ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ文庫 NF 410)
- 早川書房 (2014年6月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150504106
作品紹介・あらすじ
直感的「速い思考」と論理的「遅い思考」による人間の意思決定メカニズムを徹底解剖。
感想・レビュー・書評
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システム1とシステム2という脳の働き。
これを知れることが本書がもたらす最高のパラダイムシフトで最大の魅力。
自分が実験台になりながら、その認知を獲得できる所が実に面白い。
例えば、
顔をしかめて口を半開きにした女性vs 17×24
この問いでシステム1・システム2を体感できる。
上巻だけで長い一冊だったが、
脚注と牽引が15%を占めていたのは最後にひと笑い。それも含めて有益な一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2002年、ノーベル経済学賞受賞のダニエル・カーネマンによる大作。
前々からこの本の評判は聞いていたものの、
内容が重厚そうで中々チャレンジできなかったのですが、
学校の指定教科書になってしまったので、強制的に読む機会を得ました。
結果としては、大満足のとても面白い内容、
もっと早く読んでも良かったと思わせてくれる本でした。
内容の割には読みやすく(決して簡単で軽い本ではないですが)、
一度読み始めると次の展開が気になって仕方なくなってしまう本でした。
簡単に内容を紹介すると、著者は人が頭の中で思考するとき、
速い思考(「直観」のようなもの)と遅い思考(「熟考」のようなもの)の
2パターンがあると主張しています(主張というより、比喩を用いて説明しているという感じ)。
この2つはときに、人の決断・判断を誤らせることがあり、
どういったときに人は間違った決断・判断をしてしまうのかを
様々な心理学の実験や統計的な知識を用いて解説してくれます。
代表的なものが色々なところで言われている
ヒューリスティック・バイアスでしょう。
この本を読んで実践できれば、そういった間違いを減らす可能性が高まるでしょう。
(といっても、実践するのは結構難しい。。)
欲を言えば、彼の主張を脳科学の観点から補足できれば、
より魅力的な&知的好奇心を刺激される内容になったと思われます。
(誰か脳科学者の方に本の解説をしてもらいたいです。) -
直感や感覚の早い判断であるシステム1と、思考と論理の遅い判断であるシステム2。それぞれの効能やエラーを証明していく。人間が理解しておいた方が良い本。
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◆この本の一貫したテーマ
認知的錯覚。
直感的に信じてしまう認識の誤り。
◆全体としての感想
・正しい選択をしているようで、していない自分が絶対にいることを知った。
・自分が意思決定する際に、いかに自分を”俯瞰的”、”客観的”に見るかが、大切かということを学んだ。
・どんだけ実験したんだよ。もはや怖い。相当な年月を踏まないと完成しない本
◆学んだこと
①意思決定にはシステム1(早い思考)と2(遅い思考)が存在する。
システム2で熟考しても、色々なバイアスがかかり、正しく判断できない場合も。
例:バットとボール、感情ヒューリスティック、認知的容易性(クジ、白玉赤球)
②人間の記憶は、経験よりもよっぽど強い(2つの自己)
・コンサートのラスト音源が聞こえなくなる
③確実に得をするときは確実性を選び、確実に損をする時はリスクを負ってでも勝負。
ギャンブラーの特徴。実体験がありすぎて、印象に残りました。笑
◆どう使えそう?
人は普段から正しいと思っていても、間違った選択をしている時もあるんだよ。
それはこんな時に、こんな理由から生じるんだよ。
といった事実や現象を知っているだけでも、いい勉強になりました。
要は、自分をさらに俯瞰的、客観的に見る力が身に付く本かなと感じました。 -
人間は自分が思うほど、自分の意思決定について理解していない。プライミング効果、アンカリング効果、ハロー効果、バイアス、ヒューリスティクス等さまざまな影響を大いに受けて意思決定はなされている。
直感的予測は平均回帰を無視しており、バイアスがかかるので、必ず修正が必要だということは忘れずにいたいと思う。
基準率→直感的予測→平均回帰(基準率に寄せていく)
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人間の行動がいかに非合理的で環境からの影響を容易に受けてしまうのか、そして人間の思考がインスタントな因果関係に飛びつきやすく、統計を扱うのに向いていないかを示す名著中の名著。本書に書いてあるバイアスを全て回避することは難しいが自分の下した判断がいかに即時的で揺らぎやすいものかを知るだけでも価値のあることだろう。何度も読み返して、血肉化したい。
高度な専門的知識を持ってしても未来は不確実性が多すぎて、因果関係では到底説明がつかないことばかり。であるなら、統計の力に頼り、チェックリストを活用することによって、バイアスから少しでも解放される努力をした方が良い。
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資産運用等に携わる上で知っておかなければならない行動経済学
人にはシステム1とシステム2があり、
システム1の直感をシステム2で修正していくことも必要
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これまで心理学なんて何の役に立つのかと思ってきたが、本書の研究が心理学の範疇に入るのならば、これは有用だ。上巻のハイライトは、システム1には因果を説明せずにはいられない特性があり、筋が通ってさえいれば根拠の確からしさはどうでも良くなる、という発見にある。またシステム1は確率や統計を扱うことが苦手であり、本来因果関係のない偶発的な現象にも何かしらの理由をでっち上げてしまう。確かにその傾向は身に覚えがある。
一つ違和感を感じたのは、なんでも偶然で説明しようとすること。ここまで極端に直感を否定されると逆に達人の直感を信じたくなる。
下巻の内容が楽しみ。 -
あなたの意思はどのように決まるのか?
サブタイトルの通りの本だけれど、内容は直感に反するかもしれない。
思考を、無意識に一瞬のうちに行われる直感的なシステム1、意識的に行われる論理的に検討するシステム2の2つにわけ、それぞれの特徴がまずは述べられる。
意思決定の際に使われるのは、本書でいうシステム2ではないかと思っていたが、実際には、システム1が主役で、システム2は省エネ主義なので、特に問題ないと思ったら、システム1の結論をそのまま使うこともあれば、そもそもの判断がシステム1による思考を出発点としているらしい。
さらに、システム1には様々なバイアスがあり、それについても詳しく解説されている。
自分自身のデバイアスのために、定期的に読みたい本であるし、
また、人間の意思決定のクセを知るのにとてもよい本だと思う。