- Amazon.co.jp ・本 (2ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150700096
感想・レビュー・書評
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百万長者ゴードン・クロードの遺産をあてに暮らしていけるはずだったクロード家の親族たち。ところが、ゴードンが思いがけず若い未亡人ロザリーンと結婚し、遺言書を書き換えることなく爆撃で亡くなってしまったため、莫大な遺産はすべてロザリーンのものとなってしまう。しかも、ロザリーンには危険な香りを漂わせる兄デイヴィッドがついてきたのだ。
ゴードンの姪、リンは、いつしかデイヴィッドに惹かれていく。そんな折、謎の人物から亡くなったはずのロザリーンの前夫が実は生きている、という情報がもたらされ、直後に男は頭を殴られて殺されてしまう。犯人は一体誰なのか、リンとデイヴィッドはどうなるのか。
私はクリスティの本を読んだ後、霜月蒼氏の「アガサ・クリスティー完全攻略」の評価と自分の評価を比較するのを楽しみにしている。私はクリスティに甘いので、たいていは霜月氏の評価より自分の評価の方が良いのだが、この本だけは評価が逆転した。理由は主人公のリンに全然共感できないからである。
私から見て、リンは自身も経済的に自立していないのに、遺産を巡って右往左往する親族をさげすみ過ぎである。女性の自立が大変な時代だとはいえ、少なくとも同時期に描かれた「ホロー荘の殺人」のミッジは金持ちの親族に頼らず洋服の販売員をして生計を立てていたので、リンだってやろうと思えばできるはずである。
また、この話はリンが小さいころからの許嫁ローリイとデイヴィッドとの間で揺れ動く「よろめきメロドラマ」がミステリと同時並行で描かれるが、リンがあまりにもローリイに冷たいので、ローリイに肩入れしたくなる。
この話はクリスティにしては珍しく戦争の影響を具体的に描いている。リンは海軍夫人従軍部隊に参加していたので、戦後の単調な生活に飽き飽きしているのである。クリスティは戦後の価値観の変化をリンを通して描こうとしたのかもしれないが、リンの気持ちに共感するには私は年を取り過ぎているのかもしれない。
私の中ではいまいちだった本作だが、クリスティは再読してから評価すべし、と思っているので、最終的な評価は再読後に決めようと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イロイロ意外な最後で面白かったけど、最後の最後に抜け目ないヒロインがウケた。
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財産をめぐる骨肉の争いの中での殺人事件。のはずなのだが、なぜか誰が誰だかわからなくなってしまった。ちゃんとわかったのは真犯人の人物。真相は意外だったが、解決部分を読んでも人物がごっちゃになってしまった。
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名探偵ポワロシリーズの推理小説。明らかに犯人っぽい人に疑いが集中するが、実は無実なのではないか、と思っていたら……と、やや混み入ったお話。全体に遺産にたかる人たちの発想が現代的な感覚とは少しズレていてイラつくかも? あと、テレビドラマ版とはかなり設定など違います。ドラマ版の方がドロドロした感じですかね。
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内容は決して劇的ではないけれど、十分楽しんだ。ただし、リンの恋路はどうでもいい。読んでいるうちに大きな仕組みはわかる。スリルはないが、サスペンス。
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エルキュール・ポアロシリーズです。
この話はとても面白いのでシリーズの中でも特に好きな話です^^
何が面白いかというと、登場人物たちの描写が面白い、というか興味深い。ポアロの推理も素晴らしいのですけど、登場人物たちがそれぞれの状況に在ってどのように行動しているかを読んでいくのが楽しいです。
アガサ・クリスティの小説は、登場人物がとてもいきいきしているというか、生活感が漂っている感じがして読みやすいと思います。 -
1948年発表
原題:Taken at the Flood