誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち (ハヤカワ文庫 NF)
- 早川書房 (2018年3月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150505189
感想・レビュー・書評
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mp3の開発にSTAXのヘッドホンが使われていたとは…Vevoを立ち上げたのが過去の大物ダグ・モリスなのも熱い。
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ウォークマンなどで一世を風靡したmp3の話がメイン
(妨害や利権により)日の目を浴びなかった技術が、奇しくも海賊版の流行によりメインストリームの技術として採用されるようになる。
今後の音楽業界や、トレント、今の音楽ストリーミングの時代の裏側や、仕組みがよくわかる本。
ITで働いている人は読むと面白いかも!
昨今のadobeやMicrosoftでも主流の「サブスク」にはこんな理由があるのかも -
面白かったーーーーまさか、ストリーミングの技術が90年代、もっと前から考えられていたとは!!
レコード業界も知ってて、脅威にならないと思っていたんだね -
技術的な話はチンプンカンプンで一度挫折しかけたが、やっぱりどうしても気になって我慢して読んだところ、何となく何が起きていたのかわかったような気がする。どの程度理解できているかは自信ないけど。
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MP3技術による音楽産業の変革というものを
現象 → 構造 →(本質?) と、流れが捉えやすく描写されていたように感じた。登場人物全員が革命の一端を担っている。面白い。
当時莫大な資金と影響力を持っていたレコード会社も、民衆の「音楽はタダで聴きたい」という執念と技術の前に抗えずに衰退するのは痛快。正攻法じゃなかったとしても、今の音楽環境を作ったのはハッカーなんだな。
そこで真っ先に正攻法でitunes作ったジョブスはやっぱ最強。まじ官軍。
一つの社会現象を追ったケーススタディとして大変興味深かった。オヌヌメ。 -
評価大の書籍ながら、評価が難しいなあ。
でも結局、当時の主要メンバーは彼らなんだろう。真相は実は結局分からない。
本書の話以外でも、例えば日本でもWinnyが問題になったり、海外でもいくつか共有ソフトが流行ったし。Adobeのソフトコピーも色んな手でパスワードが作れたりとか。
音楽アルバムは多分彼らがぶっ潰したんだろう。
けど当時出回ってたブートレグのライブ音源とかはどこからやって来たんだろうね。今や貴重だなあ。どこにいったろうか。 -
mp3、具体的には効率的な音声圧縮技術の登場と、インターネットによる拡散と音楽産業の凋落について、その当事者とともに取り上げた本。
IRCやナップスター、LAMEなど、私にとっては懐かしいキーワードだった。一方で、アーティストやアルバム名はいまいちピンとこない。
著作権を背景にした金取合戦が嫌いな私にしてみれば、マーケットを操作し、書籍並みの価格調整を憚らず金儲けに邁進していた音楽業界が、コピー競争や泥棒によって凋落していく姿は痛快劇に映る。まるでねずみ小僧ではないか。
ネットに流れた音楽データは、海賊版として駆逐されてしまっているのは仕方がない。残念なのは、これらアーカイブの枯渇である。この本を読んで、音楽はアーカイブがほとんどないことに気付いた。ネット上にタダで流れている情報は雑多で、本性がよくわからないものが多く、確かで整理されているものは金を払って手に入れるしかないものだが、音楽は金を払ってすら手に入らないのだ。
私は、音楽は時間芸術であり、時間芸術は生活を通り過ぎるものだと思っている。通り過ぎてしまったからこそ、もう一度出逢いたいと強く思うものである。だからこそ、CDとして売り出された曲だけでなく、ライブ、カバー曲、果てはラジオパーソナリティーの鼻歌に至るまでのアーカイブが求められ、作られたのではなかろうか。そのような活動は、商業ベースではありえない。通り過ぎた音楽を取り戻したい感情が精力的なアマチュアリズムを生み、「シーン」を形作ったのではないだろうか。 -
音響心理学
mp3の技術は、MPEGやフィリップスによって潰されそうとしていた(政治...!) -
田舎の工場で発売前のCDを盗んでいた労働者、mp3を発明した技術者、業界を牛耳る大手レーベルのCEO…。音楽産業を没落させた張本人たちの強欲と悪知恵、才能と友情に迫った群像ノンフィクション。
最初のうちは訳分からなかったけどだんだん面白くなってきた。 -
マクルーハンのメディア論に書いてあったこと、そのまんまだと思いました。
「相互交換の手段、人間の相互交流の手段は、すべて加速によって改良をみる。すると、こんどは、速度が形態と構造の問題を強調する。古い編成はこのような速度を考慮してなされてはいなかったから、人々が古い身体的形態を新しいより速い運動に適応させようとするとき、自身の生命価値が流出しているように感じ始める。」