謎のクィン氏 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-39 クリスティー短編集 5)

  • 早川書房
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150700393

感想・レビュー・書評

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  • 友人のススメで手に取る。
    ノンシリーズでもない短編集は、パーカーパイン以来約20年ぶりに読んだ。
    なんというか、かなり不思議な味の作品群。
    クイン氏は人間じゃなさそう。
    浅黒い顔、痩せた長身、という外見。日本人の感覚からいくと、色白のほうがミステリアスだけどね。

    読んでいて思い出したのは、マンガ「あやつり左近」笑。
    人形の口から喋らせることで冷静になる主人公が推理する、まるでクイン氏の示唆を受けて説明をするサタースウェイト氏だなあと思った。

    サタースウェイトの生活ぶりが優雅でいい。リヴィエラとか南仏やエジプトやいろいろお出かけして、theシーズンにはオペラに通って。。。
    バーティ&ジーヴスみたい。
    約100年前の英国上流階級のみなさん、羨ましいなあ。

    印象に残ったのは、闇の声、死んだ道化役者、空のしるし、窓ガラスにうつる影など。
    恋愛がメインだけど、どの話も暗い。死の影に満ちている。モームのよう、と友人からは評されていたけど、シニカルなユーモアはたしかに共通している。

    印象的なセリフ
    サタースウェイトの
    私は常に明日何が起こるか知りたいんです。

    クインの
    人間にとって、死ぬことは最大の不幸でしょうか?

    など。
    元になったクリスマスのパントマイムがどんな雰囲気なのか、見てみたい。
    クリスティにしては珍しく映像映えしなさそうな本作。
    ラジオドラマか、むしろ朗読劇にすると面白いかも。

    解説をみて、愛の探偵たち、うちにあるのに全部は読んでいなかったことを思い出した。
    サタースウェイトやクインが出る短編があるそうで、また読まなくては。
    三幕の殺人などにも出ていたんだね。。。忘れてしまった。

  • この話の探偵役は、クィン氏でなくサタースウェイト氏の方では。

    短編全体を通して、神出鬼没な「謎の」クィン氏は推理をしていません。
    老人のサタースウェイト氏が語る事件のあらましを聞いているだけ。

    ところが不思議と、聞いてもらっていくと頭の中で解決していく。
    筋道がつく、というのでしょうか。エンデの「モモ」もこんな能力だったかな。

    ラストに向かうにつれ、クィン氏がただの謎めいた人でなく もっと不気味な雰囲気を持っていることに気づかされるのも面白い。

  • やや短編ゆえの後味の悪さは気になるものの
    (クリスティは長編のほうが断然出来はいいです)
    名探偵(?)クィン氏の活躍は目を見張るものがあります。

    どの作品も華麗なので
    甲乙つけがたいです。
    でもお勧めは最後かな。
    ミステリー?とはいいたくなりますが
    どこか深い謎があって面白いです。

  • ハーリ・クィンもの。クィンものとしては唯一の短編集で、この短編集にほとんどが収録されている。

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