迷宮課事件簿 1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 48-1)

  • 早川書房
3.07
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150725518

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物の心情に深く立ち入ることなく、淡々と叙述していくのが、とても心地よく、主人公の気持ちが浮かんでくる。ちまたではフェルディナント・フォン・シーラッハが高く評価されているが、わたしはこっちのほうが上だと思う。倒叙型だが、それにあまりこだわらずに話を進めている。
    ゴムのラッパ The Rubber Trumpet/村上啓夫
    笑った夫人 The Lady Who Laughed/村上啓夫
    ボートの青髭 The Man Who Murdered in Public/小倉多加志
    失われた二個のダイヤ The Snob's Murder/村上啓夫
    オックスフォード街のカウボーイ The Cowboy of Oxford Street/村上啓夫
    赤いカーネーション The Clue of the Red Carnations/吉田誠一
    黄色いジャンパー The Yellow Jumper/村上啓夫
    社交界の野心家 The Case of the Social Climber/吉田誠一
    恐妻家の殺人 The Henpecked Murderer/吉田誠一
    盲人の妄執 Blind Man's Bluff/吉田誠一

  • ・序

    ・ゴムのラッパ

    ・笑った夫人

    ・ボートの青髭

    ・失われた二個のダイヤ

    ・オックスフォード街のカウボーイ

    ・赤いカーネーション

    ・黄色いジャンパー

    ・外交界の野心家

    ・恐妻家の殺人

    ・盲人の妄執

    真相をすでに知っている読者に対してその解決方法により驚かせると言う作品ではなく、犯罪に至る過程を丁寧に描く作品と言った印象である。そのため、解決の部分はそれほど記憶に残らないが、そこに描かれるのは印象的な人物が多い。特に印象深いのは赤いカーネーションと恐妻家の殺人だった。

  •  有名な倒叙ミステリのシリーズ。断片的にいくつか読んだことはあったが、まとめて読むのははじめてだ。
     倒叙ミステリというのは、犯人の立場に立って犯行を描き、その犯罪が暴かれるまでを描く。犯人も、犯行方法も最初からわかっているわけだ。テレビの「刑事コロンボ」が有名。あ、「古畑任三郎」も。
     上記のテレビ作品は、じわじわと追いつめてく探偵と、逃げ延びようとする犯人の対決を、手に汗握り見守っていくというサスペンスの雰囲気が強い。もっとも、この形式がはじめてミステリとして認識されたのは、完全犯罪のはずが意外なほころびから失敗していくあたり、つまり「犯人のミスはどこでしょう」といった点を強調することで、推理小説であると認められていたような気がする。
     そう言う点では、このシリーズは倒叙ミステリ本来の味わいをしっかり残した上で、独特な雰囲気を醸し出している。それは偶然性のようなもの。本来なら結びつくはずのない情報が、迷宮課という場所で結びつく。その面白さはなかなかのものだ。
     それと共に、ふわっとした感じで殺人を犯す犯人像も、現在の視点から見ると時代を先読みしているようで示唆的。これには、ちょっとびっくりした。
    2004/12/23

  • 米澤穂信の100冊その33:叙倒に見せかけたホワイダニットの多い短篇集。続刊の表題作には驚かされたけど、この本の奇妙な味の「社交界の野心家」も好き。とのこと。

  • 先に暴かれるべき犯罪の一部始終を読者に提示し、探偵がいかにしてその真実に辿り着くかを見せる、倒叙といわれる手法のミステリです。この手法では刑事コロンボや警部補古畑任三郎などのTVドラマのものが有名ですが、この迷宮課事件簿もその代表的作品の一つだそうです。
    スコットランドヤードのあらゆる部署がもてあました事件を引き受けて取って置く『迷宮課』が、ささいな物品からさまざまな事件を解決します。

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