紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている: 再生・日本製紙石巻工場 (ハヤカワ文庫 NF 486)
- 早川書房 (2017年2月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150504861
感想・レビュー・書評
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本書に挿入されている写真を見て、この工場が半年で復旧することができると考えられる人が、世の中に何人いるだろう。工場で働く経験のある私には不可能と言い切ることができる。機械1台復旧するには、作業員が一つ一つ手作業で問題を解決していくしかない。部品を取り換え、わずかな嵌め合いを調整し、全体の動きを調和させる。交換する部品がなければどうする、加工するツールがなければどうする、そもそも電気がなければどうするんだ・・・・。
でも彼らは復旧させた。工場のがれきを片付けると津波で亡くなった遺体が出てくることもあったと書かれている。ただ、ただ、想像を絶する。復旧に取り組み、結果を出していく人たちに敬意を払うと同時に、製造業の一端を担う自らの仕事にも少し誇りを覚えることができた・・・かな・・・。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読んだらもともと好きだった本がもっも大切な存在になる。
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東日本大震災で壊滅的打撃を受けた製紙工場が、みんなの努力で奇跡的復活を果たすまでのノンフィクション。書き方のスタイルがオーソドックスなので、安心して読めました。誰かスーパーヒーローが手品みたいなことをして一気に復活するわけではなく、みんなが歯を食いしばりながらひとつひとつ復活までの道のりを歩んでいったんだなのがよくわかりました。池上彰が解説を書いているんですが、かっこつけすぎて鼻につきました。この解説は余計です。あと、この本を読んだのをきっかけに、本棚の奥から村上春樹の『多崎つくる』をひっぱりだしてきました。そのうち、再読しようと思います。【2023年9月16日読了】
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考えてみれば、テレビのドキュメンタリーをよく見るし、自伝的な作品も好んで読んでいた。
しかし、ノンフィクションであることを意識して「作品」を読んだのは初めてだったかもしれない。
ほぼ時系列に書かれていながら、エピソードの選択や配列が優れていて、様々な感動を体験できた
震災の記述では、ページを閉じてしまうこともあったが、最後まで読むことで、心に納めることが出来たと思う。人に贈りたい本だ。 -
震災の記憶は少しづつ風化してゆく。人間として普通に生活していくためには、忘却も必要なことではあるが、時には、しっかりと向き合い思い出すことも必要である。そんな時に、この本はしっかりと思い出させてくれる良書です。
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東日本大震災という未曾有の災害に直面した人々が、日本の紙供給を途切れさせてはいけないという使命と自分たちの希望を自分たちで作っていく熱さに感動させられました。
また、紙を作る工程がいかに繊細で高い技術に支えられているかを知ることができた本でもあります。 -
震災当時勤めていた会社が製造業で、同じ様に瓦礫や車が倉庫内に突き刺さり、ご遺体などもあった。まさに共感する場面が続いて、泣きながら読んだ。日本製紙の人々に感動した。
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この本を通じて、自然災害の恐ろしさと自分の手元にある本がどのような過程を得てあるのかを知ることができた。
紙がどこからきてるかなんて考えたことなかったけど、多くの人の努力によって作られてるんだな。
最近は本を読むことが習慣になり、出版業界が明るくなってほしいと思う。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/768068