これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (475ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150503765

感想・レビュー・書評

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  • 1年以上前から読み始めて、何故かラスト70ページでストップ。今日、やっと読了した。内容は難しい訳ではないが、いちいち自分だったらと考えるので読むことが停滞する。こういう類の本は一通り最後まで一気に読んだ方がいいと分かっているのにである。

    正義に対する三つの考え方
    第一は、正義は効用や福祉を最大化すること(最大多数の最大幸福)を意味する。第二は、正義は選択の自由の尊重を意味する。第三は、正義には美徳を滋養することと共通善について論理的に考えることが含まれる。
    著者が指示するのは第三の考え方だが、強引に推し進めることなく本書において、それぞれの具体例を挙げながら考察、検証を行っている。ともすれば、利益考量を重視しがちな現代社会に警鐘を与えるものである。

    できればもう一度読みたい本。

  • この本をを読んで、正義とは何か?
    普段意識せずに過ごしていましたが、改めて考えると難しい問い掛けです。
    何が正しいとはこの本には明確に明示されている部分がなく問いかける形でした。
    自分が正しいと思った選択でも他の何かが犠牲になったり、誰かが損をして、またほかの誰かは得をします。
    では、どこに正義があるのか?

  • こんなに考えながら読んだ本は初めてかも。
    様々な価値観がありとあらゆる形で発信され、気付かない内に、波に流される時代。
    しっかりと、自身の在り方を保ちたいですね。

  • 頭良くなりたいと思って読んだけど、なんか…一番最高なのはタイトルだった

  • わからん。
    答えが出ないのがつらい。
    うけいれいないと...。

  • つまんない。サンデルさんは延々と事例を取り上げるだけで核とした結論もなく話が終わっていた。なんでこんなもんが流行るんだろう?

  • (カントの道徳の概念によると、)自由に行動するというのは、ある目的を達成するための最善の手段を選ぶことではない。それは、目的そのものを目的そのもののために選択することだ。(177ページ)

    (アリストテレスにとって、)政治の目的は、効用を最大化することでもなければ、個人の利益を追求するための公平なルールを定めることでもなく、もっと崇高なものだ。人間の本質の表現であり、人間の能力を発揮する機会であり、善き生に欠かせない要素なのである。(315ページ)

    帰属には責任が伴う。もしも、自国の物語を現在まで引き継ぎ、それに伴う道徳的重荷を取り除く責任を認める気がないならば、国とその過去に本当に誇りを持つことはできない。(369ページ)

    正義にかなう社会は、ただ効用を最大化したり選択の自由を保証したりするだけでは、達成できない。正義にかなう社会を達成するためには、善き生の意味をわれわれがともに考え、避けられない不一致を受け入れられる公共の文化をつくりださなくてはならない。(407ページ)

    GNPはアメリカのすべてをわれわれに教えるが、アメリカ人であることを誇りに思う理由だけは、教えてくれない。(ロバート・F・ケネディ)(410ページ)

  • 非常に読みごたえがある一作だった。サンデルの考え方はあらかじめほかの本で知っていたが、彼の思想に偏らずリベラル的、保守的なさまざまな考え方を吟味し、最終的に自分の意見に着地させていたので、読者にも考える余地が与えられている。だからこそ、このボリュームになるのだ。

    また、カントやベンサム、アリストテレスなどの思想も学べるので(と、いうか彼らを説明しなければ倫理学は語れない)、まったく知識がない人でも読めるだろう。この本をきっかけに、友だちでも家族でもに対して「これから『正義』の話をしよう!」と、気軽に議論ができるようになれば筆者の望むところではないだろうか。

  • p.41「新たな状況に出会って、自分の判断と原則のあいだを行きつ戻りつし、たがいを参照しつつ判断や原則を修正する。この心の動き、つまり行動の世界なら理性の領域へ移り、そしてまた戻る動きのなかにこそ道徳についての考察が存在するのだ。( 中略)道徳をめぐる考察は孤独な作業ではなく、社会全体で取り組むべき試みなのである。」


    「正義とは何でしょう?みんなで話し合って…結論は難しいですね」という道徳の時間みたいなのを想像していたら全然違った。
    正義とは平等でも自由でも善でもない概念で、今まで混同されてきたものと注意深く分離して考えなければいけないものだった。かつ、社会に還元することを前提にしているため、理想論に終わってはいけない。必ず現実の問題と、その問題を構成する要素とをそれぞれ参照している。それが具体的でいて、かつ普遍的な問題を取り扱っていてよかった。
    何に重きを置き何を目指すか、というのは多岐にわたっており、時代や立場によって変わって来るのだと思った。

    功利主義、リバタリアン、コミュニタリアンの見解をそれぞれ紹介している。コミュニティの物語と文脈の話になると急に俗世的というか価値が混同されている気もしたけど、確かにどんなに立場を中立にしようとも現代の国家という枠組みからは誰しも抜けられないものだとも思う。
    AAの制度と理屈って何なのだろうと疑問だったのが初めてわかってよかった。でもその時代のその集団に属しているからその集団の価値観に沿えというのは受け身すぎではないでしょうか。

  • これからの正義の話をしよう

    政治哲学の本。
    ・フロリダ州ハリケーン便乗値上げ禁止法への論点:1幸福の最大化、自由の尊重、美徳の促進
    :幸福とは、社会的福利の非経済的な、面をも含むより包括的概念
    ・正義への3つのアプローチ:幸福、自由、美徳
    :ある社会が公平であるかどうかを問うことは、我々が大切にするものー収入や財産、義務や権利、権力や機会、職務や栄誉ーがどう配分されるかを問うこと。ふさわしいものがふさわしい人に与えられるかどうか。問題は、どうふさわしいかを判断すること
    ・自己所有権と奪われた状態:人間⇄奴隷、労働⇄強制労働、労働の成果(収入)⇄課税これは、時間を奪っていることに違いない
    ・カントのいう自由:他律的な意思決定、我々は目的を定めるものではなく、目的を達成するための道具にすぎない。⇄自律、自分が定めた法則に従って自律的に行動する→道徳的かどうかを知りたければ、動機を見よ
    ・目的は自明でなはく、論争の的。:大学の目的は学術的?市民として指導者のような人育成?政治の目的は?

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著者プロフィール

1953年、アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス生まれ。アメリカ合衆国の哲学者、政治学者、倫理学者。ハーバード大学教授。

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