- Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150700423
感想・レビュー・書評
-
「アガサ・クリスティ」の冒険ミステリー『NかMか(原題:N or M?)』を読みました。
『終りなき夜に生れつく』、『なぜ、エヴァンスに頼まなかったのか?』に続き「アガサ・クリスティ」作品です。
-----story-------------
情報部からナチの大物スパイ“NとM”の正体を秘密裡に探るという任務を帯びた「トミー」は、妻の「タペンス」には内緒で任地へと赴いた。
だが、「タペンス」とて一筋縄でいく女ではない。
騙されたふりをして先回り。
かくして二人は、大規模なナチ・スパイ網のまっただなかへと飛びこむことに…スリル満点の冒険ミステリ。
-----------------------
1941年に発表された「トミー」と「タペンス」シリーズの3作目となる作品、、、
『なぜ、エヴァンスに頼まなかったのか?』を読んで、「ボビイ」と「フランキー」のコンビが素人探偵として活躍する姿が、おしどり探偵コンビ「トミー」と「タペンス」の姿と重なり、久しぶりに「トミー」と「タペンス」シリーズを読みたくなり、本書を選びました。
「トミー」と「タペンス」シリーズは、5年前に読んだ『親指のうずき』以来ですね。
ナチスドイツの脅威が強く感じられる時代、国のために役立ちたいと考えて「トミー」と「タペンス」のところに軍需相に勤めているという「グラント氏」が訪ねてくる、、、
「タペンス」が外出したタイミングで、「グラント氏」は「トミー」に対し、「タペンス」にも極秘にという条件付きで、ナチスドイツの大物スパイ(男女二人)とされる“NとM”の正体を突き止めるるための任務を言い渡す… ところが、「タペンス」は外出したふりをして、そのことを聞いており、変名の「ブレンキンソップ」を名乗り、「トミー」の任地である下宿屋「無憂荘」に先回りしていた。
「トミー」は驚くが、すぐに二人で協力して任務を遂行することにして、夫婦であることを悟られぬよう、それぞれ「男漁りをする未亡人」と「その餌食となるかわいそうな男」を演じることとにした、、、
いやぁ、巧い… 序盤から物語に引き込まれる展開でしたね。
二人は「無憂荘」の女主人とその娘、個性的な宿泊客一人ひとりの動向を探り、あの手この手で容疑者を探し出そうとしますが、なかなかスパイをみつけ当てることができません、、、
そんな中、「タペンス(ブレンキンソップ)」の手紙(軍の秘密が書かれている息子からの手紙という罠なんですが…)が部屋に忍び込んだ何者かに見られたり、「シーラ・ペレナ」と懇意にしていたドイツからの亡命者「カール・フォン・ダイニム」が逮捕されたり、「無憂荘」の周辺に謎の外国人女性が現れ、その女性が「スプロット夫人」の娘「ベティ」を誘拐し、大掛かりな捜索劇の末に「スプロット夫人」が誘拐犯を殺害(銃殺)したり… と複数の事件が起こり、そして「トミー」が偶然から「密輸団の巣窟」に住む「ヘイドック」の悪事を知ってしまい軟禁されてしまいます。
このあたりの中盤から終盤にかけては、どんどん先を読みたくなるようなスリリングな展開、、、
「トミー」が行方不明となり心配しつつも「タペンス」は新たな任務として、ナチスドイツの女スパイに成りすまし、スパイのアジトに乗り込むが、そこには「タペンス」の変装を見抜いた「ヘイドック」が待ち受けていました… そこから、クライマックスへの怒涛の展開は面白かったですねぇ。
もしや… とは思っていましたが、「無憂荘」の宿泊客のうち、最もスパイらしくない女性が大悪人でしたね、、、
狙撃の腕や子どもを連れてカモフラージュしているところが怪しかったんだよなぁ。
中年夫婦「トミー」と「タペンス」の冒険劇… それを全く知らず、二人が退屈な生活を送っていると信じ込んでいる、双子の息子と娘も可愛いもんですね。
『親指のうずき』と同様に、、、
「タペンス」直観力と行動力には本当に脱帽し、「アルバート」が目立たないところでイイ味を出していたのが印象に残りました。
以下、主な登場人物です。
「トミー・ベレズフォード」
主人公である探偵会社の経営者。
変名で「無憂荘」に来ていた。
「タペンス・ベレズフォード」
トミーの妻で、変名で「無憂荘」に来ていた。
子どもたちにはおばのグレーシーの家に訪れていると知らせたが…。
「デリク・べレズフォード」
トミーとタペンスの息子。
「デボラ・ベレズフォード」
デリクの双子の妹。
「アルバート」
パブの主人
≪「無憂荘」の関係者≫
「ペレナ夫人」
「無憂荘」の女主人。
「シーラ・ペレナ」
ペレナ夫人の娘。
「カール・フォン・ダイニム」
ドイツからの亡命者である英国の科学研究所の職員で、「無憂荘」の客。
「スプロット夫人」
「無憂荘」の客。
「ベティ・スプロット」
スプロット夫人の娘である幼女で、タペンスになついている。
また、マザー・グースの絵本が大好きでその中でも「があがあがちょうさん(英語版)」がお気に入り。
「オルーアク夫人」
「無憂荘」の客。小山のようと喩えられる大柄な老婦人。
「ケイリー夫妻」
「無憂荘」の客。
「ヘイドック」
海軍中佐。
「ブレッチリー少佐」
「無憂荘」の客。
「ブレンキンソップ婦人」
「無憂荘」の客。タペンスの変名。
その他、リーハンプトンの住民など複数の人間が登場する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
トミー&タペンス。1940年春、二人にはデリクとデボラの男女の双子がいる。デリクは戦線に、デボラは情報機関で働いている。トミーは46歳になっており、タペンスともども戦争従事には年を取りすぎると言われて腐っている。そんな時タペンスのかつての上官の友人のグラントから、ドイツのスパイ、NかMがイギリス南部のリーハンプトンの「無憂荘」にいるらしいのでつかまえるように、という密命を受ける。
トミーのみの指令だったが、タペンスも先んじて無憂荘に入り込み二人でスパイ捜しが始まる。屋敷の滞在者のなかから本命を探し出す、というお屋敷ものの部類とみることができる。 ヨーロッパ系はみかけは似ているのでスパイが入りやすいのかとも思った。日本でイギリスのスパイなんていったら違いがありすぎてどうか。
物語はスピーディーに進み、トミーとタペンスの仲の良さが際立つ。タペンスは夫2人を見送った3人の子持ち、という設定。夫トミーもあきれ「多すぎる、そのうちきっと細かいところでくいちがいができて、化けの皮がはがれるぜ」とくれば「ただいま3人目の夫を物色中であなたにターゲットを定める設定にするわ」とくる。
1941年発表だが、イギリスにとってドイツは二度にわたる戦争相手。はっきりとヒトラー非難のセリフを言わせている。
1941発表
1978.12.15刊 1982.11.30第9刷 図書館 深町真理子訳 -
トミー&タペンス3作目。原題も"M OR N?"で、てっきり手掛かりの文字が"M"か"N"かがキーになるのかと思ったら、全然違った。
-
トミーとタペンス。スパイもの。
中学生の頃読んで、まさか! な犯人にショックを。
カモフラージュの方法が衝撃的、というか、
『ABC』とは別の意味で、あんまりだよ……。 -
トミー&タペンスシリーズの三作目。
五作品しかないのに、いきなり三番目を読んでしまってちょっとシマッタ!という感じ。
前半、事件は特に起こらずスパイ探し…ところが後半、おお!という展開。誰もさすがについてゆけませんわ…
アガサクリスティーのエンターテイメント性を如実に現した一作。ドタバタ感は拭えませんが、やられた!としみじみ。 -
ハラハラ、ドキドキのスパイもの。
もちろんこの登場人物だと
必ず一回強烈な危機が訪れます。
今回はトミーがその危機の餌食に…
しかしNのほうはすぐにわかったけれども
Mは突き止められませんでした…
でも意外な人っていう心理をつけば
当てられたのかも… -
石鹸が・・・・・
それにしてもベレズフォード夫妻は可愛い。