- Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150725518
感想・レビュー・書評
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有名な倒叙ミステリのシリーズ。断片的にいくつか読んだことはあったが、まとめて読むのははじめてだ。
倒叙ミステリというのは、犯人の立場に立って犯行を描き、その犯罪が暴かれるまでを描く。犯人も、犯行方法も最初からわかっているわけだ。テレビの「刑事コロンボ」が有名。あ、「古畑任三郎」も。
上記のテレビ作品は、じわじわと追いつめてく探偵と、逃げ延びようとする犯人の対決を、手に汗握り見守っていくというサスペンスの雰囲気が強い。もっとも、この形式がはじめてミステリとして認識されたのは、完全犯罪のはずが意外なほころびから失敗していくあたり、つまり「犯人のミスはどこでしょう」といった点を強調することで、推理小説であると認められていたような気がする。
そう言う点では、このシリーズは倒叙ミステリ本来の味わいをしっかり残した上で、独特な雰囲気を醸し出している。それは偶然性のようなもの。本来なら結びつくはずのない情報が、迷宮課という場所で結びつく。その面白さはなかなかのものだ。
それと共に、ふわっとした感じで殺人を犯す犯人像も、現在の視点から見ると時代を先読みしているようで示唆的。これには、ちょっとびっくりした。
2004/12/23 -
米澤穂信の100冊その33:叙倒に見せかけたホワイダニットの多い短篇集。続刊の表題作には驚かされたけど、この本の奇妙な味の「社交界の野心家」も好き。とのこと。
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先に暴かれるべき犯罪の一部始終を読者に提示し、探偵がいかにしてその真実に辿り着くかを見せる、倒叙といわれる手法のミステリです。この手法では刑事コロンボや警部補古畑任三郎などのTVドラマのものが有名ですが、この迷宮課事件簿もその代表的作品の一つだそうです。
スコットランドヤードのあらゆる部署がもてあました事件を引き受けて取って置く『迷宮課』が、ささいな物品からさまざまな事件を解決します。