謎のクィン氏 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-39 クリスティー短編集 5)
- 早川書房 (1978年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150700393
感想・レビュー・書評
-
友人のススメで手に取る。
ノンシリーズでもない短編集は、パーカーパイン以来約20年ぶりに読んだ。
なんというか、かなり不思議な味の作品群。
クイン氏は人間じゃなさそう。
浅黒い顔、痩せた長身、という外見。日本人の感覚からいくと、色白のほうがミステリアスだけどね。
読んでいて思い出したのは、マンガ「あやつり左近」笑。
人形の口から喋らせることで冷静になる主人公が推理する、まるでクイン氏の示唆を受けて説明をするサタースウェイト氏だなあと思った。
サタースウェイトの生活ぶりが優雅でいい。リヴィエラとか南仏やエジプトやいろいろお出かけして、theシーズンにはオペラに通って。。。
バーティ&ジーヴスみたい。
約100年前の英国上流階級のみなさん、羨ましいなあ。
印象に残ったのは、闇の声、死んだ道化役者、空のしるし、窓ガラスにうつる影など。
恋愛がメインだけど、どの話も暗い。死の影に満ちている。モームのよう、と友人からは評されていたけど、シニカルなユーモアはたしかに共通している。
印象的なセリフ
サタースウェイトの
私は常に明日何が起こるか知りたいんです。
クインの
人間にとって、死ぬことは最大の不幸でしょうか?
など。
元になったクリスマスのパントマイムがどんな雰囲気なのか、見てみたい。
クリスティにしては珍しく映像映えしなさそうな本作。
ラジオドラマか、むしろ朗読劇にすると面白いかも。
解説をみて、愛の探偵たち、うちにあるのに全部は読んでいなかったことを思い出した。
サタースウェイトやクインが出る短編があるそうで、また読まなくては。
三幕の殺人などにも出ていたんだね。。。忘れてしまった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
やや短編ゆえの後味の悪さは気になるものの
(クリスティは長編のほうが断然出来はいいです)
名探偵(?)クィン氏の活躍は目を見張るものがあります。
どの作品も華麗なので
甲乙つけがたいです。
でもお勧めは最後かな。
ミステリー?とはいいたくなりますが
どこか深い謎があって面白いです。 -
ハーリ・クィンもの。クィンものとしては唯一の短編集で、この短編集にほとんどが収録されている。