  • 読了→映画→ガッカリ

    映画→本→目から鱗の奇病発症。

  • リチャード・マシスン 『アイ・アム・レジェンド』
    (2007年11月・ハヤカワ文庫/1977年・ハヤカワ文庫『地球最後の男』を改題・新訳)

    夜が来る。ネヴィルは一人、キッチンで夕食の用意をする。
    冷凍肉をグリルに入れ、豆を煮る。
    料理を皿に盛っているとき、いつものように奴らの声が聞こえてきた。
    「出てこい、ネヴィル!」……
    突如蔓延した疫病で人類が絶滅し、地球はその様相を一変した。
    ただ一人生き残ったネヴィルは、自宅に籠城し、絶望的な戦いの日々を送っていた。
    そんなある日……
    戦慄の世界を描く名作ホラー、最新訳で登場!(『地球最後の男』改題)  (セブンアンドワイHPより)

    原本は1954年に刊行だから50年以上も前に書かれているわけで…。
    そう考えるといやはやまったくもって凄い人なんだな、リチャード・マシスン。

    ハヤカワの異色作家短編集、装丁に惹かれて全巻買ったはいいけど、そういえばあまり読んでない。
    でもこの人の『13のショック』はすぐ読んだんだよねぇ。
    出来はまずまずであったが、ヘンな話を考える人だなぁと思っていた。
    確か去年の「このミス」でも上位に入ってたような・・・。
    ・・・で、調べてみると『奇術師の密室』が去年(2007年版)の海外7位にランクインしてるね。

    伝奇・伝承を科学的に論じる・・・これって現代のエンターテイメントの基本パターンの一つだけど、50年も前にリチャードさんは頑張ってはる。
    要は、吸血鬼はなぜ・・・?ってやつ。
    心臓に杭を打ち込まなきゃ死なないのはなぜ?ニンニクや日光、十字架を嫌うのはなぜ?
    なかなか理にかなっていて、ほほぅ、と唸らされた。

    全編に漂う荒廃感・虚無感といい、日本人にはこうは描けねぇな、というラストといい、非常にいい味だしてるぜマシスン!
    こういう掘り出し物は嬉しいかぎり。

    70点(100点満点)。

  • マシスンの「運命のボタン」が今ひとつ食い足りなかったので、連続で読んでみました。
    2007年、ウィル・スミス主演の同名映画の原作。
    チャールトン・ヘストン主演の「地球最後の男」の原作でもあります。

    振り返ってみると、映画の鑑賞メモでもやはり食い足りないと感じていたようです。
    なぜ題名が「アイ・アム・レジェンド」なのか。

    mov-love.blogspot.com: CINEMA | アイ・アム・レジェンド | I AM LEGEND
    mov-love.blogspot.com: CINEMA | 地球最後の男 オメガマン | THE OMEGA MAN

    で、ようやくそのもやもやした気分の原因がわかりました。
    ハリウッドに騙されていた結末を、原作を読むことで新たな価値として発見することができました。

    これは、いかんぜよ。心臓潰しじゃないか。
    活字と映像で異なる解釈はあって構わないと思いますが、作品のキモを潰してしまってはいかんよ。
    もし、本を読まなければこの作品の楽しさ、面白さ、深さが分からないままだったではありませんか。

    わたしが大場 嘉門部長なら間違いなく「大馬鹿者!」と叫んでいるはず。

    ハリウッドに中指お見舞いじゃ!

    と思う程、本の方が圧倒的に深くてサプライズを与えてくれます。
    久々の「読むべし」本。

  •  映画の「アイ・アム・レジェンド」を観て原作が気になったので,本屋で探して買ってきました。『アイ・アム・レジェンド』(リチャード・マシスン著,尾之上浩司訳,早川書房,2007年)です。もともとは1954年に書かれた本で,日本では『地球最後の男』という名前で出版されていたものを再訳したものです。題名も原題『I AM LEGEND』そのままに戻されました。
     一気に読んでみたら,映画版とかなり違うので驚きました。設定以外は全部違うと言っても過言でないくらい違います。何より違うのが物語の結末で,映画版と小説版は結末が正反対です。これを読んでしまうと映画版の結末は全然ダメな感じがしてしまいますが,そこは好みの問題もあるかも。少なくとも,小説版だと「I am legend」という題名の意味が非常に納得できますが,映画版だとなぜこの題名なのかわからないままです。映画版だとさしずめ「He is legend」でしょう。
     ネタバレを避けるためこれ以上は書きませんので,気になる方は読んでみてください。

  • -

  • 人類が絶望した近未来を描いた作品で、たった一人生き残った彼が行ったことは謎の敵と戦うこと。一人しかいないという究極の孤独を読んでるひとにリアルに感じさせられる作品だした。最後に自分の命をすてて最後まで謎の敵について研究を続けた彼には感動しました。愛犬が死んでしまったところもとても感動しました。

  • 映画を先週くらいに見て、疑問点が多かったので読んだ。だけど、読んでも解消されなかった。
    「なんで主人公は抗体持ってんの?」とか。かなりふわっとしてる。
    科学強めのSF、結構面白かった。だけど、現実味を考えると強引、こじつけ。理論としては面白いけど、理論を組み立てるよりエンタメ性を上げて欲しかった。なんか結局中途半端。

    けど、最後のセリフだけで十分読む価値があった。すっごく虚しい気分だけど、ちょっと気分の悪い最悪な勝利感。

    あと、本当にこれ映画の原作?? 原作っていうより、インスピレーション元の間違いでは??
    主人公の名前以外、ほとんど共通点がない。原作は主人公白人だし。これはこれで面白いけど。

  • 映画は観ていないので、本書のみの感想になりますが、まるで異邦人になってしまった気分です。
    慰めあえる相手もなく、解決を相談できる相手もなく、ただ耐えるだけの生活というのは想像以上に耐え難いものだと感じます。

    怪奇現象が嫌いでなければ、ゲーム「SIREN」シリーズもなかなかオススメです。こちらも人間VSそれ以外となります。

  •  本書を最初に知ったのはウィル・スミスの映画からだった。同じよう作品かと思いきやストーリーは全然違った。映画の方は最後の方が良くなかったが、小説版は凄く良かった。
     ロバートが犬に餌をやるシーンが悲しかった。ルースに初めて会ったシーンも、ロバートが3年ものあいだ孤独に暮らしてきたというのがよく分かった。過去の回想では妻を思いやる誠実で、毎朝ちゃんと髭を剃る男だったのに月日が経ち乱雑になってしまった。それもしょうがないことだし、その変化が凄く分かりやすい文章となっている。
     ルースたち、新人類の説明はハッキリとはされていないが、吸血鬼の中でも意識の強い人たちで新しいコミュニティを作っているということだろう。だが、そこまで意思疎通が出来て、なぜロバートを殺そうとするのかは分からない。自分たちだって邪魔な吸血鬼は殺しているわけなので、ロバートとやっていることは同じはずだ。
     まぁ、ロバートも新人類たちが家に来る時にコートマンたちを殺したところを見て、なんて酷いことをするんだと言っていた。自分だってコートマンを殺そうと探していたにも関わらずだ。
     つまり、新人類と旧人類であるロバートの間には言いようのない齟齬がある。生前の認識が吸血鬼になってもあるわけで、キリスト教の人々は吸血鬼になると十字架を怖がるが、それ以外の宗教の人々は怖がらない。これは精神的なものが影響しているので、言葉には出来ない壁が新人類と旧人類の間にあってもおかしくない。新人類から見たら、光の世界を自由に行き来して吸血鬼を狩るロバートは、噂になり恐怖が増幅して伝説になってもおかしくはない。これはロバートが見た、疫病が広まり始めたくらいにテントの中で行われていた宗教の熱気に近いかもしれない。
     疫病が広まり始めた時には吸血鬼はマイノリティだった。人々が滅んでロバートだけになった時には、人類がマイノリティになったのだ。吸血鬼たちにとっては、自分たちが寝ている間に殺しにくるロバートに恐怖しか感じていないだろう。
     最後の「この俺が、伝説の存在なのだ」という一文について。ロバートは自分の行いが何になるのかと常に自問していた。解説では、自分が伝説になることで、自分が何かしらのことを残せたという満足感があったのではないかと書いてあった。私には、死のなかから恐怖が出てきて伝説になり、永遠に終わることのない恐怖の輪廻が、自分の死後も世界を満たすことに悲しんだように見えた。

  • この巻では、地球上に「殺人ウィルス」が蔓延し、その中生き残った「主人公」が「ウィルス」によってゾンビになった相手との攻防。

  • 謎のウイルスによって人々がゾンビになった世界で、たった一人の男がいた。
    男の家族や友人を失った喪失感、孤独と発狂との精神的な闘い、そしてサバイバル生活の描写がとにかくリアル。自分だったら絶対もう諦めるなぁ・・・というぐらい悲しく、孤独。独学からウイルスへの知識を増やし、闘い続ける男の最後のセリフ「アイ・アム・レジェンド」に込められた思いを知った時、鳥肌が立ちました!

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著者プロフィール

Richard Matheson

「2006年 『不思議の森のアリス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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