パリは燃えているか?〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫 NF 456)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150504564

作品紹介・あらすじ

沢木耕太郎氏推薦! パリ解放の真実を描いたノンフィクションの傑作。解説/柳田邦男

感想・レビュー・書評

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  • 凄い!対ドイツだけでなく、連合軍との折衝や自国の対共産党を苦慮するドゴール。一市民の日常や一兵士のパリに向けての一刻一刻が手に取るように描かれている。167ページのカブ機から見るサクレクールとアンヴァリッドの描写には涙が出た。

  • 上巻の感想と同じ。

  • 産経新聞2022102掲載
    沢木耕太郎推薦

  • 第二次世界大戦末期、ドイツ占領下のパリがどのように開放されたかを詳細な取材をもとにして書かれた図書。
    パリ解放がついに実現するが、やはりパリ市民によるドイツ協力者やドイツ兵へのリンチがあったよう。これまでにドイツ兵がパリ市民にしていたとはいえ、大衆とは恐ろしい…。
    パリ解放後のド・ゴールと共産党の政治的な争いもはじめて知る。
    とはいえ解説にあるように、大戦中多くの都市が廃墟となるなか、パリが廃墟とならなかった奇跡は、一人一人のその時々の行動が大きく影響したことを思うと感慨深い。

  • Dデイ、ノルマンディ上陸作戦は成功し、連合軍は着実にドイツに向かっていた。そのすぐ先には4年間、ナチスに占領されているフランス、パリがあった。亡命していたフランスの指導者 シャルル・ドゴールは連合軍のパリ解放と同時に、共産勢力に先んじてフランスの主導権を得るために奔走する。
    しかし、パリを今解放すると、パリ市民への支援物資の輸送等だけで連合軍への負担はとてつもないものになる。アイゼンハワーはフランスを迂回して進行する作戦を選ぶ。
    一方、ヒトラーは焦燥していた。ポーランドの首都ワルシャワでは、レジスタンスが一斉蜂起したばかり。自力に勝るナチスドイツはレジスタンス鎮圧後、ワルシャワ市街を徹底的に破壊して、廃墟にした。
    ヒトラーからパリ防衛の最高責任者に任命されたコルティッツ大将は、連合軍にパリを渡してはならない。ドイツ軍が撤退する時にはパリは廃墟となっていなければならないとヒトラーから命ぜられる。パリ市街の橋や、建物には破壊のための大量の爆薬が密かに仕掛け始められた。
    果たして、パリは解放されるのか?

    単なる歴史の流れだけではなく、歴史上は無名の戦士となる多くの兵士や市民への取材なども使いながら、パリ解放に至るドラマ、群像劇を描く。

  • 映画や、話で「パリは、燃えているか」のセリフは聞いたことも読んだこともありますが、その元々となったエピソードを読むのは初めて。なかなか切迫した事情だったんですね。まさに紙一重。パリが破壊されなくて良かったよ。

  • 著者の本職は雑誌記者。60年代当時存命だった関係者へのインタビューなどを元に、第二次大戦でのターニングポイントとなった戦いの一つである「パリ開放」を活写して、ピューリッツァー賞を獲ったノンフィク。終盤の展開にややしつこさを感じたものの、著者の意図もわかるので不快感はない。一つ一つのエピソードが印象深いものばかりで、最後まで引き込まれた。

  • 原書名:IS PARIS BURNING?

    第2部 闘争(承前)
    第3部 解放

    著者:ラリー・コリンズ(Collins, Larry, 1928-2005、アメリカ・コネチカット州、ジャーナリスト)、ドミニク・ラピエール(Lapierre, Dominique, 1931-、フランス、ジャーナリスト)
    訳者:志摩隆(1931-、翻訳家)

  • 「パリ解放」。第一報は誤報だった。しかし、4年に渡るドイツ軍の
    占領を耐え忍んで来たパリ市民は歓喜した。

    この誤報は既成事実となる。ドイツ軍に必死の抵抗を続けるフラ
    ンス国内軍からの必死の訴えに、ドイツ本国への侵攻を優先して
    戦争の終結を急いだ連合国軍は作戦を変更し、ノルマンディー
    上陸作戦で生き延びた一部の部隊をパリへと急がせた。

    その場に居合わせた人々の体験は歴史という大きな流れの中で
    は表に現れることはない。だが、本書は上巻共々に無名の人々に
    焦点を当てならがら、大きな流れを追うという手法が素晴らしい。

    本来、ヨーロッパ戦線の主役であるはずのドゴールやアイゼンハ
    ワー、ヒトラーでさえ脇役に過ぎないのだと思う。歴史の本当の
    主役は、本書が綿密に描いた市井の人々や前線の兵士たちだ。

    アメリカがこれほどフランスに歓迎されたことは後にも先にもなった
    だろう。自分たちを解放する為にパリ入城を果たしたアメリカ軍兵士
    たちを、パリ市民は大歓迎する。

    きっと古い戦争を闘った人なのだろう。持てるだけの勲章をすべて
    つけた老人は、大粒の涙をぬぐおうともせずに連合国軍の兵士た
    ちを眺めていた。

    癌を患い寝たきりの老婦人は、パリを救ってくれたアメリカ兵に会い
    たいと自分の寝室にひとりのアメリカ兵を招き入れる。「これがあな
    たをこれからの戦争のあいだ守ってくれますよ」。枕元のテーブルに
    置かれた十字架を、老婦人は兵士に差し出した。明日もまた来ると
    約束した兵士が、翌日、その家を訪ねた時に既に老婦人は亡くなっ
    ていた。

    4年前、ヴィシー政権の誕生と共にフランスを追放されたドゴールの
    呼びかけに応えて、自由フランスに参加する為に家族にも知らせず
    に出奔した青年たちがいた。パリ解放と共に家族との再会を果たし
    た者がいる一方で、パリ目前で命を落とした者もいた。

    4年間のドイツ占領時代にドイツ軍に協力した女性たちが丸刈りに
    されたのは多くの写真が残されているのでも有名だろう。

    そして、フランス内部ではパリ解放の一方で早くもドゴール派と共産
    主義者との対立が表面化する。ドゴールが、再度歴史の主役となる
    のはパリ解放後なのだと思う。

    敵の手に渡るくらいならパリを殲滅せよ。ヒトラーの命令であった。
    だが、この美しい街をワルシャワ同様の廃墟にすることに躊躇した
    ドイツ軍パリ司令官コルティッツの緩やかなサボタージュによって、
    パリを代表する建造物は破壊を免れた。私たちが今でもノートル
    ダム寺院や凱旋門、エッフェル塔が見られるのはパリではドイツ軍
    による致命的な破壊工作が決行されなかったことによる。

    だが、パリ陥落の報を受けてもヒトラーは自分が下した命令が実行
    されていることを信じていた。例えパリが陥落しても連合国軍が手
    にするのは廃墟となったパリでなくてはならない。

    「パリは燃えているのか?」

    ヒトラーは側近に問うた。確かにパリは燃えていた。ただし、それは
    ヒトラーが下した破壊命令によっての炎で燃えていたのではない。

    ドイツ軍の旗に変わって再び掲げられた三色旗が翻り、ラ・マルセイ
    エーズが響き渡るパリは、解放の歓喜で燃えていたいのだ

  • そのうち読もうと後回しにしていた1944年のパリ解放を描いたノンフィクションを読了。スカートを翻し、自由のために火炎瓶でドイツ戦車と戦い散っていくパリっ子の姿が印象的すぎて。

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