ゴッドウルフの行方 (ハヤカワ・ミステリ文庫 110-2 スペンサー・シリーズ)
- 早川書房 (1986年9月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150756529
作品紹介・あらすじ
大学の図書館で厳重に保管されていた中世の稀覯書が何者かに盗まれた。総長の依頼で調査を開始したスペンサーは、容疑がかかっている学内の過激派組織SCACEの書記をつとめる女子学生テリイと接触する。その深夜、彼女からの電話で駆けつけたスペンサーが見たものは、射殺死体の傍に呆然と立ちつくすテリイの姿だった!テリイを殺人容疑から救おうと奔走するスペンサー。が、事件の裏には意外な陰謀が…。話題のヒーローのデビュー作。
感想・レビュー・書評
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偉大なるマンネリに繋がっていくスペンサーシリーズの第一作。スペンサーは後の彼とは少し違う。後のスペンサーのイメージができているからそう感じるのだろうか。とにかく、おお、そこでそんなことしちゃうのかよ、と思う場面もある。ジェッシー・ストーンのシリーズを思えばむしろこちらの方がパーカーの本質に近いのかもしれない。
タフであるとはどういうことか、なぜタフであらねばならないかを問い続けたスペンサーも、まだ自分の在り方が定まらず(その後もずっと迷い続けるけど)、それはそのままパーカーの歴史が作られる始めた事を意味してるのだろう。
目黒考二が亡くなったことを1年以上遅れて知り、そのショックとその事実を受け入れる過程で、パーカーの死によって終わったスペンサーシリーズを全部読む決意をした。パーカーの死を知った僕は、残ったシリーズを読んでそれが終わってしまうことが辛くて、数冊を残して読むのをやめていたんだけど、今ならシリーズの終わりも受け入れる覚悟が持てると思ったからだ。「#スペンサーシリーズ全部読む」は別れの作業である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
スペンサー一作目、ポケミスで読んだ再読したんだろう。たぶん。
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スペンサーシリーズ第1弾 改めてシリーズを全部読もうと集めて、読み出した。まだスペンサーのイメージが固まっていない感じがしたが、洒落たふざけた会話がよし。
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スペンサーシリーズ、第一作。なかなか面白かった。スペンサーの、ジョーク混じりの人の口説き方、いいなあ。
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旅行に一冊だけ持っていった本
ロバート・B・パーカーの処女作にして、スペンサー・シリーズの第1冊目「ゴッドウルフの行方」
早川文庫だとなぜか2冊目だけども、収録1冊目の「失投」よりテンポがあって、私にはこっちのが面白かったな。
しかし、フィリップ・マーロウやサム・スペードなら絶対我慢するところで、がばっと抱いちゃうのよね、スペンサーは…しかも母娘で…
でも、彼なりの矜持やこだわりはしっかりあって、やっぱりハードボイルドなんやねぇ
ちなみにゴッドウルフってのは事件のきっかけとなる写本のことで、これがものの見事にマクガフィンで内容には一切触れられないどころか、ほとんど登場もしないという…
スペンサー・シリーズに興味ある人はこれから読むのがいいと思うです。
よし次は二作目の「誘拐」や(これまた早川の収録順だと7冊目なのよね) -
例えば、サッカーの試合を観るとします。何らかのご縁があって、どちらかのチームまたは試合の勝敗に興味が持てたとして。バスケットボールではないから、なかなか得点は入りません。それを90分間見続けて、何度もゴールを狙って失敗する人々を見続けて。…そして、ようやっと1度か2度、ゴールが入る。だから、そこで情熱を感じることができますね。ニュースで得点場面だけ見ても、同じ歓びは得られない訳です。
最近は、ご縁があってフィギュアスケートも見たりします。浅田真央さんだって転んだりします。とある大会の女子のフリーなりショートを、頭から我慢して観てみましょう。誰も彼もが、僕や貴方よりもよっぽどスケートが上手いはずですが、なかなか上手くは行きません。そういう人たちを見続けて、浅田真央さんの演技(競技?)を観ます。そうすると、「ああ、上手いなあ、美しいなあ」と、細かい技術は判らなくても、改めて感じたりする訳です。
と、いう訳で。
ロバート・B・パーカーさんの「ゴッドウルフの行方」。1973年前後?のアメリカの小説です。
スペンサー、という名前の私立探偵が、悪い人たちと闘うシリーズの第1作です。スペンサー・シリーズ、と呼ばれています。ミステリー、探偵小説、ハードボイルド、とか呼ばれる本です。
この手のジャンルの中で、浅田真央さんに相当するのが、レイモンド・チャンドラーさんの「私立探偵フィリップ・マーロウ・シリーズ」なんですね。
で、これはもう、とっくの昔に読んじゃった。そんなにいっぱい無いんです。
「そんなような小説を読んでみたいな」と。もやもや20年近く思っている訳です。たまに読みます。でも、全然いまいちだったりします。そんな試行錯誤の一端です。
あらすじはまあ、さほど重要じゃないんですけど。
結論、そこそこ面白かったですが。そんなにでもなかったんですね。このシリーズ、いっぱい読んでいくことも無いかなあ、と思います。愛想無くて済みません。
主人公はフィリップ・マーロウのように気の利いたセリフを一杯言います。
なんとなく小説を通して、寒いボストンと1973年前後のアメリカの病巣みたいなことも、匂います。
タフに立ち回って、殴ったり殴られたりするけど、そこそこ最低限の合理性の中で、強かったりします。
適度に死体と出会い、なんだか良くわからないけど女性と出会ってHしたりします。でも別にH自体を執拗に描くわけでもありません。
どこがイマイチなのか、という議論は楽しい物なんですが、まあ、判っていることは、フィリップ・マーロウものにあるような、「中村主水的な素敵な疲れ具合」が、無い。それから、一人称の「私」が見つめる世界全体への批評眼とでも言うべきものが、ちょっと青いんですかね…。湿度が足らないというか。
そこンところの、諦めの溜息、みたいな詩文感覚。とでもいいますか。このあたり、批評的に考えていくと面白くてどこまでもイケるんですけど。諦めというか、ニヒルさがあるということは、比較して絶望できるモラル定規を持っているということになって。だとするとそれは、一体全体ナンなのか、とかですね。面白いですね。
でもまあ、そういうところが、フィリップ・マーロウものより、低いんでしょうねえ。平たく言うと、ブンガク性が、と言えるのかも知れませんね。
だから、ふっとはじめに、浅田真央さんのフィギュアを観て。
「同じように可愛くて、ジャンプも滑りもスピンもメンタルも共感できるスケーターはいないかなあ」。と、思って色々観る訳ですよね。
結果としては、「やっぱり浅田真央さんって凄いんだなあ」…と。
結果としては、浅田真央さんの演技(競技?)を観るのが、一層滋味深く楽しめるようになりますよ、と。
という、この仮説の、<浅田真央さん> と <フィギュア> という言葉を、 <スティーブン・ジェラードのロングパス> と <欧州サッカー> とかに置き換えても良いです。<絶頂期のチャーリー・パーカーあるいはバド・パウエルの疾走する演奏> と <モダンジャズ> とかに置き換えても、同じだと思います。
そんなに悪い小説じゃなかったんですけどね。むしろ割と面白かったんですけどね。
ちょっと暇な折には、特段どうでも良いようなアメリカの探偵小説なんかを、翻訳のハヤカワミステリィで読んでるようなオジサンになるのも良いなあ。…と、あくまで冗談半分なスタイルの趣味として、思ったりするから、読むんですけど。どうしてもねえ。フィリップ・マーロウものに比べちゃうと、なんていうか、気持ちが盛り上がらないなあ…という印象です。
フィリップ・マーロウものを再読するかぁ…と思いつつ。
そもそも、そういうオジサンにならなくても良いのですけどね。ちょっと、ベタに昭和な読書的スタイルを、パロディ的に模倣する愉しみに毒されているのかも知れませんね。良く判りませんが。ちょっと、反省してみます。
####以下、個人的な、あらすじの備忘録です。#####
スペンサーさんはどうやらボストンに住んでいます。元警察関係者で体が強くて減らず口を言えて、割と文学的教養もある人です。当然独身で、自宅と別に事務所を構えています。
で、犯罪事件をネタバレで備忘録的に書いておくと。
時代は1973年前後です。ヒッピー、フラワームーブメント、学生運動、造反有理の時代です。
ボストンあたりの大学です。悪い教授がいて、なんだかんだ革命的な理屈もあるけど、マフィアとつるんで麻薬を調達して、悪い大学生とつるんで学内で商売しています。
この教授と大学生は、反体制サークルの仲間だったりする訳です。
さらに、大学をゆすって儲けようと、「ゴッドウルフ文書」みたいな文学的価値のある文書を盗んで、金をよこせ、と言います。
そのすべてを、とある悪い男子大学生とつるんで、やります。
ところが、悪い男子大学生が、麻薬の質とかで文句を言い始めて来ます。面倒になります。マフィアとつるんで、この男子大学生を殺します。手を下すのはマフィアの手下です。
この際に、同居している女子大生が殺したように見せかけます。ふたりとも、セックス、ドラッグ、革命造反な日常だったので、それが成立する訳です。
ここまで進んだところで。大学当局に文書探しを依頼されていたスペンサーさんが、更に、この濡れ衣女子大生の親に雇われます。
で、スペンサーさんが、簡単な聞き込みから、教授を突っつきます。
教授は白を切りますが、大いに内心動揺します。マフィアに連絡して、探偵スペンサーを脅します。
そして、麻薬商売の方が大事だから、文書は返します(題名になってるけど、ここで返却されちゃう。一度も読者の前には出てこない。題名が失敗していますね)。
スペンサーさんには、マフィアから、そしてマフィアの息のかかった悪い警察から、文書が帰って来たから、あとはスキャンダルを恐れる大学当局から、「これ以上何もするな」という圧力がかかります。
でも、当然、辞めません。
事情を知ってそうな女子大生を尋ねると、殺されています。
そこで、その女子大生が悪い教授と肉体関係にあったことを、手紙から知ります。
で、教授にそれを匂わせて、脅します。
それから教授を張り込んでます。
教授さんは、マフィアのボスに連絡をして、なんとかしてくれって言います。
なんだけど、逆にマフィアは、面倒になって教授を殺そうとします。
そこを、スペンサーさんが救って、警察に引き渡します。
男子大学生殺人の濡れ衣を着せられていた女子大生は、無罪釈放になります。
良かった良かった。どっとはらい。
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スペンサーシリーズの第一作と言うことなので図書館で借りて読んでみました。一言で言うと犯人が最低ですねえ。
それにしてもこの本は1970年代に書かれた本なんですよね。そうすると大学生は(私の偏見だと)ヒッピーとか麻薬とかそういう時代だったのかなあと。でも今でもなんとなくありそうな話でもあるなあと思いました。教授の奥さんはかっこよすぎです。ダンナと最後、運命が代われば良かったのになあ。 -
何年かぶりでの再読。
スペンサー・シリーズの第一巻。
スーザンとは未だ知り合ってません。
ホークも未だ出てきません。
料理を作り、軽口を叩き、自分の規範で行動をする、そんなスペンサーのスタイルが既にできあがっていることに、あらためて驚きました。
「わたしは、自分が扱いたいと思う問題を扱う……だからフリーランサーなのです」(P.102)