愛と怒りの行動経済学:賢い人は感情で決める (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 早川書房 (2019年1月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150505356
作品紹介・あらすじ
「感情は理性的な意思決定の邪魔をする」というこれまでの常識を覆し、感情のメリットや効率的側面を実例を示しながら解き明かす
感想・レビュー・書評
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『怒りや共感を覚えるのは他人に対してだが、後悔を覚えるのは自分のかかわった行動や状況に対して』
『感情的反応の速さが慎重な熟慮にまさる場面は多い
……草むらを這うヘビを見てとっさにあとずさるのは、状況を認識して分析するよりもはるかに合理的』
『人々は公正でない行動に対して文字どおりむかつきを覚える。それでも理性で自分を納得させ、そのような行動を受け入れたいと思う人がいるだろうか』
『「よい」均衡では、人々は互いを信頼し、他人に対して協力的で確かな行動をとる…それがさらに信頼を支える。
「悪い」均衡では、人々は互いを信頼せず、信頼の欠如が当然視され、信頼に足る行動や確かな行動をとる必要がまったくなくなる。
どちらの均衡が経済成長をもたらすかはたやすく想像できる』
『チームの一員として働く従業員は、自分が怠けたせいで自分がボーナスをもらえないことよりも、自分が怠けたせいで友人たちがもらえるはずのボーナスをもらえなかったらどう見られるか、ということのほうを気にかける』
行動経済学では、愛や怒り、ねたみという感情は予測可能だが不合理なものとされてきた。しかしこの見方は悲観的過ぎた。感情は実は合理的なものであり、さまざまな利益をもたらす。
ゲーム理論と進化論とに注目し、賢い感情の実例をさまざまな実験と自らのコミュニティーでの出来事に照らし解き明かす。
賢い人は感情で決める。 -
感情<論理を説く論調は多いが、この本は、感情を合理的決断の後押しにしようと前向きに捉えている本。囚人のジレンマや繰り返しゲームなど、ゲーム理論でアプローチをしながらも、感情と論理の相乗効果を探求する面白い本。詳細は下記。
https://note.com/t06901ky/n/n86696648005d -
行動経済学とカテゴリーを初めて知ったが
実験を重ねつつ、一見、不合理な
人間の意思決定の謎に迫る。
感情による判断が必ずしも
否定されるモノではないという
意外な事実など、物事の見方に
別の角度を提供してくれる。