- Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150700508
感想・レビュー・書評
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新訳版読了後記載
エルキュール•ポアロが自身に対して失敗を認めることは、ポアロシリーズの後半にはよくある事で、「私はなんて間抜けだったんだ!!」と反省しては真実に辿り着く事がある程度お約束の部分ではあるが、今作「エッジウェア卿の死」においては真相究明までに何度も誤った道筋を辿り、ようやく終盤にて真犯人を導き出すという状態である。冒頭、ヘイスティングスにより、ポアロはこの事件への関与を公表したくなかったと述べているが、珍しく名探偵が犯人に丸め込まれる一歩手前まで来ていた様な事件で、今作の犯人の秀逸さがみてとれる。
舞台女優とそれを取り巻く人達。大女優は夫と離婚したいが認められず、彼女は殺してしまいたいと周囲に吹聴しているが、食事の席でポアロを見つけ、うまいこと夫の考えを翻す協力を依頼する。ポアロ自身エッジウェア卿に興味もあり依頼を受け彼を訪ねるが、エッジウェア卿は既に離婚を認めており、書面を数ヶ月前に送ったという。
全く予想だにしない結末から、その後、エッジウェア卿が何者かに殺害されたとポアロの元に連絡が入り、捜査がスタートする。
クリスティ得意のトリック、人の入れ替えや手紙の謎が主な構成になっているが、いずれも趣向を凝らしており、一本調子では無く一つ、二つと撚りが聞いている。そもそもエッジウェア夫人が逮捕され、アリバイがあり容疑者から外れる一連から既に読者は欺かれており、相変わらずクリスティ作品は凄まじいと驚嘆してしまう。被害者については不幸な結果になっているが、真犯人については処刑に至るまでらしさを備えている。最後、犯人からの手紙があった事、自身の能力を過信している事(ここは職業柄、納得のいく部分ではある)等見事に描写している。
今回、ポアロは中々苦戦を強いられたが、探偵小説では事件か連続しなければ犯人を突き止められないのではと思う事がしばしばある。今作でも容疑者が逮捕されている状態から第三の殺人が起きてしまえば、明らかに犯人は別だという事になってしまい、綻びが出てしまうのだが、その方が作品としては面白いのだろう。いずれにしろ、やはりトリックは秀逸で思いもよらない犯人と結末だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
#赤背表紙のクリスティーを再読するプロジェクト 035
上流階級の男女問題に絡まって、離婚調停に担ぎ出されたポアロが、殺人事件に巻き込まれて犯人探しするする話。ポアロは、実は巻き込まれたのではなかったというオチが秀逸。 -
物語は、エッジウェア夫人がポアロにある依頼をもちかけることから始まる。
エッジウェア夫人曰く、夫であるエッジウェア卿と離婚したいのだがエッジウェア卿がなかなか承諾しない。そこで、ポアロにエッジウェア卿を説得してほしい。
普段のポアロなら受けない依頼だが、今回に関してはポアロは興味を持ち、エッジウェア卿を訪問するのだが…。
映画界のスタアが、エッジウェア卿の離婚を承諾する手紙を握りつぶしていたのは考えつかなかった。ずっとミスリードされていたため、犯人は映画界のスタアとドライヴァーの共犯だと考えてしまったが、なるほどエッジウェア夫人に仕組まれていたのか、と合点がいき、同時にやられたと思った。
心理的盲点をつかれた。 -
スタアの話。
美しい美貌とそして脚光を浴びながらも、さらなる名声とお金を求めて殺人を犯す女優のお話。
巻き添えになったモノマネ師が可哀想すぎる!
アリバイって大切だなーって思った。
ノートを引き破ってのトリックか…
考えたな!クリスティ女史!!! -
1933年発表
原題:Lord Edgware Dies -
きっとこういう作品は、
目の前の事実を鵜呑みにしてしまったり、
ミステリーの法則を信じている人ほど
ドツボにはまってしまうことでしょう。
ただ、諸刃の刃で、
パターンが大体似たりよったりなので、
読みなれてくるうちに犯人が推測がつくのが
欠点。
そう、無にならないと
犯人の尻尾は見えませんよ。
そのせいで、ポアロは何回も
まんまと食わされているのですから。 -
ポアロ
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初読。
訳が独特。ポアロがポアロっぽくない。でも典雅な言葉づかいで、これはこれでありだと思う。
大傑作ではないけど、好きな一作。
(以下、ネタバレ)
ポアロが上手に利用される点といい、犯人の登場の仕方といい、前作の『邪悪の家』と似てる?
犯人は、スタイルズ荘のパターンと分類できるかもしれない。