神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 早川書房
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感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (495ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150503680

感想・レビュー・書評

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  • 何度か読まなければ私にはきちんとした理解ができない部分も
    多くあったように思う。

    さっと読んだ感じでは宗教における神話だけでなく、一般的なニーチェや
    ショーペンハウアーなども説明に使われていて、扱っているテーマから
    考えると、読みやすく分かりやすかった。
    神話学はあまり知らない分野ではあるものの、哲学者の対話集や海外の哲学を
    体系だてて扱う本と併読したこともあって、面白く読めた。
    日本を含めた東洋の哲学を扱う本と同時期に読むとより楽しめるかもしれない。

  • 世界の神話を比較して読み解く対談本。

    対談者がキリスト教徒ということもあり、必然的にキリスト教の話が多い。それでもこれだけ比較して話せる知識量がうらやましい。

    生まれた時から自分の信じる宗教が決まっているというのはどのようなものなのだろう。ニーチェは苦しんだあげくにそこから抜け出せず終わった。
    キリスト的世界観を捨てよ、という言葉にたどりつくまで、キャンベル氏にも様々な葛藤があったのだろうと感じた。

  • ジョーゼフ・キャンベル氏とビル・モイヤーズの神話に関する対談をまとめた一冊。
    キャンベル氏の「神」や「神話」についての歯切りの良い説明と、モイヤーズ氏の豊富な知識に基づく鋭い質問で、かなり説得力あって濃密な一冊。
    神話は決して万能ではないけど、社会に対して言葉で語れる範囲での教訓がある。地球上に数多ある「神」という存在を問い直す本。
    いろんな文化、いろんな宗教を支えている神話、その根底にあるメッセージには異なる大陸に存在するものでも不思議な類似性がある。そこに人類の根幹となるものがあるのか?モイヤーズ氏の持つ宗教観/神観念はとても明快で、『正しい』というものではないかもしれないけど、魅力的な言葉が多々ある。
    古事記と日本書紀を読まなきゃ、と思いました。

  • 結構なボリューム。
    対談形式で進むから読みやすさはある。
    カトリックの素養を持ったキャンベルではあるが、東方仏教やインド哲学への傾倒など、一元的な偏りには左右されない柔軟な思考の持ち主だと感じた。
    神話や宗教関連の書籍を読み漁る中でもキャンベルの名前は頻出してたが、こうして初巡り合わせできて嬉しい。
    主著である『千の顔を持つ英雄』も読みたい。

  • 過去の神話から学び、より高次の視点から人生を歩める資となる本
    内容についても対話形式で章立てのため読み進めやすい。
    ボリュームはそこそこある

  • 神話と対話を通して人間としての普遍性
    を追求する。

  • 対話からひもとく神話。
    神話は歴史であり科学である。人の知といえよう。
    人間の生き方を神話の意味解説から見抜いていく。

  • 人々を説得によって信仰に導こうとするからうまくいかない。むしろ自分自身の発見の輝きを示すべきだ。世界中で最善のものと認められ考えられている物事を知り、それをまた他者に知らせることによって真実のまた新鮮な思潮を創造すること。

    世界の神話に共通した要素を発見し、人間の心理の奥底には絶えず中心に近づきたい、つまり深い原理に近づきたいという要求があることをしてきすること.
    人生の意味の探求が必要なのではなく生きているという経験を求めること。

    スペシャリストとジェネラリスト
    自分自身の神話を見つけようと思ったらどういう社会に所属しているか知ることが大事。遊牧民族か、農耕民族か。
    日本はまだ内面的には自然と調和している。

    一神教グループは争いあって未来に対する自分たちの能力を自ら否定している。ー個々人を地域グループではなく惑星全体と同一視するような神話が必要。

    そういう神話の雛形はアメリカ。13の異なる植民国家がどの一刻の利益も無視住まいと努力しながらも共同利益のために協力して活動しようと決心していた。アメリカは単なる戦争でなく、理性を基礎として築かれた最初の国家。

    どの集団も皆、自分たちは選ばれた民だと思っている。彼らが自分たちにつけた名前が、大抵は<人間>を意味するものだというのはちょっと面白い。他の人々には変な名前をつけている。

    愛はたくさんの機能のうちの一つ。本来なら全体の秩序に奉仕すべき一つの機能がシステム全体を支配すると物事は狂ってしまう。

  •  人々はよく、われわれは生きることの意味を探っていると言いますが、人間がほんとうに探求しているのは、たぶん生命の意味ではありません。人間がほんとうに求めているのは、<いま生きているという経験>だと思います。
    純粋に物理的な次元における生活体験が、自己の最も内面的な存在ないし実体に共鳴をもたらすことによって、生きている無上の喜びを実感する、それを求めているのです。

     もし人生の途中でなにが案内標識の役をしているか、それがわからないければ自分で作り上げるしかありません。ところが、もし神話というテーマが自分をとらえた場合は、こうした伝統のあれこれのおかげで、言い換えれば、人生を豊かにし、活性化してくれるような深みのある情報のおかげで、もうそれを手放したくないと思うものです。
    (第一章 神話と現代の世界より)

     
     神話は詩です、隠喩ですよ。神話は究極の真理の一歩手前にあるとよく言われますが、うまい表現だと思います。究極のものは言葉にはできない、だから一歩手前なんです、究極は言葉を超えている。イメージを超えている。その生成の輪の、意識を取り囲む外輪を超えている。神話は精神をその外輪の外へと、知ることはできるがしかし語ることはできない世界へと、放り投げるのです。・・・そういう経験とともに、ということはその神秘とあなた自身の神秘を知りつつ人生を生きるのは、大事なことです。それは人生に新たな輝きを、調和を、大きさを、与えてくれる。神話的にものを考えることは、あなたがこの「涙の谷」において避けられない悲嘆や困苦と、折り合いをつけて生きるのを助けてくれます。あなたの人生のマイナスメンだとかマイナスの時期だと思われるもののなかに、プラスの価値を認めることを神話から学ぶのです。大きな問題は、あなたが自分の冒険に心からイエスといえるかどうかです。
    (第五章 英雄の冒険)


     神話とは、人間の夢。もっといえば、世界の夢である。人間の肉体という器は古来より全く変化していない。したがって、神話は原初的な人間の生のモチーフとして、決して色褪せるということが起こらないのである。
     

  • 神話の具体例と、そこから導かれるキャンベル師の人生訓の繰り返し。
    個人主義的な、あるひとつの時代の言説だなぁ、という印象。
    しかし大変前向きで励まされるところも多い。

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